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CAオサスナ 19-20前半戦の選手振り返り②MF・FW編

 ※これは2020年1月25日くらいに書いてた下書きを完全に忘れていて今更引っ張り出した記事です。所々に2020年6月13日現在の情報を付け加えているよ。


①の冒頭はポエったのでこっちでは普通に。今シーズンの目標はプリメーラ残留、目安は勝ち点50越え。ほぼ半分終わって現状は勝ち点24、順位は12位(2020年6月13日現在は27試合で勝ち点34、順位は11位。)順調なペースとまでは言えないかもしれないが、とりあえず残留という目標達成は十分に可能な成績である。いいんじゃないでしょうか。31試合続いたエル・サダル不敗伝説はビルバオに破られ、その後再びホームでセビージャと引き分けてさあ再び不敗伝説の始まりだ!と息巻いていたところ2試合目でソシエダに速攻潰される、という2019年の終わり方自体はそこそこ悲しいものがあるが、振り返ってみれば夏にはセグンダ優勝、秋には幾つもの相手チームを混沌に陥れた"インディオの群れ"の大躍進、アラサテや主力、そして若手に至る数々の契約延長、冬に入るまではなんだかんだ2敗しかしてないので、総じて見れば非常に成功したと言っていい一年だったのではないか。まあ来年からまたエル・サダル不敗伝説は1000試合くらい続くからな。多分(※後半戦に入って既にエル・サダルでグラナダとマドリーに3点差以上付けてボコられてる。つらい)。


CMF セントラル・ミッドフィルダー

6 Oier Sanjurjo オイエル・サンフルホ(33)

キャプテンの全力100%がようやく見れた!

というのは別にキャプテンが今まで手を抜いていたとかそういうわけではなく、アラサテ監督の戦術において中盤中央に配置されたキャプテンに求められる役割と持ってる能力が完璧にマッチした結果すごいことに!という訳である。4-4-2でハイプレスを掛けるチームの中盤中央に課せられた、「味方DFライン前の広大なスペースを極少人数で守る」タスクをこなせるのは今のオサスナでオイエルとモンカジョラぐらいのもので、それに加えて中盤でボールを捌くフィードの判断力、相手DFラインの裏に走り込んで攻撃に加われるオフザボールの動きの質まで保証されているのはこのキャプテンだけで、昨シーズンに比べ対戦相手が強力になった今シーズンは特にネガ・ポジの両トランジション時での貢献が計り知れないものになっている。あとは唯一の問題である「バックラインが欠けた時はオイエルが穴埋め出来るがオイエルが居ない時に穴埋め出来るオイエルがいない」問題を解決するためキャプテンが2人に分裂してくれれば何も言うことはないんだけどな。とは言え、プレスかけられてる時に後ろ向きにターンしたら相手に身体を入れられてボールを掻っ攫われる弱点が最近露呈してきたので、この人のポジションも絶対的なものでは無くなってきた。


27 Jon Moncayola ジョン・モンカジョラ(21)

シーズン序盤にスタメン抜擢され、その高い対人守備力で突如ブレイクしたかと思われたが、中盤でボールを持った時のコントロールが熟達していないため相手のプレスに狙われてしまう、という弱点を露呈して中盤中央としての出場時間はそこそこ。しかしエスパニョール戦で怪我したナチョ・ビダルの代わりに急遽務めた右サイドバックが意外にも良い出来で、出足の鋭い当たりとサイドバックとしては一流の展開力でチームの勝利に貢献。ナチョ・ビダルもロンカリアも出られないセビージャ戦ではそのまま右サイドバックでスタメン出場も果たした。意外と足も速い。

とりあえず中盤でボールを奪われない持ち方さえ身につけばキャプテンを超える最強のMFに成長できると思うので、後半戦も怪我なく頑張って下さいな。



8 Fran Merida フラン・メリダ(29)

現在ブラサナクとポジション争いの真っ最中なメリダ様。これまでメリダ様がオサスナで誰かとポジションを争った記憶があんまりない気がするので、なんというか選手層が厚くなったというか、プリメーラで戦ってるんだなって感じで目頭が熱くなってしまう。それはともかく、メリダ様はシーズン序盤に比べてうまいこと崩しに参加出来る様になってる気がする。もともとオサスナで唯一マトモに中盤からチャンスメイク出来る枠だったのが、昨シーズンからは三列目やバックラインに下がってのロングフィードと謎テクニックでのボールキープ以外で貢献するくらいでゴール前に上がってきても宇宙開発くらいしかする事のなかった印象のメリダ様。その辺が難点だったのか、より攻撃において多様な局面で活きるアタッカー風味のブラサナクに比べて出場時間が微妙に少なくなっていたが、前半戦終盤頃にはミドルシュートが枠に向かうようになり、ゴール前でのパスにも可能性が見られるようになって、アトレティコ戦ではトップ下として2列目中央でジダンみたいに振る舞うまでに(これが本当に必要だったのかは不明)。守備力に関しても基本的にはメリダ様よりブラサナクの方が高いので、色々難しそう。DFラインの前を埋めるのは出来る様になってきた気がするんだけど……。



20 Darco Brasanac ダルコ・ブラサナク(27)

中盤中央をスタートポジションとしながらも頻繁にオーバラップを繰り返して攻撃に厚みをもたらしたセルビアの魔術師。

加入直後は「ボールタッチに非凡なものがあり、ドリブルも上手く、ただ組み立てや守備はそんなに上手くなく、足も速くないのでサイドの控えとかに収まるんじゃね?」とか思ってたが、蓋を開けてみればメリダ様より出場してた。

というのも、今シーズンのオサスナは、ボールを奪ったら相手DFラインの裏に素早くボールを送り、ボールが相手に渡れば味方全員が素早く相手の選択肢を制限する事でボールをなるべく速く回収し、再び相手のDFラインを脅かすサイクルを回していくストーミング志向?のチーム。そのため中盤中央の選手に求められるのは、大雑把に①box-to-boxで動ける運動量②広いスペースを守れる対人守備力③奪ったボールをコントロールして味方に繋ぐキープ力④前線に飛び出してゴールを脅かせる攻撃能力、そしてこれらを満たすのはメリダ様というよりむしろブラサナクなんだよな。そもそもメリダ様、オーバーラップ、する?

守備もチーム全体がきちんと相手の選択肢を削ってさえいればちゃんとボールも狩れるし、左サイドのコーナー付近にオーバラップした際たびたび蹴りたがる割には正確性に乏しかった左足のクロスも今ではちゃんとした武器になってるし、中盤中央の相棒がモンカジョラよりも守備力が低い選手でなければ持ち味を発揮できるので、結局のところ一番重要なのはキャプテンが離脱しないで後半戦を戦い抜けるかどうか、なのである。



21 Iñigo Pérez イニゴ・ペレス(31)

怪我で長く離脱していたのもあって前半戦はそんなに出場出来なかったが、復帰すると早速鋭いミドルシュートでゴールを脅かし、鮮やかなスルーパスでチャンスを演出し、どうしても点が欲しい時のオプションとしての地位を確保した。意外とドリブルスピードも速いので、オイエルと組ませてスタメン出場する様を見てみたい気もするが、守備力はメリダ様と同程度なので、どうしても見たいという程ではない。なんか今度(20節)のバジャドリー戦でイエロー累積出場停止のエストゥピニャンの代わりに左サイドバックで出るとか出ないとか恐ろしい情報が出回っている。アラサテ、疲れてない?(※マジでやった)


28 Luis Perea ルイス・ペレア(22)

出番が全然無くてアルコルコンにレンタル移籍した。あっちでは移籍早々スタメン出場出来てるみたいなので頑張って欲しい。



SMF サイドハーフ

10 Roberto Torres ロベルト・トーレス(30)

得点はPK含めて既に4ゴール、アシストは5と大活躍中のバンディエラ。昨シーズンみたく左サイドからのクロスを右足で叩く場面こそ減っているが、持ち前の高精度なキックでチャンスを無理矢理築き上げてしまうパワープレーで存在価値を示し続けている。

最近は左サイドの攻撃が成熟してきている分、この人が左からのクロスに合わせるシーンも増えてきているが、逆にこの人が左のハーフスペースに入るシーンではミドルシュート、クロス、スルーパスとかなりの脅威になっていたシーンもあり、イバニェスが復帰してきた分この人が今後どんな位置で起用されるのかは興味深い問題。


20 Rober Ibañez ロベル・イバニェス(26)

ドリブル極めて26年、ドリブルパルプンテ男ことイバニェス君はプリメーラの舞台でも異常なドリブルでジャンジャンバリバリ相手DFを剥がし、バジャドリー戦ではお得意の「ボールごと相手ゴールに突っ込む」ゴールで同点弾を決めるなど、ほんとヘタフェはなんでこんなにドリブルは上手い選手を手放してしまったのか非常に疑問。ただ10月半ばに故障、そのまま2019年は出場無しで終わってしまった。ただ年越しにはちゃんと戻ってくるあたりは完全に「毎年1月にパンプローナへ飛んでくる渡り鳥」。そろそろ一年通して留まって欲しい。


19 Kike Barja キケ・バルハ(22)

現在オサスナに所属している下部組織生え抜きの選手の中では最も期待できるウインガーだが、前十字靭帯の故障で前半戦は全て欠場。既に全体練習には復帰しているので、もうそろそろこの人のドリブルがプリメーラのサイドを駆け巡るのを見られるかもしれない。はやくみたいね。(※後半戦で完全に復帰。この人のドリブルはそれはもうマジで、すごいよ)


FW フォワード


9 Ezequiel "Chimy" Ávila エセキエル・"チミー"・アビラ(24)

前半戦で9点も取りやがった最強アルゼンチン人。開幕戦、相手のビルドアップを4-2-3-1でハメた割にはかなりの苦戦を強いられたレガネスとの試合で、あまりにも鋭く美しい逆足ミドルをブチ込んで己の価値を証明してから評価はマジでうなぎ上り。

多少バランスを崩しながらも放つ強烈かつ正確なシュートによる得点力は驚異の一言だが、オサスナにとって何より重要だったのは競り合いの強さでありボールキープ力。ショートパスによるビルドアップをある程度諦めている今のオサスナにおいて、CBが放り込むロングパスをマイボールに出来るかどうかは自陣から攻撃を始められるかどうか(=敵に与える攻撃機会を減らす事ができるか)は死活問題なのだが、アビラがいれば五分五分のボールもコントロールしてしまえるし、何なら敵の方ががコントロールしてしまいそうな状況でも徹底的に絡んで展開を阻害できる。

そういう事が出来るのはもちろんアビラの身体能力や技術があっての事だが、オサスナのファンが彼を愛するのは単に得点能力やキープ力が優れているからだけではなく、アビラの持つチームの勝利に対する献身性であり執念に心を打たれるからに他ならない。

守備もサボらず身体のぶつかり合いを厭わない魂籠もったプレーこそがアビラの真の魅力なのであり、チンピラみたいな挙動も多分その辺が出過ぎちゃうんだと思う。知らんけども。

そんなチームで最も重要な選手であるアビラが靭帯損傷で今シーズン絶望だって、何言ってんのか全然わかんないよね。ハハハ。

※2020年6月11日、例のアレの影響でシーズンが中断、アビラもグループ練習に復帰できるほど回復してきているらしいが、予定では全快するのは来月になってるっぽいので、多分まだ出ない。つらいよな。


14 Ruben Garcia ルベン・ガルシア(25)

昨シーズンの英雄は今季の初めに怪我で出遅れ、トップフォームを取り戻すまでに時間がそれなりにかかったが、前半戦の中盤あたりに完全復活。一時期ヨーロッパの主要リーグで何番目かに優れた個人の攻撃スタッツを残す程であった。

昨シーズンと打って変わって左サイドに張る事が多く、クロスを入れたり無理目なボールをキープしてボールを保持したりエストゥピニャンを調教したり、かなり不自由そうなプレーを見せていたが、それでも大事な所で点を取りまくる凄まじさがこの人にはあり、得点数はチーム2位タイの6得点、PKを蹴ってるロベルト・トーレスと同じ数字は偉過ぎる。

映画ジョーカーがめっちゃ好きだったらしく、ゴールパフォーマンスでも口角を吊り上げてジョーカーポーズ、Twitterに自身をジョーカーっぽく編集した画像をアップ、スペインのエイプリルフール的な12月28日には「今シーズンはユニフォームネームをJOKERにします!」とか言う程で、しつこいくらいにアピールしている。(※2020年6月現在、練習中に着けてるマスクもジョーカーのデザイン。徹底してますね)


7 Marc Cardona マルク・カルドナ(24)


積極性溢れるドリブル(訳:どんだけ無茶でも突っ込む)でごくたまにチャンスを作ったり得点してた、バルサ産の暴走型アンドロイド。テクニックはあるけど、それをほぼ全て相手DFを抜き去る事にしか使わないのが難点。カウンターの時とかにこの人が相手DFラインの前でボール持っちゃった時は戦場に旅立つ夫の無事を祈って見送るしかない妻のにち気持ちになる。「どうしても……行くのね……」みたいな。でもそれがマルク・カルドナの生まれてきた意味だって本人が考えてるから仕方がないんだ。当然の如く出場機会はシーズン序盤から徐々に減ってきている。もっと普通にキープとかしてくれ……。


18 Juan Villar ファン・ビジャル(31)

昨年のチーム得点王は三十路にして人生二度目のプリメーラ挑戦(デビューした年からなんと11年振り!)だったが、ファンから「2トップでアビラの相棒にして欲しい人ランキングNo.1か2」くらいの評価を受けていたにも関わらず、出場機会をそれ程得られず今冬にはラージョにレンタル(昇格した場合の必須購入オプション付き)。本人はプリメーラでの初ゴールも取ったし、一応の記念にはなったのかもしれないが、それでも彼には必ずプリメーラの舞台でもっと羽ばたいて欲しいなぁ、という感情のみが右往左往しているばかりだ。


22 Adrian Lopez アドリアン・ロペス(30)

序盤はそんなに出場機会もなく、出るとしても交代出場が主となっていたが、シーズン半ば頃からアラサテが「こいつ思ってたより使えるな……」と思ったかどうかは知らないが、徐々にスタメン起用も増え、現在では完全に主力と化した。

ボールを持った時に目の前の相手を1人くらいならドリブルで外せる、という能力をアビラ以外のFW陣で唯一持っているのは大きい。基本的にはブラサナクをよりウインガーに寄らせた感じの人なので、サイドでも中でもハーフスペースでも活きるがゴール前ではそうでもない。現在は特にルベン・ガルシア、ブラサナク、エストゥピニャン辺りと繰り広げる左サイドのコンビネーションが噛み合ってはいるものの、この人には今シーズンここまで得点もアシストもなく、イバニェスが復帰した後もスタメンで出続けるほど絶対的な選手かというと、まあそこまでではない。キケ・バルハが完全復帰したらどうなるのかな?


11 Brandon Thomas ブランドン・トーマス(24)

前半戦ではあんまり出番を貰えないまま、ついに今冬ジローナにレンタル放出。バルサ戦で美しいキックフェイントからこれまた芸術的な逆足クロスでアシストを記録したまでは良かったんだけれど、そっから特にどうにもならなかった。そこそこ足は速くて技術もあって、でもやっぱりそれ以上が無いんだよな。


30 Javi Martinez ハビ・マルティネス(19)

今シーズンはトップチームでの出番は無し。プロメサスでバルベーロと切磋琢磨して頑張れ。(※バルベーロはこの冬にアルメリアへレンタル移籍しました)


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