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二軍クローザー論

去年からずっと温めていたネタなのですが、今朝山本大貴のトレード報道があったので、絶対煮詰め不足な記事になりますけどもう勢いで出しちゃいます。出すなら今しかない。

流れとしては、
1. 各球団の二軍クローザー事情 ⇒傾向を探る
2. 二軍ロッテに絞って過去数年を検証 ⇒ロッテの思惑を探る
3.今年の二軍ロッテのクローザー事情 ⇒何をやりたいのかを探る
4.山本貴が売れた理由
5.山本貴移籍後の次期クローザー

1.各球団の二軍クローザー事情

まず、二軍クローザーは準一軍級というイメージがあるだろうが実際にはどうなのだろうか。下の表は、昨シーズン2021年のパ6球団における主要の二軍クローザーに関して、二軍セーブ数と一軍登板数を列挙したものである。

2021年 二軍クローザーの二軍セーブ数と一軍登板数

※オリ中野ではなく中田でした。

上記2つのデータを横軸縦軸にとってグラフ化してみる。

2021年二軍クローザーにおける二軍セーブ数と一軍登板数の関係

右肩下がりの傾向が見て取れる。
つまり、グラフの左側で言えば、本来一軍級リリーフである投手が短期的に二軍クローザーとして調整登板していたケース(例:ヒギンス)。それがグラフの右側に行くほど、二軍固定で経験を積んでいたということになります(例:小沼)。
考えてみれば当然の話ですが、二軍セーブ数が多いということはそれだけ二軍固定だったということになります。つまり二軍クローザーなんて大役だからすぐにでも一軍昇格だろう!とも言い切れないということです。
逆に言うと二軍クローザーに固定されているのは中長期的な育成目的としての側面を感じてきます。
ということで次に、二軍クローザーを任せられた選手は何歳で、翌シーズンは一軍で飛躍できたか?に注目することにします。

以下の表は、過去5年間のイ・リーグにおいて、二軍セーブ王となった選手の当時年齢・セーブ数・翌年一軍での登板数を列挙したものです。

イ・リーグ直近5年間のセーブ王成績

率直な感想として、
・20代前半だと、翌年は一軍で飛躍の年となるが、中堅以降だとステップになかなかつながらない。
・小野郁に関しては極端な言い方をすれば、2年連続クローザーをやった末に見切られたという言い方にもなり得る。
・ただし、実質トレードとなった酒居と互換性があると評価してもらえるような有能な駒に育てることができた、とも言えるかもしれない。(そういうわけでは、今回の山本貴も似てる)
・現実的には二軍でセーブ王を取っても、スター選手となった選手は少ないことから、二軍クローザーはチームの育成方針上、大化けが至上命題化されるようなプロスペクト選手を据えるポジションとまでは言えないのかも。

ただし、戸根は故障も原因だしちょっとn数が足らないのでウエスタンリーグも調べてみた。

ウ・リーグ直近5年間のセーブ王成績

やはり全体的にその後の大成率は低めと伺える。
メンデスに至ってはそのまま退団してしまっているので、シーズンを回していく為という、育成上あまり有用ではない使い方が二軍クローザーにはされがち、というケースも見えてくる。

では、ここからはロッテに限定して近年のチームセーブ王に注目していきます。

2. 二軍ロッテに絞って過去数年を検証

同じように、ロッテに限定にした場合においても、二軍クローザーの年齢・セーブ数・翌年の一軍登板数をまとめました。

直近5年のロッテ二軍クローザー

これまでの主張と流れとしては同じで、
・二軍クローザーには、育成目的とシーズン運営目的の2パターンがある。
・他のチームでもそうであったように、ロッテに置いても後者が占める割合が多い印象は強い。
・だからこそ昨年のルーキー小沼の固定起用は魅力的だった。さらに今年に入って7月11日まで一軍にしがみつく成長を見せているわけだし。

はっきり言ってしまえば、将来性の薄いベテランや助っ人をテイよく使えるポジションとして二軍クローザーというのは適任だったりもするわけだが、小野郁や小沼といった成功例もあることから、やはり二軍と言えど痺れる場面での登板をシーズン通して経験させられる魅力的なポジションなので、将来ある若手に託して固定するのがチーム運営として理想的だとは思います。

3.今年の二軍ロッテのクローザー事情

今季の二軍ロッテで、9回というイニング限定でマウンドに上がったリリーフを全て列挙します。

二軍ロッテ 9回登板リリーフ

要するにこれはゲーム最終回に誰を出したか、を測るデータなのです。
※ここで注意なのがビジター負け試合の場合は9回の登板がないので、その部分が排除されたデータであるということです。簡素化して傾向を見るものとして、参考程度をご覧ください。

上記の生データでは見にくいので、状況別にまとめました。

二軍の9回に登板したリリーフの登板ケースまとめ

同点~3点リードのいわゆるA組が投げるような痺れる場面でそれなりの登板数を重ねたのは、実は横山山本貴の二人だけに絞られる。
今季のクローザー事情を時系列的に簡単に言うと、開幕時点では横山だったがなかなか調子が上がらず、6月2日のセーブ失敗(3点リードを守れず4失点)を最後にクローザーが山本貴に交代となった。
横山はその後中継ぎや先発に配置転換となり調整を続けているが、直近では7月10日の最終登板を最後に15日にコロナ発症。復帰後もすぐにでもクローザー復帰する見方をするのは難しそう

というようなことも含めて9回に限定したリリーフ起用法を見て思うことを列挙していくと、

・本来は小沼の成功実績にならって今年は横山に頑張ってもらいたかったが、うまくいかず山本貴が代役になった。
・山本貴はこれまでの一軍実績の少なさや年齢(27)も含めて、二軍シーズンを回していくチーム事情でのクローザー起用という印象はどうしてもある。
廣畑、東妻、八木といった若手も数回起用されているが、これは一軍としての戦力化を身近に控えた短期的な調整だったと思われる(5月10日の廣畑が良い例)

4.山本貴が売れた理由

山本貴は一軍実績がここ2年ない為、はっきり言ってしまえば今オフの戦力外候補だった可能性はあるので、今回のトレードは本人にとって人生逆転の大チャンスと言える。
チーム事情かつ6月~7月のわずか1ヶ月強の期間とは言え、クローザーに配置されたことで他球団の目に留まる良いアピールになったと言えそう。やはりトレードの大原則で、欲しいと思ってもらえる選手じゃないと声はかからない。

そう考えると、二軍クローザーというポジションは、そこに置かれることで選手としての付加価値を簡易的に付与できる効果があるのかもしれない。具体的にいれば、クローザーに配置されることで、急に球速が速くなるといったフィジカル面での効果は低かったとしても、痺れる場面を乗り切る為に必要なメンタル面でのカンフル剤として、割合簡易的に選手の成長を促すという側面はありそうである。

小野郁の例も前述したが、育てた選手を良い移籍話につなげることもチームにとって有効な戦略と言える。いわばクビ寸前の中堅・ベテランを売れる商品とさせる手法として二軍クローザーというポジションが効果的だという側面も、結果としてはあるのかもしれない。

5.山本貴移籍後の次期クローザー

これは土居だと思います。

実は山本貴は7月10日を最後に登板が全くなく、今日のトレード発表となった。(脱線すると、これだけいきなり使われなくなってからのトレードとなると、当時から2球団間で裏でディープなやり取りがあったことも想像してしまう)
話を戻し、7月10日以降の試合でセーブを記録したのは、土居中村稔の二人となる。ただし中村稔は回跨ぎでのセーブなので、純正クローザーは現状土居のみ。また前述の通り横山はまだ時間がかかりそうなのでしばらくは土居が担当すると思います。
ここで問題になるのは、先発不足のチーム事情から土居が先発転向した経緯があるわけなので、再度リリーフ化するということは先発陣はもう大丈夫なのかということです。具体的には古谷・中森・河村あたりの復帰があり得ます。少なくとも鈴木はこれで本格的に先発調整できるだろう。もしかすると横山の先発本格転向、なんてこともあるかもしれない。ここらへんは今後の楽しみとしていきたいです。

ひとまず駄文noteなので以上!
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。おわり!

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