完結している人間が好きだ
日はとっくに落ちてしまって、蒸した夜のペトリコールと大学生の話し声がTシャツ越し、べとべとと肌にまとわりついてくる。大学から帰っている。研究室で少し遅くまで論文を探し、図書館に取り寄せていた資料を取りに行った帰りだ。車が一台通れるかどうかという道幅のところに、20人くらいの学部生と思しき集団が固まって歩いている。はあぁ。まあ、ええか。どうやってコミュニティが維持されているのだろう、とか、一人一人と関係を取り結ぶのだろう、とか考えながら、ため息を隠して仕方なくいつもの五千倍ゆ