Regenerative Farm 奮闘記①
今回は私が Regenerative Farm と名付けた畑のことを書きます。
知り合いの農家さんのツテでお借りした農地は、元々は田んぼで10年以上前から休耕地となっていたところ。
最初に貸主さんのお宅に伺った時、貸主さんから「あそこは田んぼだったから水はけが悪くて、あまり(野菜は)育たないかもしれないよ」と言われました。
知り合いの農家さんからも、
田んぼから畑作に適した地力に転換する必要がある。
水はけが悪いので、排水対策が必要。
地力を上げるために初年度は緑肥を植えた方がよい。でも緑肥も育たないかもしれないから、鶏糞を先に投入した方がいいかも。
というアドバイスを受けました。
田んぼ=地力がないということではなく、田んぼに向いた土地と畑作に向いた土地の土壌は異なるため、元田んぼを畑作に転作するためには、作物を植える前にやるべきことがいろいろあるんだそうです。
緑肥とは、土壌に有機物を入れることで、「農地生態系の機能を高め、土壌のもつ作物の生産環境を改善する」(農研機構HPより)効果があるそう。
”Regenerative” を掲げた畑なので、土壌改良を含め以下の3点を基本コンセプトに始動しました。
未利用資源の活用
土に還らないものは使わない
土地の風土で作物を育む
今回は上記のうち二番目までについて書きたいと思います。
1. 未利用資源の活用
土壌改良の方法は様々ですが、なるべく地域内で調達できる有機物を有効活用してみることにしました。初年度で実施した土壌改良は以下の3つです。
廃菌床(産業廃棄物)
バイオ炭(バイオマス発電の残渣)
籾殻
一つ目の廃菌床。近くにホクトさんというキノコを菌床栽培する企業の製造工場があり、製造過程で出る産業廃棄物である廃菌床を購入しました。
この廃菌床、4tトラックで農地に配送もしてくれますが、私の畑は狭い(500平米くらい)し、4tトラックが出入りできるスペースがなかったため、自分の軽トラでホクトさんの工場に取りに行くことに。
続いてバイオ炭。こちらは弊社グループ企業のシグマクシス・インベストメントが出資をさせていただいているフォレストエナジーさんが手がけるバイオマス発電の発電残渣で発生するもの。
畑がある長野県佐久市の隣の群馬県渋川市にある発電所まで、これまた軽トラで取りに行き、フォレストエナジーの社員の方と弊社有志メンバーで協力して畑に散布しました。
最後の籾殻は、言わずもがなですかね。地域のライスセンターや農家さんで籾摺りした後に出る残渣が籾殻ですが、これほぼタダで手に入るので、そこら中からかき集めて畑に投入。
2. 土に還らないものは使わない
基本コンセプトの2番目。最初に言っておくと、これ、初年度(2023年)で挫折しました(汗)。初年度に掲げたのは以下の3つ。
生分解性マルチ
竹の支柱
竹ハウス
一つ目の生分解性マルチ。
最近農業界でもポピュラーになってきましたが、普通のマルチだと、畑仕舞いの時に剥がして、産業廃棄物として有料で捨てることになるんですね。
“Regenerative” を掲げるなら、マルチ使わなきゃいいじゃないか!と突っ込まれそうですが、マルチ使わないと、畑の草取りがすごい大変なんです〜。
そこで導入したのが生分解性マルチ。これだと最終的には土に還るので、廃棄物として捨てる必要がないんですね。
そんな便利なものがあるってことは、そのお値段は?というと・・・ハイ、通常のマルチの倍くらいの値段です(苦笑)。
そりゃー普及がなかなか進まないわけですよ。
二つ目。野菜を栽培するとき、皆さんも家庭菜園などで緑色の支柱をホームセンターで買ってきて使うことがあると思いますが、私はあれを使いたくなかったんですね。畑の近くに竹林があり、地権者の方にお断りすれば自由に切り出すことができたので、どうせなら支柱は全部竹にしよう!と。
いや〜これ、竹林からこれだけの竹を切り出すのも、支柱を立てるのも大変でしたが、その後がも〜タイヘン!!
結局この年は、畑に行く度に、強風やトマトの重さに耐えかねて倒壊した支柱を立て直してから収穫するという、なんだか訳のわからないことになってしまいました(単に支柱の立て方が悪いだけかもしれませんが・・・)。
そして極め付けが三つ目の竹ハウス。
トマトは雨に弱いので、ビニルハウスを建てよう!ということで調べてみると、なんと竹でハウス(の骨組み)を建てている事例があるではありませんか!
これはやらない手はない!ということで、何名かの農友にもお手伝いいただき、延べ5人日くらいかけて竹ハウスを建てました。
参考にした竹ハウスの資料を読む限り、ちゃんと建てればある程度の風にも耐えられるようなのですが、素人が俄仕込みでやるとこうなる、の縮図でした(苦笑)。
初年度を教訓に、今年は、支柱はホームセンターで購入したスチール製、トマトハウスは断念し、大玉トマト限定の雨避けを、スチールパイプを知り合いの農家さんからお借りしつつ、足らないパーツは購入したことは言うまでもありません。
「土に還らないものは使わない」というコンセプトは頓挫しましたが、今回の教訓は、どこに重きを置いて農ライフをデザインするのか?という学びになったと考えています。
一応自分の中では、スチールの支柱やスチールパイプは、半永久ではないまでも、経年劣化しづらく毎年再利用できるし、そこからゴミを排出するものではない、という苦し紛れの納得感で現状は抑えています(笑)。
次回は「土地の風土で作物を育む」について書きます。
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