仮題 エピソード1 改訂1

ほか弁屋の時計は、15時20分を指していた。

特選幕の内弁当を注文し、椅子に座って出来上がりを待った。僕の前には、先客がいた。子供連れの髪の長い若い女性だ。しばらくすると、チキン南蛮が呼ばれ、母親であろうその若い女性は会計を済ませて店を出て行った。続いて、特選幕の内が呼ばれたので席を立ち、角にある冷蔵ケースから缶ビールを2本とってレジに向った。

ビールのお供には、特選幕の内が一番合う。卵焼き、シューマイ、煮物、揚げ物、ハンバーグ、ポテトサラダ、ビールに合うものばかりだ。しかも、シメのご飯までついている。

店を出るとムッとしたいかにも夏の様相だった。弁当とビールを前カゴにのせて自転車を走らせた。しばらく平坦な道を走ると、長い上り坂にさしかかる。この坂を登り切ると、家までゆるやかな下り坂だ。勢いをつけて、上り坂に挑む。ふ、ふっと自然に声が出る。足が少しずつ悲鳴をあげ始める。足への負担を軽くするため、意識的に腕に力を入れた。

あと、残りもう少し。最後は、よろめきながら何とか登り切った。息が切れているが、そのままゆるやかな下り坂にはいる。もう、家までペダルを漕ぐ必要はない。


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