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4月 雑感

朝、通勤で歩道をのんびりと歩いていたら、前方から中学生の女の子に見える二人組が近づいてきた。歩道はそんなに広くなくて、すれ違ったときにちょっと近くなっちゃうかな、と思い、なんとなく歩道のへりの縁石にひょいっと乗って、その上を歩いた。
ところが学生たちとすれ違った瞬間、革靴で縁石の上をゆくなどという知性のないことをやっていたせいか、いとも簡単につまづき、体勢を崩すように縁石から降りてしまった。やばっと思ったのも束の間、降りた衝撃で若干開いていたアゴがかこーんと閉じ、勢い余って鼻から「フガンッ」とでかめの音を伴って空気が出た。
学生目線からすれば、スーツのおじさんが縁石に乗り出して、すれ違ったと思ったらフガンッって鼻息とともに転びかけているわけで、まあ笑われただろうなと思って振り返ることはできなかった。さいわい音楽を聴きながら歩いていたので、二人組の反応はなにも感じ取れなかった。聴き慣れたalvvaysというバンドの聴き慣れた曲の歌い出しが流れる。私は大学を辞めた...
僕は歯並びが悪くて、前の上下四本は全く噛み合っておらず、しかも段違いになっているのだけれど、さっきの「かこーん」で被害はなく、噛み合わないなりに前歯たちはおさまるところにおさまっていた。となると仮に僕の歯並びが健常だとするとさっきの「かこーん」はどうだったんだろう、という気になってくる。むしろそっちのほうが歯と歯のぶつかり合いになって「フガンッ」成分は強かったのではないだろうか。そんな気持ちで自分の口腔内に意識を向けると、歯並びよりも今下唇にできているでっかい口内炎が気になってきた。
すこしだけ唇付近をなめると、わずかにリップクリームの感じがした。そこで唐突に、カントリーマアムがなんとなく小さくなった気がするみたいな企業のコスト削減ってあるけど、リップクリームのそれに僕は気づけるだろうかというもの。そもそもあるのかどうかすらわからないけれど。
少し前、買い換えたばかりのリップクリームを開けたら、なんか終わりかけのそれって感じがあって、え、もう? ってびっくりしたことがあって、まあそれは古いのを捨て忘れていてそっちを開けちゃっただけなんだけど、そのときの「え、もう?」が、わりかし自分の中で残ってたんだなと思う。
それを思ったのは確か出張先のスタバで、ハメを外してメロンメロンなる豪華なフラペチーノを楽しんでいた時だった。広告にこれでもかってくらいメロンのイラストがあって、あれ果汁飲料の広告の公正競争規約的に果汁100パーセントじゃないとダメじゃなかったかということがよぎり、速攻でフラペチーノは果汁飲料じゃないわなと思い直した。なんとなくそのあとフラペチーノのことを調べたら、フラペチーノがスタバの登録商標ということを初めて知った。
公正競争規約のことは知っていても、フラペチーノの登録商標のことは知らなくて、世間ってほんとに知ってることと知らないことだな、みたいなことを思う。知ってることでマウントを取っても、知らないことでマウントを取られるんだろうな、という予感が、ますますインターネットでなんらかの思想を表明する気を失せさせる。
世間すげーな。あー。の、「あー」で、今月ずっとやってたな。


さてペナントレースも本格化し、我らが阪神タイガースは少なくとも去年よりはよいスタートを切り、選手の良し悪しはありながら楽しく応援しているのだけれど、なんかこう数年野球応援から遠ざかっていたことでいますごくびっくりしてるのが、選手のSNSへのダイレクト誹謗中傷である。
これは本当に理解できない。というかファンなら理解できない。ペナント一年頑張ってもらわないといけないのに、その誹謗中傷が選手にマイナスに働いたらどうするんだろう。青柳のインスタにあがってるそういうコメントを見ながらつくづく思う。
僕は割と野球に関しては平和的じゃなくて、子供のころの巨人がすごく嫌いだったのもあってそろそろ巨人は2年連続Bクラスをやってもいいんじゃない?と思ったり、他球団のカードは順位的に阪神が得になる結果を望んで「こっちが負けてほしい」と思ったりする(つまり、「こっちが勝ってほしい」とは思わないってこと)。ダメな選手がいたら不満を持つし、二軍行ってくれと思うし、それくらいだったら、Twitterで書けるかな、とも思う。
ただやっぱりそれを選手に直接いけるかといえば無理だし、まして誹謗中傷となると、それが民事刑事リスクになるということを度外視しても無理だ。
ここは聖人ぶりたいわけではなくて、なんでそんなことができるんだろうという不思議は自分の中で腹落ちしたいなというだけのことなのだけど、ネットのいろんな分析を読んでもいまひとつしっくりくるものではない。まあ、本当はなんでそんなことができないのか、を考えるべきなのかもしれないけど。
とにかく選手には気持ちよく不調から立ち直ってほしい。これはどの球団の選手であっても。

通勤の際になんとなく気持ちが入らないなと感じるたびにルーチンのようにかける曲があって、
Arctic Monkeys/Brianstrom
The Flatellis/Flathead
Green Day/Maria
SUM 41/Underclass Hero
Vampire Weekend/A-Punk
Steriogram/Walkie Talkie Man
の流れなんだけど、これを言ったときに「邦楽はないんですね」とか「女性アーティストはいないんですね」って言われることはあるのかな、みたいなことを思う。
これはなにか個人的なイデオロギーの発露というわけではないので、これ以上は書かないけれど、いま僕は仮想敵を立ち上げてしまっていて、そうだとわかっていればいいものの、こういう誰かとその誰かの仮想敵との戦いが、変な巻き込み方をしだすように見える事象は、インターネットを見ているとたまに感じる。

ゴールデンウィークが近づいてきた。色々と予定があって楽しい。毎年四月は余裕がないほうの月だと思っているから、しっかりリフレッシュしたい。

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