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歯学部の教育【3、4年生編】

1、2年生編に引き続きの教育シリーズです。

歯学部に入学した1年生や大学受験予定の方向けです。

また歯医者がどんな教育を受けているのか知りたい方もどうぞご覧ください

【注意事項】
大学の教育カリキュラムは大学によって異なります。
本記事は私の卒業した大学のカリキュラムをもとに書いています。


【3年次】


忙しい2年生が終わると少し安心。

もちろん忙しさのからの解放がありましたが、何より進級できたことに安堵します。

私の同期は2年次に5人ほど留年しました。

上の学年から5人くらい留年者が入りますのでプラマイゼロです。

3年生になるとまた新しい分野がスタートします。


<私が3年生で習った科目>

歯科理工学、薬理学、微生物学、放射線学

3年の前期はすごく余裕がありました。

どちらかと言うと講義中心。

時間を使う実習がないとレポートもありませんし、すごく楽になります。

なんで2年生であんなに詰め込んだのか理解できません...笑

今はカリキュラムも改善されているかもしれませんね。

とにかく落差がすごかった。

2年生で勉強慣れしたら、3年はのんびり遊んだりバイトする時間が増えました。

ざっくり科目を紹介します。


『歯科理工学』

主に歯科で使用される材料・材質の勉強です。

素人とほぼ同じ状態の歯学生にとっては謎の物質の勉強です。

ですが、この材質・材料は歯医者になってたくさん扱います。

・レジン(詰め物や入れ歯の素材)
・金属類の特徴(詰め物、入れ歯や矯正のワイヤー)
・セラミック(詰め物、被せ物)

他にもたくさんあります、キリがないです。

このような素材の特徴や強度を勉強します。

非常に重要な科目なのですが、歯学部3年という早期に勉強しても即忘れます。

とりあえず知っておこうくらいの感覚です。


『歯科薬理学』

歯科医は薬を処方します。痛み止めや抗生物質がほとんどです。

しかし痛み止めと言っても種類も多くどのように作用するのかを勉強します。

とにかく色んな薬が出てきてムリやり覚えさせられる...

ものすごい量の情報がインプットされます。

テスト後、ものすごいスピードで忘れます。

2年次もどうですが、講義を受けてもアウトプットする機会が少ないのがこのカリキュラムの問題点です。

実習はなかなか興味深かった。

ラットを使って麻酔薬の効果を測定するなどでした。


『微生物学』

歯の病気は細菌によって引き起こされる。

虫歯も歯周病も細菌が関係します。

そのためこの科目は大事です。

しかし歯科に特化した授業ではない。

皮膚の常在菌なんかも学習します。

テスト後、間違いなく一度忘れます。


『放射線学』

レントゲン写真は誰にでもわかる用語になりました。

歯科ではレントゲンやCT、場合によってはMRIを撮ります。

そのため放射線の知識が必要不可欠となるのです。

3年次ではその基礎を習います。

やっぱり最初は基礎...笑

臨床を混ぜて勉強させた方が私的には覚えると思います。

しかしカリキュラムはいつも多量のインプットから入るんですね。

・「放射線とは何か」
・「放射線発生のメカニズム」
・「放射線の被曝」

などです。

大事なんですけど臨床に上がることに一度忘れます。


以上こんな感じです。



『歯科理工』『薬理』『微生物』『放射線』

歯科に関連した内容が入りますが、まだ基礎分野です。

インプットをさせられます。

「一度忘れます」がお決まりのセリフ。

覚えることは多いのですが、私の大学では3年次はユルい。

そのため留年者がほとんど出ません。

できなかったバイトもできるようになったりします。



【4年次】

4年になると、ついに臨床科目が入ります。

医歯薬以外の大学は4年で終わりです。

でも歯学部では4年生というのはまだまだ素人同然です。

やっと「治療ってこういう感じだよ」というのを講義されます。

予防、保存、歯周病、小児、補綴、矯正、口腔外科、歯科麻酔。

ざっくりとこんな感じです。

『保存』がいわゆる虫歯の治療ですね。

『補綴』(ホテツと読みます)は被せ物や入れ歯とかです。

4年次の前半は講義です。

講義が進むと実習もあります。

実習は模型を使って歯を削ったりします。

今振り返ると、模型でも初めてのことは緊張した気がします。

あの緊張感は歯科医になっても忘れないようにしています。

歯科医になると当たり前になり「怖さ」がなくなります。

しかし実際にやっていることは非常に危険なことでもあります。

実習では模型で歯を削る以外に歯周病治療、矯正や入れ歯を作ったりします。

ようやく歯科医に近づいた実感がもてます。

私の場合はこの実習で被せ物や入れ歯をつくるのが楽しく感じました。

4年次になってやっと歯に興味がでてきたのです。

そりゃ3年次まで歯のことってほぼわかってませんからね。

そんなこんなで私たち歯科医の教育は6年のうち半分はほとんど歯を勉強しません。

本気でやれば4年でも卒業と国試まではいけます。

しかし5年と6年は臨床実習+国試勉強期間があるので必要なのかな?


5、6年編につづく












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