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「感想が来ない」という壁

 普段はてな匿名ダイアリーは見ないor見てもノーコメントであることが多いんだけど、下の記事とそれに対しての「同人は自分のためにやるものであって感想を求めるものではない」という反応を見てちょっと色々書きたくなったので書いていく。

 かつて2chのかんこなスレ(わからない人はググってね)に入り浸っていた身からすると、この怪文書を書くに至った気持ちがなんとなくわかるし、彼女をあまり非難できない。
 そもそも何故作品への感想が来ないことで過度に悩むのかというと、自分への自信のなさが一番大きな要因なんじゃないかなぁと思う。というか、かつての私がそうだった。自分で自分の作品の良さがわからないから、そこを他者からの称賛で補いたい、みたいな。その自己肯定力の弱さこそが、「感想が来ない」という壁の正体なんだと個人的には考えている。
 同人活動のハードルがどんどん低くなるにつれて、この「感想が来ない」という壁にぶちあたって悩む人もまた増えていくと思われる。おそらく現在進行形で悩んでる人もいるだろう。この辺境アカウントからの発信がそういった人たちに届くかはわからないけど、その壁を目の前にして途方に暮れている人の一助になれたらと思う。

 まず最初に声を大にして言いたいのは、「感想が欲しい」という動機で同人活動をやるのは1ミリも悪いことではないということ。
 なんかこう……世の中には感想を必要としない人種もいたり「同人は自分の好きでやるものだ」という通念があるために「感想が欲しい」という感情を表に出していくのは恥ずかしいな~と思う人が少なくない数いると思うんだけど、感想が欲しいという感情自体は全く恥じ入るようなものではない。私だって作品をいろんな人に超褒めてほしい。もちろん感想の強要をしたり感想をくれない人を逆恨みするとかは良くないけど、「感想が欲しいな~!」「褒めてほしいな~!」みたいなのはどんどん表に出していった方がいい。溜め込んでも良くない形で爆発するだけだし、その様子を見て後ろ指さしてくるような人種はあなたが口を閉じたところで感想を寄越すことは絶対にないので。
 まあドライな話をすると、同人活動は作品や本が完成してナンボな世界なんで、その本が作られた動機については割とどうでもいい人がほとんどなんじゃないだろうか。言わなきゃ他人にはわからない話だし。
 次に知っておいてほしいのは、作品の感想を作者に伝える人はごく少数であるということ。同人誌の頒布部数に対して感想を貰った割合は1%程度だという話まである。書く側も読む側も「感想が貰えないのは作品が悪いから」と思いがちだけど、感想をくれる人とマッチングできてないだけのケースが殆どじゃないかなぁって気がしている。このマッチングの機会を増やすためには、そもそもの閲覧数を増やすのが手っ取り早いと思う。閲覧数を増やすためのノウハウも色々あるらしい(投稿頻度を高めたり投稿時間に気を使ったり等)ので、そういうのを調べてみるのも良さそう。
 そして作品の感想を伝えるハードルを下げることも結構効果がある。そのためにマシュマロをはじめとした匿名メッセージツールを利用している人も多いだろう。私はGoogleフォームでチェックボックスで項目を選ぶだけでも感想を送れるフォームを作って作品のキャプション最上部にURLを貼ってるんだけど、ありがたいことに作品をアップする度に1~2回は感想をいただいている。たぶん「必死すぎだろ」って思われただろうし自分の作品を褒める項目を作るのはだいぶ照れたけど、それだけのリターンはあったなぁと思う。
 あとはやっぱり交流……なのかな……? 私はあんまり交流していないのでアレなんだけど、やっぱり自分が声かけるなら孤高っぽい人より幅広く仲良くしている人の方がハードル低いかなと思ってしまう。とにかく「私は言葉のキャッチボールに応じる姿勢があります」というのを見せることが大事な気がする。感想が欲しいというのはどんどん表に出していった方がいいのは、こういう理由もある。かんこな拗らせオタクはだいたい「交流がある人からの感想って義理っぽくてなんだかなぁ」って考えてしまうんだけど、貴重な可処分時間を自分の作品の鑑賞と感想を考えるのに費やしてくれる聖人は本気で大事にした方がいい。例えそれが義理だったとしても、自分のために時間を使ってくれたことには違いないので、ありがたく受け取っておきましょ。
 そして一番心に置いてほしいのが、「感想が来ない」という壁は高さも厚さも可変式であるということ。感想コメントだけでなくブクマやいいね数なんかも感想に含めるとその壁はグッと乗り越えやすくなるし、感想以外にも自分の作品の評価基準を見つけられると、「感想が来ない」という壁を気にせずぶち抜いて進めるようになる。私は小説書きなのでよく文体診断のサイトを利用していたし、今は感想を金で買うということもできるらしく、そういうのを通して自分の作品の強みを知っておくのは大きな支えになると思う。
 壁との付き合い方は正解が人によって違うので、各人が自分でどうするか考えるしかない。種類問わず、創作って生みの苦しみが大なり小なり伴うので、自分が楽に思うスタイルでやった方が絶対に良いことは間違いない。なので色々模索してみてほしい。極端な話、感想を貰えなくても死ぬわけではないので、壁を乗り越えたりぶち抜いたりせずに別の方向へ歩きはじめてもいい。そのくらい緩くやってもいいんです。真面目に。

 ここまで書いた話、読んだ人によっては「こいつは何でこんな当たり前のことを大仰に書いてるんだ?」と感じるかもしれないけど、その当たり前のことがマジでわからなくて途方に暮れている人種は確実にいて、そういった人種向けにざざっと書かせてもらった。今悩んでる人も、目の前の壁とのうまい付き合い方を見つけてほしい。

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