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8月22日

 温和な上司に、謝っても取り返しはつかないから、と言い捨てられた時には自分の存在ごと否定された気がした。たしかに重大なミスだった。

 でも無理な仕事が重なって、チェックしてくれた先輩も見逃して……だけど紛れもなく私の責任だった。今も思い出すと自己嫌悪で死にたくなる。

島本理生「わたしたちは銀のフォークと薬を手にして」


大好きな小説の一節を思い出した。今まさにこんな状況。

仕事でミスが発覚した。

組織で仕事をしている身なので、決して1人で仕事ができるわけではなく、複数人のチェックが漏れたこと。土日返上で働き詰め、視野も狭く精神的にすり減っていたこと。こんな若造には何の責任も負えず何かトラブルやミスがあった時に頭を下げるのは上司であること、矢面に立つのはトップであること。
だけど私の責任だった。

申し訳ない。苦しいし悔しい。肩身が狭い。情けない。

なぜこうなったのか。正直なところ記憶は曖昧だ。でも、あの業務量と残業時間で働いていたら無理もない、という気持ちもどこかにある。当時の記憶が抜け落ちていて、自分が行った仕事や判断が、まるで他人のことのように感じる。気持ち悪い。

でも、そんなことは結局言い訳でしかなくて。このやり場のない気持ちを書いた本の一節があったことを思い出した。

明日が来るのが怖い一人の夜にこの本を開いたことを、私はきっと忘れないと思う。

毎朝瞑想していて良かった。私にとって瞑想は、日々を生きる上で、ちょっとした心のお守りみたいなものだ。この本も、そんな感じだ。

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