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eat more! な痩せ方と睡眠について

何が一番の肥満の原因なのだろうか?
遺伝?運動不足?食べ過ぎ?
ある研究☆1 で2,275人の成人に聞いた結果、83%の人が運動不足と答えた。しかし、医学研究☆1とスポーツ医学会では結論が一致している。

食べ過ぎである。

しかし、私達はコカ・コーラなどの食品会社からはあの手この手で運動不足によって人は肥満すると洗脳してきた。

「ソーダを飲む量を減らさなくていい。ただもっと運動しましょう。」

そう提言したのはGEBN(Global Energy Balance Network)という世界の健康増進のための研究機関である。この機関の影響力は凄まじく、"教育"により多くの人々が上記の提言を真実として受け入れていた。

しかし、GEBNはコカ・コーラが秘密裏に設立し資金提供していたということが、内部告発によって発覚した。何故そんなことをしたか?

公衆衛生と営利企業の間の戦争、肥満に関する論調に終止符☆2 を打つためであった。

コカ・コーラは言う。

「すべてのカロリーは一緒。何処までいったってカロリーはカロリー。だから我々のゼロカロリー飲料を飲みませんか?」

ゼロカロリー飲料が何故肥満につながるかは一旦横に置き、考えてみよう。コカ・コーラ1本で250kcalある。これは人参5本と同じカロリーである。
コーラは飲めても、人参5本をたべることはできるだろうか?
人間の胃は約一リットル拡大し、伸長度に応じて食欲がセーブされる。
そして、体は2kgの食事を想定している。

私達の食欲は、食べた物の体積or重量によって一定量に自動調整され、
体重が調整される。

なので、カロリーだけで食事を考えるのではなく、カロリー密度という概念の導入が必要だ。

同じ2000kcalとるのに、
ショートケーキなら6個で1つの胃いっぱい(1 stomachful)に収まり、
イチゴなら20個入りで1パックを20パック食べる必要がある(400個!10 stomachful!)

健康医学Advanced-1_Ⅰ「エビデンスベースドダイエット:カロリーの真実」_-_YouTube

どれだけのいちご好きでもここまで1日で400個食べることはできない。そう、いくつかの食材は食べ過ぎるということができないのだ。カロリー密度が低い食材は、少ないカロリーで胃を拡張し、満腹感を刺激する。

肥満気味の人に「少なく食べろ」というのはストレスフルで続かない。
効果的なのは、「もっと食べましょう。食べるものはヘルシーな低いカロリー密度の食事です。」というアドバイス☆3 である。

カロリー密度が高いものは何であろうか?

画像を下に置いたが「油」脂類、ナッツ、チーズ、肉類がカロリー密度が高いものとしてわかっている。

健康医学Advanced-1_Ⅰ「エビデンスベースドダイエット:カロリーの真実」_-_YouTube-4

しかし、不思議なことに
ナッツだけは制限すべき食事に入らない。ナッツはどうやら全ては吸収されず、エネルギー消費を増加させるようだ。ある研究ではある人々の普段の食事に8週間毎日459kcal分のナッツを上乗せで食べさせて、その体重変化を調査した。

しかし、体重は変化しなかった。

459kcal*8weeks*7days=25,000kcal

は何処にいったのか。

なので、ナッツを除いたカロリー密度の高い「油」脂類、チーズ、肉類を制限し、

カロリー密度の低い葉野菜、野菜、果物、全粒穀物、豆類を積極的に食べることが推奨される。

覚えてほしいことは

「カロリー密度の低いものをもっと食べよう。つまり野菜をたくさん食べましょう。」

ということである。

健康医学Advanced-1_Ⅰ「エビデンスベースドダイエット:カロリーの真実」_-_YouTube_🔊


最後に、睡眠不足と肥満の関係についても書きたい。

今まで体重は食生活と活動レベルで決まるものだと思われていたが、遺伝、ストレス、社会的地位、環境など様々な要素が、体重に影響を与えるということがわかってきた。その中で特に、睡眠不足(あるいは質の低下)が肥満のリスクファクター☆4 として重要視されてきている。

十分な睡眠によって人体の神経内分泌機能と糖代謝は正常に働く。
睡眠不足に陥ると、
耐糖能の低下、インスリン感受性の低下、夕方のコルチゾル濃度の上昇、
グレリン(食欲を司る)の上昇、
レプチン(摂食抑制とエネルギー消費亢進を司る)の低下
成長ホルモンの低下

などにより、食欲が増加し、肥満につながる。
肥満防止のためにも最も活動性の低い「睡眠」という行為を7時間以上は行うことが推奨される。

☆1 **[Aneel Karnani](https://journals.sagepub.com/action/doSearch?target=default&ContribAuthorStored=Karnani%2C+Aneel), Leanwashing: A Hidden Factor in the Obesity Crisis,** [Vol 56, Issue 4, 2014](https://journals.sagepub.com/toc/cmra/56/4)

☆2 Barlow PSerôdio PRuskin G et al., Science organisations and Coca-Cola's 'war' with the public health community: Insights from an internal industry document, **Barlow P, et al. J Epidemiol Community Health 2018;72:761–763. doi:10.1136/jech-2017-210375**

☆3 [Susan A Jebb](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Jebb+SA&cauthor_id=15960867), **Dietary strategies for the prevention of obesity,** proc Nutr Soc, 2005 May;64(2):217-27. doi: 10.1079/pns2005429.

☆4 Guglielmo Beccutia and Silvana Pannain, Sleep and obesity, Curr Opin Clin Nutr Metab Care 14:402–412

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