楠栞桜氏のゴースティング疑惑を打牌検討から考える(てんくす一局目編①)

0:前置き

が長いと前回の記事で言われたので早速本題に入ります。
楠栞桜さんのゴースティング疑惑を怪しい牌譜から検討する。

前回の記事は麻雀に慣れていない人には読みづらいという意見をいただいたので

事例を取り上げる
→分かりやすい矛盾点を指摘し結論を述べる
→知りたい人向けに詳しい内容を深掘りする

という形にする。また、記事が長くなりすぎないように一局だけ取り上げる。

 今回言及するのは以下の配信の44:44からの一局

麻雀初心者の方へ

以下萬子はm、筒子はp、索子はsと表現する。(3m、456p、55sなど)
ツモ切りは引いてきた牌を入れ替えずそのまま捨てること、手出しは引いてきた牌といらない牌を入れ替えることである。

※追記
ゴースティングは他の対局者の手牌を覗く不正行為のことです
画面手前が多井プロで
右側(下家)が今回疑惑の対象になっている楠栞桜さんです

1:読みの流れ

スクリーンショット (70)

楠さんは12巡目に4pを多井さんに対して危ないと言いながら切る
(残る二人に対しては中筋であるためにかなり通りやすいと読んでいる)

スクリーンショット (69)

その根拠は9巡目の7pのチーラグにあると述べている
(7pチーラグよりその周りの牌を持っており、4pが危険という読み)

スクリーンショット (71)

実際に多井プロの待ちはカン4pであった。

楠さんの発言

47:50~(4p切りながら)「今、通すなら今」

47:55~(多井さんの発言に対して)「当たらんかいって言ってもこれ割と多井プロに危険な、4p…そうなんですよだから通すなら今だなと思って」

48:08~「(多井プロ以外の)二人はね、一応中筋なんで、大丈夫なんですけど」

48:16~「あと、私は見逃さなかった。7pでラグったことを。だからぁ、ピンズのその辺の受けがあるんだろうなって」

以上の読みの不審な点を今から述べる

2:7pチーラグを考慮する場合、4pはかなり通りそうに見える

読みのイロハとして、当たりそうな牌を考える際には両面待ちに当たるかどうかを考慮することが基本となる
今回の例では、1と7が通っていたら筋の4は当たりにくくなる(筋理論)

以上を踏まえ、まず1-4pの形で4pが当たるかを考える

まず2pがノーチャンスのため、絶対にこの形では当たらない
仮にノーチャンスを見落としていたとしても、かなりタンヤオっぽい仕掛けであり、1p二枚切れにも関わらず2pを切っているため、1-4pはかなりなさそうに見える(後述)

次に4-7pで当たるかを考える

捨て牌だけを見た場合には4-7pが通る保証はなく、4pは確かに危険な牌である。しかし7pのチーラグに気づいていた場合

既に副露をしている状態にも関わらず7pをチーしなかったため、56pをもっての単純な4-7p待ちが否定される
(56pと持っていたらチーするので)
後述するが、複合系で考えたとしても7pをスルーした場合に4pが待ちになることは相当少ない。

しかも上家が7pを切ってから、多井プロはツモ切りしかしていない。
(チーラグ時から手牌は変化していない)

以上より、7pチーラグを読みに含めた場合には4pはほぼほぼ中筋と同程度の安全度の牌であり、「通すなら今」という牌ではないし、三人に対して同じくらい通りやすい牌であるため、多井プロにだけ危ないという読みは非常に不自然であると言わざるを得ない。

ついでに言えば、一副露しかしていない状態で7pのラグがあったところで、多井プロの待ちがピンズの周りであると読めるわけがないのでこの読みも間違っている。
(既に出来面子がある場合でもラグは発生するので)

※追記
ノーチャンスとは同じ牌が四枚見えている時、その牌に絡む両面が否定されることである。
今回の場合、2pが四枚見えているので、23pと持って1-4pで待つ形が否定される


3:結論

個人的な所感を述べさせていただくと

この局だけで黒判定されてもおかしくないレベルで不審。

である。

7pラグのために4pが危険だという間違った読みを行ったうえで偶然カンチャンで4pが当たる形であったが
鳴かれなかった牌の筋は通しやすくなるというのはラグ読みの中では非常に初歩的な読みであり、(あえて使わないならともかく使った上で)間違えている時点で相当雀力が低いのは疑いようがない。
この雀力の低さで一点読みを何度も成功させているというのはとても信じられるものではないだろう。

以下細かいところを掘り下げますが興味がある人のみお読みください


おまけ1:多井プロの手牌がタンヤオっぽい(1-4pがなさそうな)理由

多井プロの手はタンヤオであることがかなり読めるので紹介する
これは相当明らかなので2pノーチャンスを見落としていたとしても1-4pで4pが当たる可能性はかなり排除出来るだろう

多井プロは開局から19字牌を連打して内側に牌を寄せている。
そして以下の画像から5sをチー

スクリーンショット (67)

そして打2p

スクリーンショット (68)

この段階で、ホンイツもトイトイもなさそうでタンヤオか役牌が本線の仕掛けである。
ところが役牌を全て確認してみると残っている役牌は六巡目に鳴かれなかった發と三巡目に鳴かれなかった西のみである。多井プロは鳴き無しボタンを押していないのでポンラグがなかった發は否定されるため、可能性としては西のみであり、西はポンラグが発生しているにも関わらず鳴いていないため、多井プロの役が役牌であるパターンは三巡目に既に西暗刻のパターンのみである。(役牌バックが否定されている)
一応一通と三色は否定されていないが殆どないだろう
(9s三枚切れの上1s8s二枚切れで鳴き一通は比較的なさそう。456の鳴き三色は否定出来ないが、そもそも三色と一通の出現率自体低いので読み筋には入れにくい)


以上より相当タンヤオっぽい仕掛けであることが分かるが、逆にいうと、ここまで情報が揃っている分かりやすい仕掛けでもタンヤオの確率が高いという程度で百パーセント断言することは出来ない。楠さんが一点読みをする際は大抵これ以下の情報量から待ち自体を断言しているため、彼女の異常性は突出しているだろう。


ちなみに1-4pが当たるケースは
三巡目に西が暗刻になっている状態から5sを仕掛け、上家と下家が早々に1pを切っているためかなり2pがポンしやすいにも関わらず
223pという形から外側の1pが二枚切れている1-4p受けに固定した場合のみである。4pはかなり通りそうである。


おまけ2:7pラグって4pが当たる形を考えてみる

とりあえず当たる形を列挙しよう

35567p
35678p
35789p(タンヤオの場合は否定される)
35666p(今回の手牌)
3566p
3577p
35777p
2377p
23777p
といったところだろうか(他にもあるかもしれないが一旦おいておく)

これより下は4pは当たるが7pが出た時点でチーもしくはロンするはずなので否定出来る形だ
56p
23456p
34556p
45566p
55667p
56678p
56789p(タンヤオの場合否定される)
4456p
5677p
44456p
56777p
5556p
5666p
これもこれ以外にあるかもしれないが一旦おいておく。


列挙してみると分かるが、基本的に35のカンチャンor23両面+雀頭or面子の組み合わせ以外には7pスルーで4pが当たる形は存在しない。そして23両面はないのでほぼカンチャンにしか当たらない事が分かる。こんな風に列挙するまでもなく、本来は7pスルーなら4pは少しだけ通しやすいなとなるはずなので楠さんの読みは謎である。

おまけ3:4p待ちは読めるのか

上の結論では7pラグから4p待ちは読めないとしたが、多井プロの待ちが4pであることは読めないのだろうか?

結論から言うと、4pが当たるケースは一応想定可能ではある。
勿論楠さんはこの表題で触れる読みは一切行っていない。

キーとなる部分は以下の画像の打2pと、開局早々の1pチーラグである

スクリーンショット (68)


スクリーンショット (66)

チーラグより多井プロは3pを持っていることがわかり
チー出し2pより単純両面でなく、その周辺を持っている事が分かる。その後の打牌より2p対子が否定されているため、おまけ1で述べたように多井プロがタンヤオであると想定した場合、2pを打った時の形は考えやすいものだけでも
233p
2333p
244p
2444p
23(赤)5p
などが考えられる。この内三つ目と五つ目の形では4pが当たり牌になる可能性があるため
「7pチーラグが合ったから4pはかなり当たりにくいけど、関連牌っぽい2pの切り方から4pが当たる可能性を否定しきれないな」
と読むことは不可能ではないだろう(筆者は出来ないが)。

もちろん7pチーラグがあるからその周辺が当たりそうで4pが危ないという読みは全く見当外れである。勉強しなおせ。