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女王の化粧師(カーテンコール)

こんにちは。あとりです。完結後の番外編3作を無事に書き終えましたので、ご挨拶に。ちょっと干支を一周するとかいう長期連載になりましたが、最初に想定していたすべてのエピソードを書ききることができました。これもお読みくださった皆さま、折に触れて反応を下さった皆さまのおかげです。本当にありがとうございます。

女王についての記事もこれでおそらく最後だと思うとなんだか感慨深いですね。このたび番外編ページに収めた3作はかねてからこれだけは書く、と宣言していたものでした。せっかくなので番外編について裏話を少し。

未来語り
ダダンとマリアのふたりは恋人とかそういう感じにはならないと思ってずっと書いていました。あまりにも生活スタイルも出自も違いすぎるし、ダダンは目的があって旅をしているし、マリアは狸と顔師のせいで超絶現実主義者になり、特にアリシュエルという身分違いの恋の最悪の結末を突きつけられた人間なので。でも、お互いがお互い違う場所を見ながら、終生互いの関係を大事にして過ごした、そのとある日の一ページみたいな感じです。同時に聖教騒乱後、西大陸が完璧に平和になったかというとそうでもないなーということをほんのり滲ませていますが、まぁ世の常ですね。ダダンはそのうち、家族を見つけます。マリアはとても喜んだとのことです。

すべてはあなたのためだけに
アリガの話なんですが、これはこの作中にも出てきたヒノト(裏切りの主要人物のひとり)が主人公の後日談番外編、「この指に絡まる一筋さえも」とセットになっている話です。タイトルも繋げられるようになっている感じで考えました。一筋を書いていたとき、ちょうど女王の構想を練っていて、ちゃんとここまで書けてよかったなぁって思っています。アリガは女王候補の家に生まれ、容姿と、努力の才能には恵まれましたが、根本的な部分が普通の人で、全力の恋をして、その恋が上手くいかなかったあとも、上手く周りが見えなくて、前に進むのに随分と周囲のやさしさに甘やかされて生きた。そんな感じの人間です。少なくとも彼女は前を向き、仲間や新しく得た家族を大事にして、水の帝国の民のひとりとして生涯を終えた感じです。マリアと再会したか? それは皆さまのご想像にお任せです。
ところでこれで裏切りも書きたかった話を全て書いたことになるんですが、いやー久々の東大陸書くのは楽しかったですね。西と違って季節の起伏が激しく食べ物が色々あって。和風と中華の半々ぐらいの街並みです。

功罪の等分
ヒースがいなければダイは女王の化粧師になれなかったし、マリアージュも女王にはならなかった。マリアージュとダイがいて、ディアナ・セトラがヒースと恋をして、その愛ゆえにヒースがずっとディアナ・セトラを助け続け、それが最終的に大陸の混乱を静める布石となった、というのが、ヒースの功績です。マリアージュとダイの存在自体がヒースの功績でもあり、彼の犯した裏切りの歴史、罪でもある。その功績も罪も皆で背負っていく、家族の誕生みたいななんかそんな感じです。他国の皆は顔を出せないけれど、なるべく名前は出そうとしたらちょっと長くなりましたね。ヒースが相変わらず狸であること、夫を得てばりばり仕事をしているディアナさんの姿や、アスマとの関係を書けて良かったです。最後はマリアの初志貫徹を目指す心意気で終わろうとずっと決めていました。笑っていただけたなら幸いです。
なお、この番外編で顔出ししているゲストは中編「金環蝕」でヒーロー…いや、ヴィラン? をしている将軍です。この世界にいる四人の不老不死者のうちひとりで、作中でも語られる通り、商工協会の長でもあります。女王の作中で商工協会は色々と手を貸していましたが、それはもちろん女王の中で混沌とした時代をどうにかしようと足掻いた、ひとりひとりが上に掛け合ったからこそ、でもあるんですけれど、同時にアルヴィナが国の盛衰に関わるのを将軍が面白がっていたから、というのもあります。アルヴィナは出自が作中で語られている通り、傭兵から国の正規軍になり、他にも色んな仕事をしました。宮廷に勤めたことも何度もあります。けれどそのたびに人の醜さ、身勝手さ、妹を政治の道具にしていく人間の醜悪さやそれをどうにもできない無力感に絶望して、長く引き籠っていたんですけれど、今回、脱引き籠りをしましたから。おめでとうの気持ちだったっぽいです。
あと、ツイッターでも少し呟いたんですが、ディアナさんのウエディングベールに使われている真珠はアルヴィナが同胞をマジェーエンナという真珠特産国にお遣いに行かせて買わせたものです。裏切りの名前で番外がどっかにある。

さて、穴埋めみたいに、思いついたら女王の小話を落とすことはあるかもしれないんですが、やっぱり新しい話を書きたいですね。そのときはまた皆さまにお付き合いいただければ嬉しく存じます。

最後に、女王を強く応援してくださっていたt-snow様がつくってくださった女王の登場人物リストのリンクをこちらに張り付けておきます。本当にありがとうございます。わたし自身がものぐさなばかりに。あのこの網羅された人物すごいのでぜひご覧ください。


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