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や さ し い 歌 声

6月5日、ボサ・ノヴァの名曲「イパネマの娘」で知られる
女性ヴォーカリスト、アストラッド・ジルベルトさんが亡くなられました。
優しく力を抜いたアンニュイな歌い方は
ボサ・ノヴァという音楽の持つ世界感を構築するために
間違いなく、必須と言える要素だったでしょう。
原点にして頂点…
心よりご冥福をお祈りいたします。

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ボクにとって、ボサ・ノヴァは好きなジャンルの音楽ではありましたが、それほど掘り下げて聴き込んでいた訳でもなく、それが要因にもなりアストラッドさんの歌声を聴く機会はとても高いものでした。手持ちのCDにしたってボサ・ノヴァ系は確か10枚ほどしか所有していないと思います。
本当に好きだったの?
そう面等向かって聞かれると返答に困ってしまうでしょうが、それでも好んで聴くジャンルには違いありません。例えば街中のカフェなんかでも頻繁に流れていますから、ボクのようにボサ・ノヴァは大好きだけどCDは所有していない、そんな方も多いのではないでしょうか。それに、肩肘を張らずリラックスできるのが最大の魅力だと思います。
YouTubeの動画を貼っておきますね、静止画だけど。

イ パ ネ マ の 娘(1963年)
スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト/アストラッド・ジルベルト
The Girl From Ipanema
Stan Getz & Joao Gilberto / feat. Astrud Gilberto

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上に貼った曲は一番最初のヴァージョンじゃないのかもしれません、途中から聞こえてくる女性ヴォーカルがアストラッドさんです。ジョアン・ジルベルトさんは、アストラッドさん旦那さん、直ぐに離婚したらしいですけど。ボサ・ノヴァ音楽としてはジョアンさんの方が重要なのかな、ギターとヴォーカルとして。
この曲には中盤からジャズ系のテナーサックスの演奏が加わりますが、その奏者がスタン・ゲッツさんです。おそらくゲッツさんはこの3人の中では最も有名なミュージシャンだろうと思われます。ダンディーだったかどうかは知りませんけど、彼の吹くサックスの響きはもはや尋常ではありません。
バーボン・ウイスキー好きのボクとしては、12年物のワイルドターキーと彼のサックスさえあれば、どんなに辛い夜でも前向きに過ごせそうな気がします。

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件の「イパネマの娘」は、スタン・ゲッツさんとジョアン・ジルベルトさん、お2人の共作による『ゲッツ/ジルベルト』というアルバムの一曲目にされてる曲。聴いた感じだとジルベルト夫妻のデュオに、フィーチャーリングのゲスト・ミュージシャンとして、腕利きのサックス奏者であるゲッツさんが、特別に参加しているかのように思えてしまいそうです。
ジャンルも年代も全く違うのですが、名高い楽器奏者が特別に参加する音楽と言えば、ボクには直ぐに思いつく曲があります。それは、黒人のヴォーカリストのジョニー・ギルさんが歌っていた「MyMyMy」という楽曲です。力強いギルさんの歌唱を優しく包みこむ、まるで風が流れるような旋律で共演しているのは、ソプラノ・サクソフォーン奏者として名高いケニー・Gさん。初めてこの曲を聴いたときには、音色から直ぐにケニーさんを思い浮かべましたが、まさか本人とは思いませんでした。ケニーさんの曲は知らないんですけどね。
あまり関係ありませんが、ケニーさんの誕生日は6月5日だそうです。

マイ マイ マイ(1990年)
ジョニー・ギル/feat.ケニー・G/アフター7
My, My, My
Johnny Gill / feat. Kenny G / After 7

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一流奏者の演奏が加わると、ただでさえ素晴らしい楽曲に一層の深みが増すというか、楽曲としての完成度や存在感が、まるで別の次元へと昇華されるような気がします。比喩でもなんでもなく魂が震えるのです。人生を共に歩いてくれる、そんな音楽と言えるのではないでしょうか。サブスク的な聴き方ではあまり出逢えない音楽だと思います。
せっかくなのでもう一曲追加。
日本人のあまり有名ではないヴォーカリスト、マリマリさんの楽曲です。これもまぁ古い曲なんですけどね。ヴァイオリン奏者であるHONZIさんの演奏がただ事ではありません。アコースティック楽器の音色は、女性の歌声と深く深く響き合うのです。5分40秒を過ぎた辺りから本格的に始まりますから、先は長いかも。途中のエレピも中々ですが、何より声豚のボクが完全に魅了される程の美しく可愛らしい歌声ですから、どうか頑張って聴いてみてください。
おそらく東京は今夜あたりから梅雨に突入してしまうのでしょう。当分のあいだ澄み切った青空は望めそうもありませんので、この楽曲を聴いて爽やかな気分を補完していただけると嬉しいです。
追伸、歌詞には少しだけ自転車も描写されています。

エヴリデイ,アンダー・ザ・ブルー・ブルー・スカイ(1996年)
Everyday,Under The Blue Blue Sky
MariMari / feat. HONZI

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E  n  d

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