川崎に女神降臨、ミシェル騎手ファンの視線独り占め

トリコロールの勝負服にファンがとりこになった。美人ジョッキーのミカエル・ミシェル騎手(24=フランス)が27日、川崎で地方競馬デビューを果たした。



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【写真】ミニスカートで会見に臨んだミカエル・ミシェル騎手

短期免許での参戦初日は5鞍に騎乗。8Rは3番人気ピースフルジョイ(牝5、川崎・河津裕)で逃げて、ゴール寸前まで先頭をキープする奮闘ぶり。未勝利に終わったが、2着1回、3着2回と3鞍で馬券に絡んで存在感を示した。

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砂上で“天使”が舞った。トリコロールの勝負服をまとったミシェル騎手が両腕を前に投げ出す。8R。18年3月以来の出走となったピースフルジョイと先頭で最後の直線を迎えた。初勝利まで残り100メートル。右後方から迫る1番人気エメラルドスピアーの気配を感じながら、必死で追った。残り50メートル。あと少しが足りなかった。1馬身差の2着。8Rの2着が最高着順だった同騎手は「勝ちたい気持ちはありますが、もう少しとっておいて、後で勝たせてもらいたいです」と謙虚に言った。

勝利はお預けも、注目を独占した。群がるカメラマンに「川崎の鉄人」佐々木竹見元騎手は「重賞並みだね」と目を見開いた。お披露目の5Rは中団から力なく後退する11着。惨敗に終わったが、目の肥えた地元ファンの視線を集めた。ゴール地点で勝負を見届けた老紳士は外れ馬券を見やり、「これ、取っておかなきゃな」とつぶやいた。ブロンドの女神のデビュー戦は勝ち負けを超越して、記憶に留めたくなるほどのインパクトを残した。

10歳から乗馬を始め、18歳でデビュー。18年には72勝を挙げてフランスの女性騎手年間勝利記録を更新する活躍で名を上げた。「若いながら、経験はあると思っています」。若干24歳にして7カ国での騎乗経験を持つ。「今日は思ったよりレースがしやすかったです。応援の声も聞こえていました。多くの方にお会いできてうれしかったです」。ダートは人生で2度目。引き出しの多さで、早くも適応への手応えを見いだした。

ルックスにも負けない実力は、繊細な下準備から生み出される。今回取得したのは3月31日までの短期免許。当然、滞在序盤は大半の馬が初騎乗の馬。意のままに馬を操るためのルーティンは、日本でも必ず行う。初めてまたがる騎乗前に手の甲を馬の鼻面に優しく差し出し、絆の構築を図る。「まず私のにおいをかいでもらう。これが私なりのボンジュールです」。自分は敵ではなく一緒に戦う仲間。そう相棒に認識させて、ジャンヌ・ダルクのように人馬一体となって勝利に突き進む。

勝利の訪れは近い。ミシェル騎手は「今日はワクワクの方が大きかったです。とにかく騎乗して、なるべく早く勝利を挙げたいですが、経験を積みながら楽しみたい」とはにかんだ。今日28日は有力馬を含む6鞍に騎乗予定。先行する人気に結果で応える。

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