【祝!プリメーラ残留】CAオサスナ 19-20後半戦振り返り①GK・DF編

2シーズン挟んでようやく戻ったプリメーラ、なんと初年度は10位でフィニッシュ!これは積年のライバル(と、オサスナファンが一方的に思ってる)アトレティック・ビルバオより上の順位で、いやマジで凄くないですか?凄いと思います。

20-21からは2年か3年の間、ナバーラの地元企業たるVerlealが胸サポンサーになるのも即行で決めてきてるし、相変わらずサバルサ体制は仕事が速くてその上ちゃんと質もすごい。暫くはずっと上り調子のシーズンが続きそうである。

あと今シーズンの面白かったポイントとして、

1.ほぼ全選手の主力化に成功(主に後半戦)

2.アビラ、エストゥピニャン等ワールドクラスの発掘に成功

が挙げられるのでないかと思われる。総得点46はリーグで10位、総失点54はリーグ14位と、どこのクラブに対しても守備が堅かったわけでは全くないが最終的に順位が下になるクラブ相手からはしっかり点を取って勝利をもぎ取り(これはそもそも下位につけるクラブの守備組織とビルドアップが大体において良くなかったのが大きい)、しかし上位につけるクラブからも得点をもぎ取れたのは、よく「前半戦のアビラが凄かった」「後半戦はアビラがいないのによくやった」と言われがちなオサスナにおいて、加入当初はさほど良くなかったFW陣が並べて成長した事実が上記のような浅薄な感想で纏められるにはあまりにも勿体ない。これは何試合も点が取れないにも関わらずFW陣に信頼している旨を伝え続けたアラサテの格の高さはもっと認識されるべきである。

またMFやDF陣も素の能力を成長させた者、試合ごとに水からの能力に適した役割を与えられて活躍した者が多く、最終的には再開後の過密日程においてもスカッド全体をフル活用して戦うW杯のような戦い方で対戦相手を苦しめ続けた(たまに何にも考えてないような布陣で普通にボコられたが)。

その上で、目標であるプリメーラ残留どころかリーグを上位半分で終えられたのは、アビラやエストゥピニャンといった勝利に直結する働きを見せられる選手を獲得できたのが大きな要因。

こんなにチーム全員が一体となって戦えるチームを作り上げたアラサテは只者ではなく、彼は優れた勝負師であり指導者、そして教育者であるとも言えるかもしれない。ブラウリオは「アラサテはオサスナのサー・アレックス・ファーガソン。居たいだけいて貰う」みたいに言ってたけど、あと10年くらいは辞めないで欲しい。

そして以下がそんなチームで頑張った選手達になります。前置きが長い。


GK ゴールキーパー

13 Rubén Martinez ルベン・マルティネス (36)

超人ひしめくプリメーラにおいて、普通の人間であるにも関わらず高い判断力と精神力でチームを救い続けたオサスナのクリリン。ちょくちょく怪我で欠場する試合もあったが、出場した試合では常に安定したセービングを見せ続けた。そんで無事に20-21シーズン末までの契約更新、とてもめでたいですね。

キックの精度や身体能力といった面でプリメーラの現人神連中に近いセルヒオ・エレーラがルベン・マルティネスとほぼ同レベルの判断力を持つまでに成長しており、20-21はもしかしたらベンチに座る時間が多くなるかもしれないが、こんなに高い能力を持つGKがベンチにいるならチームは安泰である。今後もセルヒオ・エレーラの師匠として、全人類のGKのお手本として末長い活躍を期待。

1 Sergio Herrera セルヒオ・エレーラ(27)

オサスナでの3年目、ようやくプリメーラで背番号1を背負うに相応しいレベルに到達した感のあるビッグセーブ製造機。
加入当初の17-18から既に反射神経含めた身体能力とキックの精度はセグンダAの水準を遥かに超えるものがあったが、ピンチになるとすぐ丁半博打に出てしまう飛び出し癖と堪え性の無さが災いして、18-19から19-20の途中までは完全に控え化していたが、19-20では出場する度に冷静さが増していき、再開後のプレースタイルが殆どルベン・マルティネスと同じゴールマウス前でどっしり構えるタイプになっててビックリした。そして結局再開後はルベン・マルティネスが復帰しても最終節以外はスタメン出場を続けた。やっぱ優れたお手本が近くにいると成長するもんですね。

因みに、この人のロングパス精度はゴールマウスからハーフラインを超えたサイドの端っこまで正確に飛ばせるのはルベン・マルティネスには無い強力な武器。そのため、この人がスタメンならボールを前に運ぶのが非常に楽になる、という点も注目すべきである。既にほぼ現人神じゃん。

26 Juan Pérez ファン・ペレス(24)

ルベン・マルティネスもセルヒオ・エレーラもいない試合にだけ出場し、後は殆ど出番無しの生え抜き第3GK。キックの精度が高い事はよくわかったが、ハンドリングがわちゃわちゃしている点が気になる。

これから経験を積んで成長すべき選手なのだが、ルベン・マルティネスが退団するまでにセルヒオ・エレーラを脅かすレベルまで経験を積むには現状だと出場機会が圧倒的に足りない。レンタルでどっか出るのか、このままオサスナで虎視眈々とベンチ入り・スタメン獲りを狙うのか。第3GKとしては能力が高めなので、レンタルとか行かずにオサスナの中で成長してくれると非常に助かるのだが。

37 Iñaki Álvarez イニャキ・アルバレス(23)

冬のGKクライシスでトップチームに招集するだけはされたが出番は無かった。

セグンダB所属のプロメサス(Bチーム)では正GKだが、そろそろセグンダAでプレーしたい年頃か。スペイン年代別代表のイバン・マルティネスという下からの突き上げもある事だし、今後の選択に注目。


CB センターバック  


5 David García ダビ・ガルシア(26)

センターバックとしては32試合とチームで最多出場を果たした生え抜きDFリーダー。

プリメーラ水準で見ても、足は遅くない、ジャンプ力があるので空中戦もそこそこ強い、フィードもそれなりに正確、ポジショニングも悪くはなく、とにかく目立った穴が無かった。大きく称賛される事はあまり無いが、チームの勝利における貢献度は高く、縁の下の力持ちであったと言えよう。というか、プリメーラ所属クラブのCBとしてほぼ全ての能力が平均かそれ以上のレベルにあるっていうのは結構すごい事で、オサスナだけ見ても他のCBは結構穴が多い(ウナイ・ガルシア除く)。ダビガルみたいなCBがいるとプリメーラ残留が近づくってもんだ。

ただ再開後はフィードの精度がそこまで高くなく、DFラインからのロングパスが攻撃において重要な意味を持つオサスナにおいてはこの人のフィードの精度が非常に重要なので、20-21はシーズン通して正確さを保って貰えるとありがたい。もうメリダ様もいないんだから。

23 Aridane Hernández アリダネ・エルナンデス(31)


19-20、アビラの次くらいにファンを驚かせ、リーガのファンに様々な意味で衝撃を与えたアフロ。

この人もセルヒオ・エレーラと同じパターンで、17-18にCBとしては致命的なレベルの判断力の低さというか守備セオリーの認識が欠如している感じのプレーぶりで、18-19までは控え組だったのだが、徐々に成長していたのか19-20に驚くべき判断力を持ってウナイ・ガルシア離脱中のCBにスタメン定着してしまった。

もともと足下はそんなに下手でもなく、DFラインを飛び出して止めに行くプレーもタイミングが合えば殆ど相手ボールホルダーにかなりのプレッシャーを与えてはいたが、今シーズンはとにかくDFラインを崩さず、落ち着いて相手のプレーを見極め、プレッシャーをかけに行くタイミングをバッチリ合わせる場面が多かった。空中戦でも強さを見せ、ついでにパワーも意外とプリメーラでも強い方にあるっぽいのが判明、なんかもう2年でプレーが不気味なほど成長しすぎ。ビビるわ。

ウナイ・ガルシアが十字靭帯の大怪我から復帰した20-21シーズンはどれだけ出場するかわからないが、とりあえず契約が2023年まで延長。この愛くるしいアフロマンとの旅はまだまだ終わらない。

3 Raul Navas ラウール・ナバス(32)

守備センスは高く、あらゆるプレーを優雅にこなす様は見る者の美的センスをくすぐる物もあったが、とにかく足が遅かった。足が遅すぎてカウンターで走らされるとほぼ終わりになるので、19-20は完全に控え化。ただ、DFラインを低く構えた3バックの真ん中として4-3-3のポゼッションチームを迎え撃つ時はこれ以上無い強さを見せた。足がもっと速ければ確実にスタメンなのに……。

1年レンタルだったがプリメーラ残留により強制購入の必要が発生し、20-21に完全移籍で加入。4バック採用時の出場機会は限られるだろうが、3バックのオプションとしては重要な選手なので、後はスタメンCB陣に怪我人が出ないのを祈るのみだ。

16 Facundo Roncaglia ファクンド・ロンカリア(33)


CBよりも右サイドバックで出場した試合の方が多く、というかプレーの質も右サイドバック時がCB時とは比べ物にならないくらい良く、正直この記事でもCBの欄に書くべきなのかめっちゃ悩んだが、一応はこっちが本職みたいなので……。

クロス対応などでマークを外しまくるし、なんというか守備が「軽い」のでCBとしては毛ほども信頼が置けないのだが、足が速くて広いスペースへのかけっこ勝負には強く、ついでにドリブルもCBの選手てしては中々上手いので、特に相手の左ウイングがスピードのあるタイプならナチョ・ビダルよりも安心して見ていられた。やっぱ本職右サイドバックなんじゃないかな……?

完全移籍とはいえ1年の契約で、来シーズンもオサスナでプレーするかどうかは絶賛話し合い中だが、Director Deportivo(いわゆるSD)のブラウリオが挙げた補強ポイントに右サイドバックは入ってなかったので、プロメサスで右サイドバックを務めていたサバルテが上がって来ない限りは契約更新の方向で進んでいると思われる。まあ、レンタルで誰か持ってくる可能性もなくはないが。


4 Unai García  ウナイ・ガルシア (27)

十字靭帯の怪我を乗り越えて復活した地上戦最強の生え抜きCB。今シーズンは怪我とアリダネちゃんのフィットでそもそもの出場数が8試合と少なく、またその中で去年のような圧倒的パフォーマンスを見せるにも至らなかった。ついでに再開後もちょくちょく怪我で離脱してた。負傷癖ついてないといいよね。

オサスナのマトモに守備が出来るCBの中では一番足が速く、長短(特にグラウンダー)のフィードも上手く、また守備センスが高いので、後は試合勘とフィジカルコンディションを上げてくれればCBの主力として優れたプレーを見せてくれるはず。今年の9月で28歳、まだまだ脂の乗った年代。

 

SB サイドバック

2 Nacho Vidal ナチョ・ビダル(25)

皆さんご存知、サッカーの天才ナチョ・ビダル。19-20ではかねてより心配していた通り、背後のスペースへの追いかけっこでは弱さを見せてしまったが、それでも限られたスペースの中では類稀な守備センスを発揮。足の速いやつ相手にはロンカリア、足はそんなに速くないけどテクニックのある奴相手にはナチョ・ビダル、と上手く使い分けられていたのが特に終盤セルタ戦の交代模様でよく伺えた。

単機のドリブル突破もクロスの精度も大したことはないが、周囲の選手を上手く使って崩しに参加し、自身もインナーラップでフィニッシュに絡むなど攻撃でセンスを見せる場面は昨シーズンと同じくよく見られたが、それでも対戦相手との戦力を鑑みた戦術上の理由で前に長いボールを適当に蹴っ飛ばすような場面も少なくなかったため、「この試合で本当にナチョ・ビダルは必要なのか?」と疑問に思う試合もまた少なくなかった。

来シーズンは得意のトップスピードからの切り返しで相手DFを置き去りにするような場面をもっと見たいので、まずは怪我がなきよう。


30 Pervis Estupiñan ペルビス・エストゥピニャン(22)

19-20シーズンであらゆるリーガファンの度肝を抜いたエクアドル代表の爆走機関車。

加入当初からとんでもないスピードとフィジカルの強さで背後のスペースで行われる一対一の徒競走ではリーガのあらゆる右ウイングを圧倒し、シーズン序盤でもオレジャナをほぼ完封する大活躍でファンを唸らせたが、特にシーズン当初はビルドアップ時に左サイドでボールを持った時のプレーが下手過ぎてボールの奪い所として完全に狙われたり、アーリークロスを全く蹴らないので無理な縦突破や余計なパスが増えてチャンスを逸する事も多く、また相手が逆サイドでボールを持っている被カウンター時なんかはま、オフサイドという概念を知らねえんじゃないかという程デタラメなポジショニングを繰り返して、昨シーズンはマジョルカで一体何を教わっていたのか一切不明。しかし、3年B組アラサテ先生にシーズンを通して教育してもらったおかげでこの辺りの弱点はほぼ解決に近づいている。してはいない。

まずビルドアップで周りの使い方を少しずつ覚え、その結果全く洗練されてはいないものの非凡なものを見せていたボールタッチがドリブル突破にもパスフェイクにも繋がるように。ゴールラインと平行または斜めに相手DFの門を通すパスなんかは芸術的な域にまで進化、アーリークロスも精度が鬼のように向上、守備のポジショニング改善は難航したが、特にインターセプトの感度は尋常でない域に到達。このシーズンにオサスナで最も成長した選手であると言えよう。

ただ、ちょっとワールドクラスまで成長させ過ぎてしまったのでワトフォードから2年レンタルの所を1年早く呼び戻されてしまい、この可愛らしいエクアドル人との蜜月の日々は既に終わりを迎えてしまった。20-21にどこのクラブでプレーする事になるのかはわからないけど、またいい監督に出会えるよう祈ってるよ。あと1回だけでいいから右ウイングにコンバートされてみて欲しいな。



15 Toni Lato トニ・ラト(22)

シーズン終盤戦にちょろっと出場。ボールを持った時の身体の使い方なんかはエストゥピニャンより洗練されていたが、それだけではエストゥピニャンを見慣れたせいで全然物足りなくなってしまった。バレンシアにそのままレンタルバックされたが、多分オサスナに必要なのはもっと上下の100mを爆走し続けられる馬力のあるタイプだと思うので、再レンタルは無いかと思われる。バレンシアで頑張って下さい。

あと、サイドハーフで使うにはちょっと厳しかった。


29 Endika Irigoien エンディカ・イリゴイエン(23)

プロメサスでキャプテンやってて19-20はトップで出番無し。今のところ左サイドバックは一人もいないけど、ブラウリオは左サイドバック獲るって言ってたし、20-21も出番があるかどうかは不明。能力はラトよりあると思うんだけどね。


 

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