自選三十首ver.2


去年の7月、おそらく誕生日を迎えた時点でしょう、自己紹介のために自作短歌を三十首選んでました。あれから半年以上が過ぎて、読み返してたら更新したくなったのでします。そのままの歌も多いですけどね。

なんとなく気分で口語の歌に絞ってみました。どうぞご笑覧くださいませ。


自選三十首(2019年4月1日時点)

運転手さん前の車を追いかけて そのまま抜いて海へ向かって

さわげない悶絶がある人生の角に小指をぶつけてみれば

シャワー超よわくしたらさ 超よわいお湯でてくんの 穴ぜんぶから

寝袋で定義している寝室にあした冷蔵庫がきてしまう

折り鶴のあまりとがってないほうを頭に変えるあやまりながら

鏡も見ずにくちびるの下のひげを抜く指のなんたるOKサイン

最後だけ百万点の問題になってあなたをささえていたい

好きな曲ばかり流れるウォークマンに好きな曲しか入れてなかった

乗客を一掃すれば終バスはきのうを乗せるだけののりもの

声優が死んでしまったキャラたちを逃がしてみたいプラネタリウム

幸せが歩いてこない 吉野家の並はこんなに早く来るのに

お詫びしたあとお詫びするとうめいなドミノを並べ続けるように

会えたから見落としていた「着いた」ってメールに今日があふれだす帰路

玄関と廊下の照明スイッチを間違えちゃってたのしい帰省

ビン・カンとペットボトルが分かれつつ中で繋がっててラッシュアワー

起きたときわすれてしまうよい夢のひとつひとつにはさまれる羽根

戦犯はぼくらしいのでそれはもうよい戦争があったのだろう

五階から顔だけこんにちはしてるひとにおそらくついてる体

夢で見たあなたの腕を数えたら二本だったが数えたのだそれを

バスがゆく 三原則の一角をあなたで埋めてゆく バスがくる

ミスチルをしらないひとがぼくのことしっててくれてもうそれでいい

トイレから帰ってきても双六が自分の番でないさみしさは

最期まで笑いたいのでおしりからおれサブレーは噛んでください

ふいにあの歌詞がわかってメールだけ届く転職サイトを抜けた

だとしてもぼくはこうして錯覚で短く見えるほうの棒です

真夜の空を指したら星があることをきみの手柄になぜしないんだ

たったいま気づいたんだがくぐりうる 風が平均台をくぐりうる

クリスマスケーキ売り切れ おめでとう そうだ世界を救いに行こう

天国で待ってるよって言われたし倒れた自転車を起こしてく

雪は口にふしぎと入らないままにどうでもいいことを話してる

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