短歌十首「手入れをやめて草が生い茂る売却予定地の写真」
手入れをやめて草が生い茂る売却予定地の写真 御殿山みなみ
たしか霧の朝に利き手の反対で揺らしたことのあるさくらんぼ
人形も持たず参拝客たちは腹話術士のくちびるをして
どちらとも老人ホームなんだけどこれをいつまで驚くだろう
夕焼けはまだ先だけど整った雲に胸がつぶされてしまいそう
帰ったらつけっぱなしのテレビから知らない芸人の声がする
アイドルのめがねと、めがねのアイドルと、電池がないとだめなリモコン
逆算で夕方にしたひげそりをぼくは秘密にしてはいないが
怖さとは美しさでもあることのどんなこけしに頷かれたい
シャンプーと言えば意味する特定のシャンプーをあなたと増やしたい
受け止めてしまう夜道のバスケットゴールはいつもからっぽだなあ
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