すれ違う人

今日は美容院に行ってきた。髪の毛がどうにもならなくて、周りの人にかつらなのではと言われるほど私の髪の毛は真っ黒で量が多い。本当は1ヶ月に一回は美容院に行った方がいいらしいのだが、いかんせん不精だし、美容院は行くと緊張するので得意ではない。ギリギリ放置して3ヶ月。それが限界。

カットの間は眼鏡をはずしていて、視界がぼやけている。自分の顔が好きではないので嬉しい。反面、スタイリング後に眼鏡をかける瞬間が死にそうになるほど嫌いだ。その一瞬は何度経験したって同じ精度で私のことを殺しにかかってくる。

美容院は不思議な場所だ。知らない人の無防備な姿を目の当たりにする。3ヶ月でも1ヶ月ぶりでも初回来店でも、美容師は適度な馴れ馴れしさを以て客と接する。それが許されていると思う。ふと、隣の客の会話に耳を済ませたり、美容師のプライベートを聞いたりする。ひとつの場に居合わせながらも、ここでしかすれ違わない人生を思ったりする。

そうして今は帰り、駅構内のコーヒー店でじっとしている。隣に座る老婦人が喋るたび、入れ歯がカチカチなっているのがなんとなくもどかしい。

今日、美容院で隣に座った女性は、年末はともだちの家で鍋パーティーをしてカウントダウンをするのだそうだ。素敵な年越しを。