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【イタリア滞在記Ⅳ】②2023年12月第2週

Miserum est arbitrio alterius vivere.
「僕は胸を張って生きている」


2023年12月

4日(月)【おぉ、カリフラワーよ】

注意:この日記には、カリフラワーの写真が2枚掲載されています。集合体恐怖症の方には刺激が強いかと存じますので、該当される場合は十分ご注意下さい。

昨日 12/3(日) 夕方。アンドレアが冷蔵庫の残り物を整理した。

土曜日のコトレッタをリメイクした食べ物。すげぇ美味かった。

そして、今日 12/4(月) 朝。リビングで買い物に出かける準備をしていると、アンドレアが入ってきて、言った。
「今日は寒い。今、車の温度計を見てきたら2℃だった。ブランケットを持っていこう」

「ブランケットなんていらねーよ、車内にはエアコンがあるんだから...」
反対したが、やつはこちらに一瞥もくれず、僕の寝室へ勝手に入っていく。

「君のベッド巣穴に何か適当なのがあるだろ... あぁ、このぼろ布でいいや」

そう聞こえたのち再び姿を現した彼は、ボルドーとネイビーのブロックチェック柄の布を手に持っていた。

「それ僕が一番気に入ってるストールなんだけど! ブランケットでもぼろ布でもない!」

...結局、車に乗り込み、件のストールを膝に掛けて出発することになった。

出発直後、バールで朝食をとる。大きい方が僕、小さい方がアンドレア(の飲み物)。

バールを出て、まずはファエンツァの大型ショッピングモールへ。
僕もアンドレアも、冬服のほとんどを今年5月の洪水で失ったため、足りない防寒具を購入した。

胸板と腹筋は売り物ではない。金で買えたらどんなにいいだろう…

続いて、食材の買い物に。スーパーマーケットへはアンドレアが仕事帰りに一人で行くとのことだったので、野菜と果物の直売所を訪れた。

季節の野菜が売られている
カリフラワー大好き

Oh, Cavolfiore,
la stola tenera di foglie pure,
boccioli candidi nel süo cuore!

おぉ、カリフラワーよ、
けがれなき葉のやわらかなストール、
その中の純白のつぼみよ!

作/訳: ローリス M.
puroとcandidoを意味つながりで掛けた自分史上最高のストルネッロ


Tanka cavolfiore

 
Ha un buon sapore
Che puzzo se lo cuoci
È il cavolfiore
 
Ma se lo mangerai
Tanta salute avrai

カリフラワーの短歌

味はいい
加熱するとひどい匂い
カリフラワー

でも、これを食べれば
すごく健康になれるよ

作: アンドレア M.
訳: ローリス M.
横浜ではあまり見かけないカリフラワー。最初は見た目が気持ち悪いと思ったが、こちらも美味い。
色々な種類のキャベツ
色々な種類のキャベツは、夜、こうなった。美味いけど食った気しねぇ。
Aglio Olio e Peperoncino
僕は辛いものが苦手なので、うちのペペロンチーノは毎回何らかの方法で少し甘くなるように作られる。今日のはデフォルトの材料に加えて、エシャロット、小玉ねぎ、パプリカ(赤・黄)入り。もはやA. O. P. ではないけれど、今日イチ美味かった。

明日・明後日はアンドレアの仕事を手伝うから少し忙しいけれど、ペペロンチーノを4皿食べたから頑張れるはずだ。

231204

5日(火)【「あとで食う」】

朝食後、柿のむきかたを教えてもらった。先生が悪かったせいか、指を切った。

横浜の実家で食べる柿とは風味が違うけれど、甘くて美味い。

今日はアンドレアの仕事の手伝いで忙しかったので、秒で夜になった。夕飯は、ピザ。
アンドレアが作るピザは...まぁ、普通。美味いけど、僕が贔屓にしているピッツェリアには敵わない、というレベルだ。でも、今日は違った。

3日前に仕込んだ生地。白い粉はカビではなく、0番の小麦粉だ。
これを伸ばして焼くと…
まずは、練習用のトマトとモッツァレラチーズ。トマトソースが濃厚でめちゃくちゃ美味い。
こちらはディアーヴォラ。南イタリア産のサラミを使用。すげぇ美味かった。
そして、今日イチ美味かった、ジプシー風ピザ。生ハムと、玉ねぎ、パプリカ、イタリアンチコリーなど、きのう直売所で買った野菜が色々乗っている。
最後がこちら。ジプシー風ピザのトッピングに加えて、水牛のモッツァレラチーズが載っている。


「あとで食う」 失敗のもと 気のたゆみ
はりつきて見る 天火のかげん


今夜は半月だけど、満月みたいな最高に美味しいピザを作ってくれてありがとう。Sole e Lunaピッツェリア のよりも美味かったよ。

さて、明日も早いし、風呂に入って寝ようっと。

231205

8日(金)【果肉が踊る】

12/6(水)、中心街のクリスマスマーケットを見に行った。

ナッツのキャラメリゼが食べたいけれど、これから夕飯だから我慢する。
毎年異なるクリスマスツリー。今年のやつは電飾されていない。それでも僕は結構気に入ったのだけれど、アンドレアは、イルミネーションのないクリスマスツリーなんて有り得ない!信じられない!この町はもうダメだ!(?)と、ずっと文句を言っていた。
プレゼーペのパーツを売る露店。36歳児が物欲しげに眺めている…
ほら、このクリスマスツリー、周りの光に照らされているだけで十分きれいだろ。自ら光るだけが能じゃないもんね。
キャンディケーンを買った


昨日 12/7(木)。ファエンツァはマッツォラーニ邸(Palazzo  Mazzolani)の考古学展示を見学した。

Palazzo Mazzolani
17~18世紀に、バロック風の化粧漆喰を用いて建てられた。エントランスや中庭に、ローマ時代の色々なものが展示されている。それはともかく、入り口の奥、建物の中へ入っていく人の影が亡霊みたいで怖い。完全に姿が見えなくなるのを待ってから写真を撮ればよかった…
すげぇ、ローマ時代の風呂だ! と思い…
湯は張られていないけれど、浸かってみた。この後、ライオンの石像と戯れていた36歳児に「君は一体何をやってるんだ?! 早くそこから出ろ! 誰か来る!」と言われ、慌てて出ようとしたら右の脛を強打した。風呂上がりにバスタブのキャプションを読むと「玄武岩や斑岩、花崗岩の代わりに大理石が使用されていることから、ローマ時代のものかどうかは謎」と書かれており、アンドレアも「少なくとも排水溝は後から作られたんじゃないかな…」と話す。だったら脛にあざを作ってまで急いで出ることはなかった。
この日イチ美味かったものは、ファエンツァ観光の後、ルイージを誘って三人で訪れたレストランの『ミートソース・トルテッリーニ(リコッタチーズとジャガイモ入り)』。前回・前々回と比べて外食することがかなり減ったが、たまに外で食べると、アンドレアが作った飯を家で食ったほうが美味いとつくづく思う。

そして、今日 12/8(金)は、祝日(Immacolata)であると同時に、アンドレアの親戚(ユーヴェファン)の誕生日。

朝飯。アンドレアが気温1℃の中、近所の pasticceria へ車で買いに行った。ちなみに、背景のプレースマットは、昔、やつが僕にアルファベットを教えようと買い求めたもの。

'Na polpa balla.
Squisita la spremuta
d'arancia gialla.

La gente resta muta.
La reazione è immuta.

果肉が踊る。
すげぇ美味い
オレンジの生ジュース。

(これを口にした)人々は、いつだって
言葉を失う。

作/訳: ローリス M.

Tanka spremuta arancia 🍊

Tutta arancione
Bevanda un po' frizzante
A colazione

Profumo inebriante
È un sano carburante

短歌 オレンジの生ジュース 🍊

完全なるオレンジ色
朝食には
ちょっと刺激的な飲み物

うっとりする香り
健康的なガソリン

作: アンドレア M.
訳: ローリス M.

アンドレアは昼から親戚の誕生日会に行くので、朝食を済ませた後、パーティへ持っていくプレゼントを、二人で買いに出かけた。

ユーヴェのロゴ入り革財布をレジへ持っていくと、スタッフの女の子がアンドレアに、
「私もユーヴェファンなの」
と、微笑む。

彼は女の子には優しいが、ユーヴェとインテルのファンには厳しい。
さぁ、どう出る? と思いつつ横目で見上げると、やつは満面の笑みを浮かべ、
「そうは思えないけど」と答えた。

「本当よ」

「じゃあ、ユーヴェの次の試合、いつだか知ってる?」

「それは... 知らないけど...」

「今夜、ナポリとやるんだ。ユーヴェファンなのにそれを知らないのは問題だね」

「私、サッカーは見ないの」

...サッカーは見ないのにユーヴェファン...だと?

231208

10日(日)【プレゼーペの空に】

昨日 12/9(土)。アンドレア、ジュリオ、僕の三人で、遠足に出かけた。
まずは、チェゼーナを観光。

チェゼーナの中心街にもスケートリンクが設置されている。今日、アンドレアが女の子のところへ行っているあいだに、僕も地元の中心街へスケートをしに行こうっと。

その後、高速を時速210kmで飛ばしてリミニへ移動し、昼飯。

『イタリア滞在記』に毎回載せてる "PesceAzzurro" の本日のメニュー。撮影前にフォークをリゾットに突っ込んじゃった…  どれも美味かったけど、一番は写真上段右端の、サバとオリーブを混ぜたやつ。

昼食後、Savignano sul Rubicone (フォルリ・チェゼーナ県)にある博物館 "MUSEO DEL COMPITO" と、その隣にある教会 "Pieve di San Giovanni in compito" を、ガイド付きで見学した。

ガイドツアー開始時刻まで博物館入り口で待つ。見学者は僕たちを除き、親子連れだ。ジュリオから「友達がいっぱい来ててよかったな」と揶揄されたが、先の "ローマ風呂事件" 以降、展示室では保護者気取りの36歳児に手首を掴まれるようになってしまったため、拘束されていない方の左手でジュリオの胸ぐらを掴もうとしたら、右手首を骨が折れるのではないかと思うくらいの力で変な方向にひねられた。

無事(?)、博物館と教会の見学を終え、同教会の一角に設置されたプレゼーペを見る。

今年初めてのプレゼーペ!
夜が来て、星が出て、雷が鳴って、雨が降って…

Ci sono crepe
nel cielo di presepe.
Fanno la crêpe,

la condiscon con pepe,
fan bucato oltre siepe.

プレゼーペの空に
亀裂が入る。
垣根の向こうでは、

クレープを作って
胡椒で味付け、
洗濯をしている。

作/訳: ローリス M.

Tanka presepe

Mille lucine
Iluminan presepe
Sembran stelline

Ci son Maria e Giuseppe
Pilato e le sue truppe

短歌 プレゼーペ

千の小さな光が
プレゼーペを照らす
まるで星のよう

マリアとヨセフ、
ピラトとその兵がいる

作: アンドレア M.
訳: ローリス M.
結句が不穏w
夜明けが来た…

そして、今朝。
「君が一度にたくさん食べないように単価が高くても小分けのスナック菓子を買っているのに、一気に8袋も食べたら意味ないだろ!」と、相変わらず保護者気取りの、風邪をぶり返した36歳児に怒られた後、散歩に出かけた。

屋根の上のハト、数がエグい

231210

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