しあわせ

自分が幸せというところからどんどん遠ざかっているような気がしている。そんなことはないと思う。思いたい。だけど、そういう尺度は絶対的なもので、自分が認めなければ幸せにはなれないのだと知っている。分かっている。だから私はいつまで経っても、どんなに幸せであっても、不幸せなのだと思う。そういう風に考えるような大人になってしまったことが、もう不幸せだ。
幸せなんて、誰が決めたものでもないのに、売り物でもないしそんなものなくたって私たちは生きていけるのに。生きていけるのに。なのにどうしたって願ってしまう。
別に悲劇のヒロインぶりたいのではない。こんな取り柄のない平々凡々の私だって幸せになりたい。でも、私がそれを許さない。難儀な性格なのである。まったくもってまずもって。

大人になれば、自立して一人でいることが楽しく思えるのだと思っていた。子どもの頃よりは、ただ一人でいる、ということを恥ずかしいと思わなくなってきたけれど、本当の意味での一人が怖くなってきた。子供の頃よりも遥かに。一人でいることの怖さがとてもリアルに私に寄り添ってくる。
誰かに寄りかかりたいと願えば願うほど、自分の孤独が浮かび上がるようで、いつの間にか馴染んだ場所も、拠り所でなくなってしまったような、危うさばかりが目に付いて しまう 。どこかに追いやられている。そんな気がする。立ち尽くす場所すらない。
そういう時、私は、とても自分を不幸で不憫だと思う。自分が憐れで仕方が無いが、同時に、だから私は、幸せにはなれないのだとも思うのだった。
だって、孤独が、私を離さないから。

別になんだってよかったのかもしれない。幸せになる道具みたいなもの。手立てみたいなもの。でも、私にはその道具を持つ手や、手立てを考えるちからがない。なんて、推論なんてどうだっていい。
幸せになれないなら、そういう答えが欲しい。
幸せになれるのなら、そういう答えが欲しい。
誰か教えて欲しい。
この世の、全部。

あなたはいましあわせですか。