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運指ポジションにおける自身の変遷?

マンドローネ Advent Calendarへの記事掲載のためのNOTEですが、今年で4年目を迎えました。発起人偉い!!
ついでながら、今年の追加投稿依頼は、あと1回位でお願いします…()


いつも書いてる、自分の一年間のろうね総括は、今年の出演の締めである、12/18の新座マンドリンクラブ第62回定期演奏会の後に行う予定です。
ベト7とか高丘親王航海記とかバッカナールとかエンマ・イゾッタとか最後の最後で色々盛りだくさんであります…(悲鳴)

なので今年の初っ端は、運指ポジションにおける自身の変遷?について書いてみようと思います。実際弾いた動画を交えて(録り下ろし)。ちょっとした事を長大に書いて恐縮ですが、せっかくの機会、備忘で書かせてもらいます。


■序

今回のネタは、ボッタキアリ作曲イル・ボートから、冒頭のローネソロ

不完全小節から始まり、各1拍目に重点を置き、2小節目の3拍目と4拍目でさりげに区切りを入れ、松葉(カニマーク)を忠実にシ♭を頂点に置き、最後はdicsrecしながらチェロに引き継げる音量・音質でおさめる。ココ弾いてもらうだけで、奏者の技量(世界観)がある程度わかるフレーズです。なんと言ってもボッタキアリの世界をツカみ2小節で掴む、それだけでも鬼仕様!!みたいな。

なぜイル・ボートを題材にしたか。出演オケの宣伝をFBで書くときに頭に浮かんだのがきっかけ。

■1回目(同志社香里中高ギターマンドリンクラブ第27回定期演奏会)

香里卒業して1年後(大学1年生)OB賛助で。指揮者は現ARTEグループ理事長(当時高3)

当時の運指はこちら↓

注:数字は指番号。ただし0は開放。上のアルファベットは使用弦

このポジションで弾いた動画がこちら↓
注:使用楽器 :フラテリヴィナッチャ(1927年製作)
  使用ピック:Ibanez SOFT FLASTOMER 2.5mm ※緑ワニではない
  以下同様

目をつぶって聞いてみて、実際の記譜とイメージが合致したでしょうか?(反語)そう、これは「弾いただけ」。当時の自分は「音出れば良い」でした。

■2回目(エストゥディアンティナ・フィロドリーノ第4回定期演奏会)

石村隆行先生主宰、関西、いや日本、世界を代表するちょうエリートオケ(個人的主観)。弾いた当時の使用楽器は石村先生所蔵のヴィナッチャ。綺麗に音が通る、言わずもがなの名器。

先生の重層かつ濃厚な数々のご指摘を受け、紆余曲折の末、このような運指としました。

  • 移弦は、音量・音質・スラーとも流れを切るので避ける。特に開放弦への移弦。

  • D線のソで生み出された楽器の響きを利用して頂点のシ♭の音を押し出すイメージ。

  • 2小節目3拍目4拍目の間と3小節目付点四分の後に軽くスキマを入れる

動画↓

そして、実際演奏した動画というか録音。なつかし!!

弾いた当時は、手元でピックがパチパチ鳴ってて、打上でかなり凹んでました。それなりに綺麗に聞こえてるのは、楽器とホールと録音技術の結果かしら。あと時間薬。

■3回目&4回目(アンサンブル・ビアンカフィオーリ)

正確に言うと、イル・ボートではありません。ロマン的幻想曲「棄てられた女」なるイル・ボートほぼクリソツな曲。あ、作曲者はボッタキアリです。

ARTE主催の大阪国際マンドリンなんとか(失念)と定演アンコールの計2回演奏されたきりで、演奏ステージの性格上、第三者が閲覧・視聴する機会はたぶんなし。探せばある…かな…。

どういう経緯でこんな曲が作られたか、作曲年はどっちが早いのか、この曲どうやって見つけてたのか等々、詳細を書くべきですが、弾けと言われたら…のオケ畜なので全くわかりませんすいません。ご興味ある方はビアンカへお問い合わせor入団の検討を(チェローねはたくさんほしがってるはずたぶん)

閑話休題

2回目と比較して大らかなとこなので、指示はあまりなかった気がします。あっても即修正可能な領域だったかと(うろ覚え)。ゆったりテンポだったし(同様)。
ということでポジション・動画とも省略。

■5回目(ロマンツァ・マンドリンアンサンブル第23回定期演奏会)

4回目からずいぶんと長い時間が経ちまして今年に至る。何やかんやで経験も蓄積されたのもあり、ゼロベースで表現方法を見直しました。
素っ裸ソロだし、パートの受け渡しから徐々に盛り上がる曲想だから、音量はあまり気にしなくて良い、と「うるさいは褒め言葉」から解脱した感じ。トシですねえ。あ、音質は気にしましたよ。

一番考えたのは「いかに記譜のスラーどおりに弾けるか」
結果としてこちら

最初のスラーのフレーズはオールA線(最低弦)で弾き、次のスラーの最初のミはA線で、以降はD線で弾くというパターン。
2フレーズ目最初のミをA線にしたのは、D線から始めると音質が変わりすぎる、ポジション的楽器の振動持続的にA線スタートが音楽的に聞きやすい、を考えての結果。

最初のフレーズのA線演奏は、ピックノイズリスクが「ものすごく」多いのですが、改めて弾く位置や力加減、楽器振動を持続・増幅できる場所を確かめながら、最適解を一音ごとに探っていきました。

実際の演奏での楽器・ピックとも上の動画と同じです。演奏動画は来年のどこかしらで公開されると思います。家とホールでの音の違いがどうか、個人的には楽しみにしてます。家の録音は制約ありすぎてアレですが(言い訳)
ただ、本番で座ったところがひな壇なしの舞台最奥で、自分の客観的な音が掴みきれずで消化不良。ノイズが多い可能性も大。トッパンホールは正直なホールなんで…こわいこわい。

■ジュネスでのイル・ボート

5回目の運指ですが、実は自分以外に前半フレーズオールA線を導き出した演奏会があります。かなり昔に。それが、
第55回青少年音楽祭(1989年) ジュネス・ミュジカル・マンドリン・オーケストラ

当時はNHK教育で放映されており、自分も学生時、VHSビデオで拝見してました。ローネソロですが、弦のうねりが目立った事、そもそも音がよく聞こえなかった事、A線ファの音を外すミスがあった事、があり、なんでこんなポジションするのか笑∞っなんて思ってました当時。

が、今更ながら記譜表現から考えると、なかなか合理的なポジションでした。しかも齢20代にして編み出したという。今となっては恥じ入るばかりです。この場をお借りしてお詫び申し上げます。叶う事なら切腹最中を…。

後半フレーズ?冒頭のEを弾く弦は好みの問題かも。正直なところ。
なお、音源・動画はYoutubeに無し。棄てられた女と同じ状態ですね…。

■まとめ

長らくお付き合い頂きありがとうございました。ポジション画像と動画の貼付で完結できるネタですが、自分の整理として文章に残したかったので。そう、弾いただけ→指示に応じて→自発的、ちう自己の変遷というヤツです。
あと、録音動画はホントにシケシケ&お見苦しくてスイマセン…。自宅+手元録音&ポジション見せるのが重要なのよと言い訳。通常環境ならもう少しうまく聞こえると思いたい。
まあ、ジュネスのイル・ボートのような、いつかの道標になれば。

過去に何度もしつこく言ってますが、ローネは音が届きにくい楽器です。なので、どうしても音量とノイズのないらしい音質、に重点が行きがちですが、たまには要求されたフレーズをその通りに届けられるか、も頭に入れてもらえたらと思います。トップな方は特に。運指や弾く弦を変えるだけで、思った通りに弾けないところが楽に弾けるケースも多々あると思います。

開放弦至上主義から脱却しつつ、自分の音を録音してみて、評価反省し、対策を練り、次に活かす、みたいなPDCAを回してもらえたらなあと。
次に活かす為の基準の一つは、楽器をいかに振動させる事ができるか音の変わり目に相応した振動持続・移行ができるか、だと思っています。

以上です。言うは易しにお付き合い頂き、ありがとうございました。

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