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【ロストアイドルⅥ】「アイドルメモリーズ」―中国資本による「二次元アイドル」の試行錯誤(Existed)

近年、中国においても「二次元アイドル」文化が注目を集めるようになりました。

そうした潮流の中、2016年に放送されたアニメ「アイドルメモリーズ」は、中国資本によるこの分野への本格的な進出を象徴する作品でした。

https://x.com/idolmemories_PR から

「アイドルメモリーズ」は、中国ゲーム会社Happy Elementsが手がけた日本制作のアニメで、バーチャル空間でのアイドル活動を描いた作品です。番組は前半がアニメ本編、後半が声優陣によるバラエティ企画という構成でした。

この企画は、中国語タイトル「星梦手记」の名でも知られ、運営の中心は中国にありました。

「星梦手记」のweiboアカウントです

アニメ後半のバラエティ部分では、声優陣が中国語の学習に取り組む姿が中国語圏の視聴者に向けて紹介されるなど、中国市場を意識した作りとなっていました。

中国語勉強講座の風景(https://weibo.com/5926659560/Eg22IAUTY

また、関連グッズの多くが中国国内向けに販売され、オフラインイベントも全部中国国内:上海(16.12.24の1st fan meeting)と広州(16.10.1 CICFのステージイベント)で開催されました。(でも生放送イベントは日本での開催があります。)

https://weibo.com/5926659560/EnSbotyRr から(上海の1st fan meetingの撮影)

しかし、この「二次元アイドルプロジェクト」の先駆的試みは、中国の同分野におけるファンドムの未成熟さから十分な支持を得られず、継続が難しい状況に陥りました。

2019年10月16日、「アイドルメモリーズ」のオフィシャルチャットグループ(QQグループ)は解散しました(https://weibo.com/2066256095/IbK9YlmC3

同作品に関わったスタッフらは諦めずに「Dreaming Days」という新たなプロジェクトを立ち上げましたが、二次元アイドル文化の衰退の波に逆らえずに失敗に終わりました。

「Dreaming Days」のキービジュアル

一方、「アイドルメモリーズ」の音楽作品については、中国語版と日本語版がそれぞれ制作されました。中国語版は全7曲がリリースされました。

また。中国語版の歌手陣は、Happy Elementsとアミューズによる全国公募で選ばれた泡芙、小初、小舞の3人でした。

https://ent.cnr.cn/gd/20160914/t20160914_523136919.shtml から(泡芙、小初、小舞の三人)

2016年春から半年間にわたる専門的な歌唱・ダンス指導を受け、「星梦手记」の三次元中国人アイドルとしてデビューしました。

日本語版は声優陣によるアニメ主題歌など全11曲が収録されており、中国語版の方が曲数が少ないという事実からは、プロジェクトの位置づけに何らかの問題があったことが推測されます。

更に、中国では無料で聴けるのに対し、日本ではMoraなどの有料配信となっていたという違いも、不公平感を生んでいました。

日本語版の日本向け配信状況と中国向けの配信状況と中国語版の状況

このように、「アイドルメモリーズ」は中国資本による「二次アイドル」分野への本格参入を目指した意欲作でしたが、中国の同文化圏の未成熟さゆえに計画通りには進まず、試行錯誤を重ねた結果となりました。しかし、同作品を契機に中国における「二次元アイドル」文化への関心は高まり、後続の企画へと芽を残す役割を果たしたと言えるでしょう。

追伸:もし日本の未発売の楽曲の三曲(「USO仮面参上!」&「サクラメモリーズ」&「ステップバイステップ」)やハイレゾ音源に興味のある読者がいらっしゃれば、お気軽にお問い合わせください。何らかの方法でお聴きいただける機会を設けさせていただきます。あるいは、中国の音楽配信プラットフォームの利用方法についてご案内することも可能です。

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