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ハイカーの本棚

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サコッシュと外読書〜ノーマン・マクリーン「マクリーンの川」

サコッシュに本を入れて、買い物に出るようになりました。ひと気のないところを見つけては少しだけ読書。おもてで本を読んでいて、風が頬を撫でたりすると、テントサイトで読んでいる気分です。 この時期を無事に抜けきったときに、しるしが残るよう、普段とは違う本を選んで読むようになりました。 「マクリーンの川」はアウトドア・エッセイの中では広く知られている本です。原題の"A river runs through it"の方が知られているかもしれませんね。 釣りをしないわたしには、なか

ハーマン・メルヴィル「白鯨」

 初めて入った古本屋さんで偶然見つけた「白鯨」。ハードカバー版を見るのははじめて。訳者のお名前が表紙には書いておらず、誰かしらと奥付を見たら、なんと野崎孝さん訳。鼻血が出るかと思った。白鯨は翻訳家によって、かなり文章の雰囲気が異なり、それぞれの訳者によって読む印象は変わってくる。文学の始まり頃の作品であり、内容自体が型にはまっておらず、とりわけ冒険小説的に読んでしまうと苦労する。それは「森の生活」をアウトドア暮らしの本として読むようなもの。 94年に「世界の文学セレクション

"A Walk in the woods"を読む時間

アパラチアン・トレイルについて書かれた本では、アメリカ国内においてとても有名な作品。中年のおじさんが二人でトレイルを歩くお話。原作より20年ほど経って映画化されたせいか、主役が高齢者ハイカーになっていた。最近は高齢者スルーハイカーも増えているのを見れば、ミドルエイジ・クライシスがそのまま、老後の問題に推移したようで興味深い。 翻訳版はさっさと絶版になってしまったらしい。高値の取引が続いている。翻訳版を図書館から借りて読んでは見たものの、歩いた人間にとって違和感を感じてしまい