共題連作 第3回


歌人ふたりが同じタイトルで五首連作をつくったらどうなるだろうの企画、第3弾です。

今回のお相手は藤田美香さん。「まひる野」所属の歌人さんです。光栄なことに、やりたいとお声かけいただいてましたので、遠慮なく巻き込んでしまいました。

例によってタイトルは、診断メーカーで出てきたランダムなものを。いちおうお相手の方が決めなければそれでやりますが、タイトルひっさげてきてくださってもいいですよ。

それではさっそく作品に参りましょう。お互いに完成するまでは相手がどんな仕上がりになっているかわかってない状態で、『鋭い東』です。



鋭い東 藤田美香

休日に忍び込んだ学校の廊下で泣いた。月が見ていた。

ごめんなさい昨日無理やり笑ったこと眠くないのに眠ってたこと

春先の月のようにも思えるし足のつめたさ沈沈として

つまづいて転んで捨てるくらいなら愛だなんて名乗るなおまえ

狼に私もきっとなるのだろう犬が東に向かって吠える


鋭い東 御殿山みなみ

親満を平和でつぶすたのしさを世界平和に活かしてみたい

萬子を右にかためてくれる対面のそこから發を切っていること

たくひれの白の暗刻よかけごとにしないゆるさを覆いゆく夜

たとえばとても殺りたい人がいたとして一向聴は理性のことば

気がつけば東を鳴かれて恋人のことを考えてたことにする

 

いかがでしたでしょうか。3回やってみて、今回が一番作風がばらけた感じがします。

藤田さんの連作は、孤高で力強い文体。鋭く生きていくイメージが伝わってきます。対して僕はタイトルを麻雀で解釈するわなんだか力が抜けているわで並べてみたら笑っちゃいました。

でもこんな感じで差が出るのが楽しいですね。次もやっていきたいです。その際はどうぞ、楽しんでいただければうれしいです。

それでは今回はこのへんで。最後になりますが、お付き合いいただきました藤田美香さん、改めてありがとうございました。

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