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サブロー新体制への3つの懸念(開幕前執筆&未完)

…という記事を開幕前に書こうとしたんですけど、なんか自分の中でも納得いかない内容になってしまったのでお蔵入りにしてました。
ですが2023シーズンも閉幕を目前にした今、二軍の成果があまり見られない年になりそうなので、シーズン後はシーズン後で総括するとして、自分が開幕前に与えられていた情報の範囲で何を思っていたのか、とりあえず残しとくだけでも価値あるかなと思ったので、未完なんですけどあえて上げておくことにします。
それでは本編をどうぞ↓

二軍ロッテの選手起用法を追っている当アカウントとして、サブロー新体制がどんな野球をするのかは非常に気になるところです。
本note以下の構成で物事を順番に整理していこうと思います。

1. 引退後の経歴

 2016年    現役引退
 2017年    ロッテ球団のスペシャルアシスタント
★2018~2019年 アマ野球記事の執筆活動(日刊スポーツ)
★2020~2021年 東北楽天 ファームディレクター
 2022年    〃 スカウティングアドバイザー(いつの間にか)
 2023年    ロッテ 二軍監督就任(←New!)

さて、次項で読み解いていく2種類の資料は、上記の★の付いた時期に出されたものとなります。
なお、引退後の2017年に就任したスペシャルアシスタントに関してはほとんど資料がありませんでした。どうやら実態は『球団の営業か、広報のスタッフ』程度のものだったようです。(以下文献参考)

2. 引退後のサブローを知る2種類の資料

日刊スポーツ時代と楽天ファームディレクター時代。色々調べましたが、引退後~これまでのサブローの活動を知る上で解像度の高い情報はこの2つの時代に集約されていました。

日刊スポーツ時代(2018~2019年)

↓抜粋で簡単に紹介するとこういう仕事をしてました。

前ロッテのサブロー氏(42)が、高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」に就任した。(中略)引退後はどういう選手がプロで成長するか研究を続けてきた。「将来、プロで活躍する選手を探す」という視点で、全国の球児をチェックする。

大阪桐蔭・藤原の振る力は◎(2018年7月6日)より

アマチュア選手の紹介記事を書くこと2018年に15回、翌2019年にも15回、計30回。選手名(ポジション)で目次を作るとこうなります。

2018年
(1) 藤原恭大(外)
(2) 根尾昂(投・打)
(3) 山下航汰(外)
(4) 米倉貫太(投)
(5) 増田陸(内)
(6) 石橋康太(捕)
(7) 野村佑希(外)
(8) 万波中正(外)
(9) 小園海斗(内)
(10) 勝又温史(投)
(11) 吉田輝星(投)
(12) 西純矢(投)
(13) 河村唯人(投)
(14) 根尾(内)& 小園(内)
(15) 根尾(内)& 藤原(外)

2019年
(16) 佐々木朗希(投)
(17) 森下暢仁(投)
(18) 野村健太(外)
(19) 佐藤輝明(内)
(20) 片山勢三(内)
(21) 森木大智(投)
(22) 津森宥紀(投)
(23) 河野竜生(投)
(24) 森敬斗(内)
(25) 宮川哲(投)
(26) 奥川恭伸(投)
(27) 鈴木寛人(投)
(28) 東妻純平(捕)
(29) 伊藤樹(投)
(30) 佐々木朗希(投)

サブロー自身の野球観をメインの注目点として、以上の30記事すべてに目を通してみました。
結果、以下4つの野球観が見えてきました。

◎投手論は勉強している形跡あり
野手出身にもかかわらず、全30記事中15個で投手を取り上げている。さらに各年で分けると2018年は5記事に対して2019年は10記事も書いており、これだけでもサブローの解説者としての成長は窺えるが、内容を読んでも勉強しているたしかな形跡をたどることができます。

例1:ポップ型・タレ型
サブローは投手分析の軸としてこの両タイプの場合分けをよくしているが、2018年はポップ型への評価に偏向しがちだった (第4回)(第10回)のに対し、2019年ではより具体的な表現を交えてタレ型を肯定的に解説できるようになっています (第16回)(第17回)。さらに言えば最終回の記事ではポップ型・タレ型という表現さえ使わず佐々木朗希を分析した為、表現の引き出しが増えていることが示唆されています (第30回)

例2:メカニクス解説
まず2018年の記事
⇒回転軸や回転数という指標で球筋の質を分析しているが、ではなぜそういう球が投げれるのか、という言及までには至れていませんでした (第11回)
これに対して2019年
⇒「肩甲骨まわりが硬いので可動域を広げた方がよい」とまで具体的な指摘がなされています (第27回)

例3:指導の具体性
2018年
⇒「上達のコツは一流のマネをすること」「プロでも直球があっての変化球。せっかくの球威をもっと生かして欲しい」といった万人に共通して言える深みのない言及 (第10回)
2019年
⇒「メジャーのレイズのマイナーでは、まずは高低だけで抑えることから始め、段階的に左右、奥行きとテーマを設定してレベルを上げていくと聞く。伊藤はいいスライダーを投げ、使いたくなるのも分かるが、土台を固めることで後に大きく成長できる。」(第29回)

◎やはり打撃論にはこだわりあり
一方で打撃に関しては、本人が打力型選手だっただけあって第1回から専門性や熱量が強かったです。素人でも分かりやすい理論は、
・常にフルスイングすること (第1回)
・いつも一定のリズムで打席に入ること (第15回)
 (↑ちなみに藤原恭大ができていないと当時言及している)
といった感じです。
また(5)~(8)で4話連続の流れから、若手の長距離右打者を育てたいという願望ははっきり感じ取れました(第8回)

ただし打撃論においても投手論と同じく前半はロジックが一部不十分な印象もありましたが、これも後半に進むにつれ理論や表現方法を勉強している形跡が見られました。
例えば2018年では、
・「打撃の究極はスローモーション」という感覚的な記述(第2回)
・「下半身を使って振れ」までしか言わない浅い技術論(第7回)
・(万波に対して)「手の使い方も、下半身と上半身の連動という部分も恐らく分かっていない。」とは言うのものの、それ以上の具体的な言及なく「育ててみたい」で終わっている (第8回)

といったレベルだったのが、翌2019年になると、
・ネクストバッターズサークルでの準備の仕方にまで具体的な指摘を入れるようになっている (第18回)
・佐藤輝明の打法解説は具体的に言語化されていてかなり分かりやすい (第19回)
・赤ちゃんや相撲といった例え話の引き出しも増えて分かりやすい(参考:20)
といった感じで、問題点の原因まで論理的に掘り下げ、How toまで言及できるようになっている。
以上が、当時から現場復帰を目指していたサブローが段階を踏んで勉強していることが感じられる側面かなと思います。

◎内野・捕手の守備論には一定の距離を置いている
一方で、内野と捕手の守備面に関しては身の程をわきまえている印象は受けました。
まず内野守備に関して言及しているメイン記事は小園編(第9回)と森敬斗(第24回)になりますが、両記事ともにショート守備の上手さの理由を肩の強さとしています。ショートのことはステップワークに触れてこそナンボだと思うので、やはり専門外なこととして敬遠している雰囲気は感じました。
捕手についての記事は石橋編(第6回)と東妻編(第28回)になります。石橋編では「身体能力の高い選手が子供の頃からもっと積極的に挑戦すべき」という一般論に留まっていたのに対し、東妻編では視野の広さ・送球動作・フレーミングを語れるまでに記述内容が具体化してはいるものの、リード論にまで深堀りされていなかったので、捕手を見る目に関しては不明瞭という印象でした。

◎やんちゃな選手が好き
現役時代から血の気の多さを感じる一面もあったサブローらしく、派手なプレースタイルの選手を好むようです。言及は増田陸編(5), 西純矢編(12)でなされていますが、とくに西に対しては「大好きなタイプの投手だ」とまで言っている。
ただし、こういった選手の内面に触れる記事はこの西編が最後となり、2019年では一度も書かれていませんでした。

楽天ファームディレクター時代(2020~2021年)

資料としては以下の2種類になります。
(1) 週刊イーグルス(日刊スポーツ)×7記事
 ⇒5月27日, 7月1日(野手編), 7月1日(投手編), 8月5日, 9月2日, 9月30日, 10月28日
(2) YouTubeインタビュー動画(2021年5月10日)

ただし(1)に関しては、いずれの記事も二軍選手の現状紹介がメインでしたが記事の特性上、建前が多くあまり濃い内容ではありませんでした。それでも印象的だった部分を一部挙げていくと、
・意外と選手との距離が近い立場なようで、各選手たちへの個人的な声掛けや指導エピソードも多い。
・黒川・武藤の2人を明らかに別格として評価している。
・7月号時点では「前向きな話しかしないようにしている」としながら、だんだん各選手への短所の指摘も記事内で増えてきている。

ここら辺にして(2)に移ります。今回あさったネット資料の中では、このYouTube映像がサブローの現在地をもっとも解像度高く理解できるものだったと思います。

印象的だった発言を①~⑩に切り取っていくことにします。

~職務内容~
①二軍に帯同し、練習・コーチミーティング・試合まで見る。
②石井GM(兼一軍監督)からの希望を三木二軍監督に橋渡しする役割。さらに三木と2人で話して起用法などの方針などを最終決定していく。
③逆にGMに対して二軍状況の報告・進言もする。

⇒以上①~③より。
二軍運営を俯瞰視点かつ現場視点から経験できた為、初の指導者とは言え今回いきなり二軍監督になることに不安はそこまで無いと思われる。

~仕事への意欲~
④ファームディレクター職(FD)と並行してスカウト活動もやっている。
⑤それで獲ってきた選手の二軍育成に携われることにやりがいを感じる。
⑥二軍選手が全員一軍に上がれるわけではない。その中で、選手たちには結果に応じて都度複数のプランを提示できるようなシステムづくりをしていきたい。
⑦とにかく若い選手と一緒にやれることが大きなやりがい

⇒以上④~⑦より。
指導者として考えるなら、チームが勝てる確率を最大化することを考える一軍舞台よりは、選手個々の飛躍や育成論に突き詰められる二軍を舞台にした方が持ち味を出せる人となりには見える。

~ポリシーが見える発言~
⑧自主性を重視する育成をしたい。年間○○打席・○○イニングと体系化されたルールありきで動かすのではなく、選手本人がやる気になってやる練習をし、それを試すのが試合。というスタンスは1つの理想と思ってそう。
⑨自主性のある選手が好きで、代表格として黒川を挙げる。
時期尚早という言葉が嫌い

⇒以上⑧~⑩より。
贔屓采配に偏る危険性は感じる。本来から兄貴肌な人格なので、楽天時代に培った①~③のような中立的な視点を生かしてもらえることに期待したい。

ちなみにサブローが派閥を作りたがる人格だということは元同僚も証言しています。(6分48秒)

以上を踏まえてまとめ的に懸念を3つ。

懸念1 独りよがりな指導

本人が語っている選手との接し方。以下の3点でまとめられそうです。
①選手たちと仲良しな関係を築きたい。
②感情を表に出せるタイプの選手は大好きだ。使いたくなる。
③自主性を重んじる。

こういった方針は、中長期的には実のない贔屓采配に陥りがち。
1つずついきます。

①選手たちと仲良しな関係を築きたい。

このスタンスは楽天時代(2021年)の週刊イーグルスやYouTubeインタビューで顕著に出ています。ことさらに若手選手たちと仲良くしてるって言ってるんですけど、極端な感想を言ってしまえば、サブロー側の思いが一方通行的になってないか、という懸念です。
当時は『ファームディレクター』という役職で起用法の打合せや選手への声掛けを行っていたようですが、当の二軍指導者側や選手側からのサブロー評はほぼ確認できなかったですし、最終年(2022年)はしれっと役職が変わりほぼ表舞台から消えていました。これも推測の範疇になりますが、僕が二軍監督とかコーチだったら自由に現場に口挟んでくる人って絶対邪魔。スカウティングアドバイザーという役職を与えてテイよく現場から追い出されたというのが内情かもしれません。

今のロッテはわりとお行儀の良い選手が多い風土で、これがサブローとどう化学反応するかも気になります。最初の方は良い刺激になると思う。でも中長期的に見ると、最悪贔屓の温床になり腐敗もあり得ます。
印象的だったのは楽天時代に黒川や武藤をとにかく持ち上げ続けたこと。こういうのって、言われた当人たちがというよりも言われなかった選手たちの方の成長を間接的に阻害することになりかねないと僕は思っているので、情報量・速度の昔の比ではない現代ではNGとされるべき指導理念と考えます。
ただし、今のロッテは情報の統制傾向が強く、我々ファンがサブローのこういった声を聞ける可能性は低いと推察されますので、実際の答えは分からないと思います。

②感情を表に出せるタイプの選手は大好きだ。使いたくなる。
→未完につき省略

③自主性を重んじる。
→未完につき省略

懸念② 適切な指導体制を築けない

ただしこの点に関しては救いもあって、吉井・光山という球界の大ベテランがサブロー体制にガバナンスを利かせられる監視的立場にいるのは安心要素かと思います。(すみません、ちょっとここはだいぶ未完です)

懸念③ 新体制の指導陣への不安

1つは小坂コーチの一軍異動によって内野守備コーチとして独立することになる根元コーチ(二軍内野守備兼走塁コーチ)に高卒ショート3人(金田 勝又 黒川)を任される重責が重そうという点。
もう1つはトレーニングコーチだった根本淳平さんが今季から背番号が与えられず行方不明な点です。トレーニングコーチやトレーナーの体制やその職務の内情はなかなかオモテに出てこないので実情が見えにくい部分ではありますが、現代の野球観だとメカニクス解析は超重要な分野と言えそうなので、チーム運営においてかなり重要な職域(部署)かと思います。ただし田中靖洋がストレングストレーナーに転身した点をとってもまだチームとしてこのスタッフ体制は未完成な段階かと思われるので、フィジカルやコンディション管理的に問題が発生しそうな1年になるかもしれません。とくに二軍監督は「時期尚早という言葉が嫌い」と言う方なだけに、前のめりな選手育成で故障が増える…なんてこともあるかも。

閉幕を目前にした今、思うこと

という記事を後出しで出して非常にセコいところではある中、やはり情報統制がしっかりしたチームなので懸念①②は内情が表立って出てこず真偽の確認をしようもないわけですが、懸念③に関してはけっこう当たってしまっている感じはします。(とくに選手たちの故障が多かったという点でチームのコンディション管理体制に不安が残る点)

筆者の今後の予定として、せっかく今季も二軍データを収集し続けたので、閉幕後にシーズン全体の総括ができたらと思っています。(やる気が沸いてきたら)
あと、二軍データ収集および月間noteの更新は今季で引退というか来季は休むつもりです。


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