輪郭

いつもなにか、許されたいと思っている。いつもなにか、正解を教えて欲しいと思っている。言葉遣い話し方目線の先指の動き喉の震わし方。誰かと生きるということ。そういう、正しさで描かれた私なら、強くなれただろうか。

誰もが皆、心と思考を持っていて、私の計り知れない場所で傷つき、育ち、繋がっていく。いい面も、悪い面も持ち合わせていて、どんな局面が見えるのかは、第三者との関係性やコンディションなんかに大きく左右される。
わかってはいるのだ。誰もが皆平等に誰かと付き合えるとか、そんなことは思っていない。誰かを救えば誰かを殺すことになる。誰かを生かせば誰かが死ぬのかもしれない。わかっている。些細なことで喜ぶ人も悲しむ人も、些細なことは気にしない人も笑い飛ばしてしまう人もいること。わかっている。
わかっているけど、わからなくなってしまう。
私の生き方、私の考え方、私の笑い方、私のすべて。
誰かと生きることで自分の輪郭がはっきりすると思っていたのに、相手の輪郭ばかりをでこぼこになぞってしまって、いつの間にか自分の輪郭を見つけることが出来なくなった。誰かをなぞるこの指は私から離れていってしまったようで、帰ってこない。本当は、私自身を探すための他人の輪郭なのかもしれないのに。

仲の良い先輩から聞く私の話と、私から見た私の話、似ていて離れている。離れているようで似ている。それでも上手く組み合わせられない。私という生き物は、どういう輪郭を持っているのかが、わからないのだ。言われた言葉が深く心にくい込んで、抜けない刺となり、そこばかりに痛みが集中してしまう。私の縁取りは、私以外の何者もやってはくれない。輪郭もあやふやなままで、生きるのは、しんどい。

誰か、教えてくれますか。私を。