夏の爽やかクトゥルフゲーム『HELLO, HELLO WORLD!』ネタバレなし感想
結論から言う
「爽やかなクトゥルフ」っていう時点でそこまでエグくないだろう、と思ってプレイ。良かった、好みの展開。ラストは絶望的ではあるものの、主人公たちが酷く痛めつけられるということもなく(まあゲーム開始より前の時系列でいろいろあったが)、可愛いパステルなイメージそのままに物語は幕を下ろした。良かった良かった。
感想なんてその程度のものだが、これだけじゃさすがに記事としてどうなのかと思うので、良い意味で気になった要素をピックアップしてみる。
モブの謎過ぎる会話
立ち絵付きのキャラ以外に、町中にはぽつぽつとキャラクターが出現する。その見た目も個性的だが、話しかけてみると言ってることがみんなおかしい。たぶん邪神とか関係なく。
これは作者さんの趣味なのか……例えば、
・めかぶの話ばかりする女子中学生
・グッピーにしか興味ない警官
・アホなことしか言わない、どこからどう見てもアホの子
このゲームは町中に散らばる彼らに話しかけることで「情報ポイント」を集め、それを使って次のストーリーを読む、というシステムになっている。ということで必然的に、大量の意味不明な会話を聞くことになるのだが。
みんな変!
とプレイした人はたいてい思うのではないか。
まあ意味不明ながら、ちょっと懐かしい感じもする。学生時代、友人が突拍子もないことを言い出したのをきっかけに、ノリで適当な言葉を交わし合いエスカレートさせていく、あの説明しづらい雑談。暇を持て余した戯れ的な、意味はないがやたら面白いやつ。ちょっと自分、記憶力弱いから思い出せないけど。
町がすごいカラフル
この紹介記事のSSを見てもらうとわかるが、家や海の色がやたら明るい。キャラクターと同じくらいのカラフルっぷり。
「こんなピンクっぽい家が……!?海沿いだからってパステル過ぎないか……!?」とけっこうびっくりした。
そういうところは、もしかしたら慣れるまで大変かもしれない。私もゲームを始めた当初、画面を見ていると目がチカチカしてちょっと疲れた。すぐ慣れたが。
どちらかというと、道の分かりにくさの方がネックかもしれない。
町はそれほど広くないがかなり入り組んでいて、通れる部分と通行禁止のところがはっきり区別できない。「この隙間は通れるのか?」「隣のマップに移動するにはどこを踏めばいいんだ?」となってしまう。
まあ、狭い町だから、行き来するうちに覚える。周回プレイ前提だし。
終盤エリア
ネタバレにならないように言うのは難しいが、とにかく終盤が重要。
なんだかよくわからないまま進んできたストーリーが、唐突に核心をあらわにする。
その演出がけっこう良かった。世界がぐるりと反転する感じ。
なんでこう、世界の裏側っていうのはそそられるんですかね。どんな形であれ。
クトゥルフが元ネタである以上、世界の裏側なんてろくなものではないってことは分かっていたけど、うーんなるほど、まあこのくらいなら無機的でクリーンな感じでいいかな。そんなにエグくない。
トゥルーエンドも良かった。もちろんクトゥルフな感じで終わるわけだが、個人的にはメタ感もあったと思う。邪神は誰なのか、という点において。
ただその、終盤で急にゲームジャンルが変わるというか、まあ紹介にあった「アクションを含みます」がここでようやくお目見えする。それまでのんびりしていた分、ちょっと大変だった。
ところで、みんな「夏」好きだよね
このゲームの季節は夏だ。夏。
夏ってなんか、青春の匂いがする。
エヴァンゲリオンは永遠の夏。最近だったら『君の名は。』とかも夏じゃないか?『サマーウォーズ』とか『夏への扉』なんてタイトルからして夏だ。SFは夏大好きか。っていうか引き合いに出したのが「夏休み映画」ばっかりだから夏なのか。
(あっでも『闇の左手』は冬のイメージがあるな……青春モノじゃないし除外しよう)
ひと夏の冒険、という言葉もある。
現実でも、少年たちが何かやるとしたら一番長い休みである夏休みだろう。
まずい、夏って書きすぎてゲシュタルト崩壊を起こし始めた。もはや「夏」はSummerに読めなくなってきている。なんだかよくわからない虫っぽく見える。
話を戻そう。
SFって夏好きなのかよ、と言ってきたが、このゲームはカラフルで明るい画面なので、そりゃあ冬より夏が良いだろう。でも春は駄目だ。あまりに希望のイメージが強い。クトゥルフなのだから、人間を焼き殺さんばかりの日差しにじめっとした湿度の夏がぴったりだ。
夏の昼間は容赦なく眩しい。反面、夜はあまりにも深く底がないように思える。
たぶんこのゲームもそうだ。町は明るすぎ、世界の裏側は濃厚な夜。そういう夏のイメージなのだ。
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