ココアにマシマロ ~ココア屋のとある日~ 【物語】
廊下の奥から、扉を開く気配とこちらに歩いてくる靴音が聞こえてくる。
さて、今日はどんなお客が迷い込んできたかな?キャビネットにあるレコードを選びながら、良きタイミングで「いらっしゃい」と振り返る。
「なんだ、姉さんじゃないかぁ~」
「あら、いまの言い方、『サザエさん』のカツオみたいだったわよ」
「なに?またパート脱け出して来たの?」
「やぁねえ、正規の休憩時間よ。それより、なんか飲ませてちょうだい」
「うちの店、ココアしか提供しておりません」
「馬鹿なこと言ってないで