評bot 5


今回もはじめます。趣旨は下のツイートをご参照ください。やっとひと段落って感じです。もちろん忙しいのも大歓迎です。

例によってご利用者様は敬称略にて失礼いたします。


美少女アニメのエネルギー借りパクしたって無敵にはなれないし /無縁

「借りパク」という言葉のあっせんは面白いと思います。「アニメ」から得られる「エネルギー」があることはわかるのですが、それって「返す前提」ではないと思いますので。なんとなく違法視聴を思い浮かべました。そういう、正しくはないようなエネルギーの借り方でしょうか。

そのおもしろさが、結句の「無敵にはなれないし」で受けられていないように感じます。「借り」ようが「借りパク」しようが、「無敵にはなれない」のは同じに感じますし、その上でどっちがよりなれそうにないかというと「借りパク」のほうなので、なんか当たり前のことを言われたなあという気がします。

もちろんこれだけでも短歌だとは思いますが、この心情からもう一つ踏み込んでより多くのことを言いに行く方向もありなのかなという気がするのは、のっぺりした韻律が理由かもしれません。おおむね31音で、それぞれの句の切れ目がなく、散文的な印象が強いため、言葉が悪いですがまとめられちゃうな、と思うところはあります。

ご利用ありがとうございました。


七月は虫あみ持った警官が蝶追いかける ためらいながら /北原有

おもしろい歌だと思います。そのおもしろさはまず景です。単純に、虫あみ持った警官」がおもしろいのです。しかも「蝶追いかける」ですし。警官としての職務には似つかわしくなくて、いやこれは職務ではなくてノリノリでやっているのかもしれない、と思いきや「ためらいながら」でやっぱり気にしてるんじゃんがあるという、演出のていねいさがおもしろさに一役買っています。

構造的には一字あけがあっておかしくない歌ですが、タメる必要性があるかどうかは疑問です。自分の心の歌というよりは観察の歌なので、さらっとつなげた方が自然かもしれません。ここは読み手の感覚次第だと思いますのでお任せいたします。

もうひとつ気になるのは「七月は」の入りです。このエピソードって「必ず七月に起こるエピソード」じゃない気がするんですよね。そうだとすればこの表現で全く問題ないのですが、どうしても「七月」に紐づけるとそれが習慣性を帯びます。この「ためらいながら」に習慣性があってよかったのかはわかりません。ただ、個人的には、習慣性があるというわけではないのであれば、代替表現を検討したほうがよいかとは思いました。

ご利用ありがとうございました。


今回は以上です。


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