ごめんなさいの嘘をつく

唐突に、誰かに許してほしいと思うときがある。それはもう唐突に。そういうときはひたすらにごめんなさい、私が悪かったです、と、誰かに謝る。そして、誰かが「いいよ、あなたは何も悪くない」と許してくれる幻想を夢見ている。でも、そんなことは起こるわけがない。だって、誰かに許してもらえるほどの罪を私は犯していないからだ。でも、私にとって私の罪は色々ある。それはもう色々。

たとえば、ブスなこと、たとえば、太っていること、たとえば、自己顕示欲が強いこと、たとえば、小説が好きなこと、たとえば、書き物が下手なこと、たとえば、たとえば、たとえば。

免罪符が欲しいのだった。何にでも使える、今を怠っても許される、最強の免罪符。でも、たとえ、本当に誰かが、私の中で絶対的な誰かが「いいよ、あなたは何も悪くない」と言ったって満足などしないこともわかっている。許されてしまっては、罪を犯すことはできない。ブスであるからこそに化粧をすることも、太っているからこそ胸があること、自己顕示欲があるからこそ優しい友達にめぐりあえたこと、小説が好きであるからこそ小説を書くこと、書き物が下手であるからこそ物語が好きなこと、そういうことが、できない。だから満足しては成り立たない。満足しない。しかし、満足しないこともわかっていても、やっぱり誰かに許してほしい。

だから今日も、ごめんなさいと、嘘をつく。