見出し画像

ブロッホ

ブロッホを巡っていた。

地図に小さく記されていたブロッホへ向かっていると、途中で車道が途絶えてしまった。私は車を停め、農道のようなあぜ道を歩いて丘を登った。

辺り一面、見渡す限り牧場が広がっていて、ブロッホは見当たらなかった。

ほとんどのブロッホは海に面した所にある。私は海岸線を目指して歩いたが、そのうち農道すらも行き止まってしまった。

ここから先の牧場と麦畑はフェンスで囲われた私有地だ。

ちょうど作業を終えたらしい重機に乗った農主が、牧場の中から通りかかった。私は挨拶をして、ブロッホへの道を聞いてみた。

「この牧場を突っ切っていくといいよ。入って構わないよ。」

彼はにこやかにそう言った。

私はブロッホまでは近いのか尋ねた。

「ああ、すぐ近くだよ!」

私はお礼を言って彼と別れた。

牛たちの脇を通り、麦畑を横切り、羊たちの牧草地を突き抜け、30分以上歩いてブロッホに辿り着いた。