共題連作 第5回
歌人ふたりが同じタイトルの五首連作をつくったらどうなるか企画、新年明けましては最初の試みになります。
今回のお相手はとわさき芽ぐみさん。塔短歌会所属、僕もけっこうあちこちで短歌のからみをさせていただいてる方です。お声掛けいただいてたんですが、この時期までずれこんじゃってごめんなさいね。
とわさきさんといえば爛漫な文体が特徴的だなあと思ってまして、適当にタイトルメーカーから拾った題「木陰、君の面影」にてどんな連作が飛び出すかなあとわくわくしてました。とりあえずご覧ください(とわさきさん、提出尋常じゃなく早かった!)
木陰、君の面影 とわさき芽ぐみ
ペコちゃんの頬が切れてる包み紙ばっか残って さよなら にんげん
たっぷりと墨を溶くから眠れないあなたも眠るあなたもそこで
ネガのまま死んだみたいな顔をしてかにパンちぎってきみは永遠。
とほうにも暮れ方がある くれてやる 承認よっきゅー、蒸発地帯
ペコちゃんの笑窪を埋めるキスだろう埋めるんだろう笑窪なくても
木陰、君の面影 御殿山みなみ
電線の影をたどればリコリスは何語だったかぶつかる木陰
へこんでる木はくすぐったのは涙よりあとだったスイッチの逆
ふりむいてタコというより英語かな武器のウィンナーあちらも木陰
雨が降りそうな仕事がだいじだと言ってしまったのが気がしない
カラスっぽい影が一瞬木陰までふくれてもどるまで好きだった
いかがでしたでしょうか。
今回、僕もけっこう文体で挑戦してみました。前からやりたかったのを、とりあえず形にできたからホッとしてます。とわさきさんの文体と並べたら浮かないのではとの計算もありましたがどうだろう。
連作タイトルとしては構成が限られるようなものでしたが、ふたりの主体の感情のベクトルがいい感じに違ってる気がします。つよめ、よわめ。はっきり、ぼんやり。
ということでこの企画はまだまだ継続していけたらと思います。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
最後になりますが、企画にご協力くださいましたとわさき芽ぐみさんに御礼申し上げます。ありがとうございました。
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