見出し画像

第2章 2021年 二軍ロッテ野手運用

1. はじめに

第1章の投手編と同様の形式で、本稿では捕手・内野手・外野手を考えます。

導入として打席数ランキングを。育成機関の投資内訳の指標としてご覧ください。

打席数ランキング

ということで、どんな選手に本腰を入れた起用をしていたかがだいたい見えてくると思います。では以下では各ポジション別に。

2. キャッチャー

全108試合におけるスタメン数の内訳

キャッチャー 円グラフ

今シーズンは序盤から中堅以上の故障が相次いだこともあり、植田が頭角。谷川は治療に専念しスタメンはゼロ。次に年齢とスタメン数で選手をプロットしたグラフを。

キャッチャー 年齢vsスタメン

青実線のイメージ線が引け、良い傾向ではある。ただ19歳の谷川が0試合だったことで、スタメン捕手の最年少は24歳となり、将来を考えれば赤点線のように傾きを寝かせるチーム戦略を今後はかけていく必要があるように感じる。

3. ファースト

全108試合におけるスタメン数の内訳

ファースト 円グラフ

シーズン通して見れば山口が1位だが、下表の通りさらに月間別で内訳を見ると、その起用はほぼ6,7月に固まっていることが分かる。(山口視点で言えば一軍抹消されてからの調整期間)

ファースト月間表

6,7月以外を見ると、起用数のわりに一軍で戦力化できたのは高濱くらいと言えてしまうのかもしれない。かといってプロスペクトに投資できているわけでもない。

次に年齢とスタメン数の関係グラフ。

ファースト 年齢vsスタメン

若い山口がグラフの左上を陣取ったのは理想的ではあるが、山口はもう来季には一軍固定を見込んでも良い素材。ならば次世代の長距離砲を育成するチーム編成を考えても良いのかもしれない。

4. セカンド

全108試合におけるスタメン数の内訳

セカンド円グラフ

西巻が約半数。西巻は打席数もチーム内3位。昨季2020年は秋のコロナ禍に一軍昇格し主にショートの穴を埋めたが、今シーズンはあえてその波には乗せず、春キャンプからライバルの若手組から離されて二軍漬け。そのまま一軍昇格は一度もなかったことから、西巻の今季はセカンドとしての計画的育成の年として位置付けられていたと思われ、離脱することなく完走できたことは一定の評価に値する。

次に年齢とスタメン数の関係。

セカンド プロットグラフ

24歳までに複数人いる為に一見安泰とも思えるが、西巻以外はサブポジションとしてのセカンドである上に、ポスト中村奨吾を担えるほどの抜きん出たセカンドがまだいないのが実情。とにかく今の一軍ロッテは中村奨に頼りっきりなのでその対策はわりと急務であり、来季も一軍セカンドは中村奨一本ということはないはず(と信じたい)。なので即戦力級を1人獲得しても良いのかもしれない。(なお西巻の話は6.ショートでも続きがあります)

5. サード

全108試合におけるスタメン数の内訳

サード円グラフ

福田光がチームトップ。福田光は打席数もチーム2位と今年は多く出場機会が与えられた。サードのスタメン選手を年齢と出場数でプロットすると↓

サードプロットグラフ

福田光を中心に若手主体で回せている印象。ただ福田光の首脳陣からの期待値はどの程度なのだろうか。ここで1年間を打順で振り返ってみる。

福田光輝 打順

3,4月に4番のみで出場していたのが、徐々に下位打順へ。スタメン率も減少傾向。期待値は下降気味という印象は拭えず、サード争いに割って入るライバルは必要かと思われる。

ただし、一軍に目を向けると今後も数年間サードは安田という本命に賭けると思われるので、補強選手としてはサード以外もできるUT型が良い。また安田を対を成す意味では右打者だとなおベター。

6. ショート

全108試合におけるスタメン数の内訳

ショート 円グラフ

難易度の高い内野の花形だけあって構成選手は5人のみと少ない中、その約半数を平沢が占めた。セカンド西巻と同じく、一軍昇格がないまま二軍でシーズンを完走させたこと、ある程度特定のポジションを独占させたことの2点で平沢と西巻の二人は今年の強化選手だった印象は受ける。(2人は打順的にも年間通して多少の変動はあったものの、シーズン終盤で上位を任されておりチームからの期待値の高さも窺える。詳細なデータは11. 参考資料に載せています)

次に年齢とスタメン数の関係を以下に。

ショート 年齢vsスタメン

そろそろ次世代の高卒を獲っても良いようにも見えるが、平沢は2年連続一軍出場がなかったことから来季一気に一軍選手になって二軍ショートの座から完全に離れるかと言われれば疑問だし、昨季に小川を獲得していることから、そう毎年何人も新しく獲るとは思えにくく、来季もこの布陣を軸に二軍ショートは回していきそう。

7. 外野

レフト センター ライト、一気にいきます↓

レフト

レフト円グラフ

レフト プロットグラフ

センター

センター 円グラフ

センター プロットグラフ

ライト

ライト engurahu

ライト プロットグラフ

要するに、

レフト 西川(19歳) 
センター 髙部(24歳)
ライト 山本斗(19歳)

近々に主力化が期待される立場(髙部)とプロスペスト(西川 山本)を中心にバランス良く運用できており、外野は理想的な運用ができていると言えそう。

一二軍含めた外野陣全体を横軸:年齢、縦軸:立ち位置(筆者の主観)で配置するとこのようになる↓

外野ピラミッド

現在の一軍主力:荻野 マーティン 角中(34~36歳)
次世代    :和田 藤原 山口(21~23歳)
次々世代   :西川 山本斗(19歳)ペラルタ(20歳)

といった良いバランスを構成できているので、現状外野の人員編成の優先度は低いと思われる。問題は清田と加藤翔が途中退団したことで単純に選手数が減っているので、補充検討があるかどうか。上記で名前を挙げなかった中堅組(福田秀 岡 菅野あたり)がどれだけ競争力を生めるかにも懸かっている。

8. DH

前項までと同じく、スタメン数内訳を示した円グラフと、年齢も加味したプロットグラフを。

DH 円グラフ

DH プロットグラフ

DHは他ポジと比較して多くの選手に出場機会が振り分けられたが、1位としては40歳の鳥谷となった。一見悩ましく思えるかもしれないが、一般論として二軍のDHに関してはある程度仕方ないと見るべきかもしれない。理由は2つ。
(1) 二軍は育成機関であると同時に準一軍組の調整機関でもある。一軍選手に離脱があった場合に備え、二軍落ちしている準主力組にはいつでも上がれる準備が必要で、DHは格好の調整の場となる。
(2) 二軍は一軍と異なり、多くの選手に複数のポジションを経験させる。なのでそのローテーション的に溢れた選手が日替りでDHに置かれる。また守備負担を減らすことで各選手の疲労軽減策にもなる。

ただ、やはり育成機関としての機能を果たしたい場所において、40歳過ぎた人がいつまでもいるのは組織上あまり健全ではない、とはやはり思いますが。

9. 一二軍全野手の構成

第1章の投手編と同じく、全野手を『横軸:年齢』『縦軸:立ち位置』で配置してみました。ただし今回はさらに捕手編、内外野編としてさらに分けました。
注1:縦軸の各選手配置は完全主観も含みます
注2:途中退団した選手もひとまずは一様に配置

まずは捕手編。

キャッチャー ピラミッド

吉田 江村も若くないし故障がち、加藤匠も年齢的には2番目に高齢、田村は来年FA予定。これから数年は佐藤都に賭けるのも手だが、それ以下の年齢層は谷川しかおらず、チームの将来を考えれば心許ない。

次に内外野編。

内外野 ピラミッド

外野は7項で述べた通り、世代配置的に良好なバランス。まだ来年は荻野マーティンに頑張ってもらって再来年からは…という構想も非現実的ではない。

内野に関しては、次世代を担うのは22〜24歳の6選手。ただ現状はその下の世代になる藤原や山口に打撃成績で抜かれているとも言え、内野からは突出した選手は生まれていない印象。この世代に新風を加える必要はありそう。

10. まとめ

キャッチャー
・新しい世代の植田が頭角を出した。
・ただ全体的に高齢気味なので、今のうちにさらに次の世代を対策しておきたい。

内野
・ショート平沢 セカンド西巻が特別強化枠だった印象。
・福田光もサード中心でも多く起用されたが、徐々に期待値が下がっていった印象。
・セカンド サードに競争力を持たせられる編成が必要か。
・ファーストの有効利用の手立ても欲しい。

外野
・各ポジションの最多スタメンは、レフト西川 センター髙部 ライト山本斗の若手組。
・世代構成や運用実績は理想的と言えるので、人員編成の優先度は低いと思われる。

今回は以上です。
次回からは、どんな選手を切ってどんな選手を獲ったかを書こうと思います。

11. 参考資料

平沢 月間別スタメン打順統計

平沢 打順

西巻 月間別スタメン打順統計

西巻 打順


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?