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【映画鑑賞】今夜、世界からこの恋が消えても【ネタバレあり】

(2022/09/14 3回目を観に行っちゃいました。それを踏まえて全体的に記事の手直しをしました。)

ストーリーや設定の紹介はありません。私の印象に残ったシーンを断片的に書き連ねているだけの記事であることをご了承ください。

7月の公開直後の土曜日に1回目、8月の最終日に2回目、そして9月の半ばに3回目を観に行きました。2回目と3回目は観賞料金の安い水曜日だったからか、私が1回目を観に行った土曜日よりもお客さんが多かったです。やっぱり通常料金はお財布へのダメージが大きいですよね・・・。

ストーリーをわかっているからこそ観るたびに細部を味わえますし、新たな発見もあるんですね。で、毎回同じシーンで涙腺を刺激されてしまうのです。これをきっかけに自分の泣きのツボを見つけられるといいな。泣きたいときに泣けないことに悩んでいるものですから。

ここからは、私が俳優さんのお名前を忘れないよう、役名(演者名)の表記で感想を記していきます。

透くん(道枝駿佑さん)のかわいさ、真織ちゃん(福本莉子さん)の美しさ、どちらも尋常ではないですね。そんな二人のデートシーンですから、何をしても画になります。おそらく台本にはないアドリブもあったことでしょう。だからこそ、二人とも共に過ごす時間を心から楽しんでいるのだなと感じさせられます。
全体的に淡く、柔らかな雰囲気に満ちた映像作りに魅せられました。とりわけ花火大会で肩を並べる二人はとても幻想的で素敵でした。二人のキスシーンで流れるBGM、観客を泣かせにかかってきてますね。はい、私はしっかりやられてきましたよ。

そんな二人の物語を作品と観客の橋渡しとして俯瞰しているのが、二人の親友である泉ちゃん(古川琴音さん)です。
親友である真織ちゃんの秘密を知る数少ない人物の一人であり、最初は透くんを露骨に警戒しながらも、いつの間にか透くんの親友にもなってしまうのですけれど、親友の為なら自分が傷つくことも厭わない一面もあって。
「やれることしかやらないし、やりたいことしかやらない」と、一見サバサバした感じですが、なんだかんだで真織ちゃんのために献身的に駆け回る姿がとてもけなげでした。

そして、1回目の観賞時は呆気にとられて、そのまま置いてけぼりにされたのが、透くんの突然の“退場”。いやいや、あまりにも唐突でしょう。
透くんと真織ちゃんのデートシーンを少し削ってでも、もう少し時間をかけて透くんが“退場”に至るまでを描写してほしかったのが本音。

今作の真骨頂はここからです。心が壊れていく真織ちゃんにいたたまれなくなった泉ちゃんが透くんの姉である早苗さん(松本穂香さん)に、真織ちゃんの日記から自分の存在を消し去ってほしいという透くんの遺言を伝えるのですが、早苗さんがそれに対して超然と言い放つ姿に涙が浮かんでしまいました。

「綿谷さん(泉ちゃん)の心が痛むのなら、日記の改ざんは私が引き受けます」
「(消すか否かを)決められないのなら、全部私のせいにすればいい」
「私には弟の遺志を継ぐという理由があるから」

肩を震わせながら日記の改ざんを手掛ける早苗さんの心中には計り知れないものがあります。真織ちゃんの手書きの日記をパソコンに入力し直す段階でも、在りし日の弟を思い浮かべては苦しみや悲しみに感情を支配されるはずですし、さらに、日記上の「透くん」を「泉ちゃん」に書き換えることで透くんにとってかけがえのない恋人の記録からその存在を消してしまうのです。
自分たちの行為はかつての恋人たちを守っているのか壊しているのか、最適解のないジレンマに苛まれる泉ちゃんと早苗さんは今作における影の主役だなと。

今作を、アイドルのプロモーションの延長でしょ、と侮ってはいけません。

そういえば、早苗さんは作中を通してどのシーンでも黒い衣装でした。母の喪に服し、さらには弟の喪に服し、という心境の表れでしょうか。真織ちゃんだけではない、早苗さんにも未来をおろそかにしない人生を生きてほしい、そう思いました。

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