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【会話劇】春の季語は目の前に【滴燈堂は暇すぎる】

【登場人物】

翠峰四可(みどりみね よつか)
滴燈堂店長。お酒は静かに呑みたい派

藍原六巳
滴燈堂店員。まだ未成年


「最近、急に暖かくなりましたね」
「そうね。この間なんて場所によっては
   夏日になったところがあるみたいよ」
「もう5年くらい季節の境目が急激というか、
   なんかこう乱高下がエグい感じしません?」
「分かるわ。今みたいな時期は前と比べると
   寒暖差の揺れが大きくなってきているように
   感じるものね」
「本当ですよ……あ、話変わりますけど、
   九州の方だとそろそろ桜が咲きそうに
   なってるみたいですよ」
「3月も終わりが見えてきてるものね。
   東京もたしかそろそろだったはずよ」
「今までだったらもうすぐ花見の時期で
   ワクワクしてくるんですけど、
   今年も厳しそうですね……」
「有名なところだと規制されたりそもそも
   入れなくなってるところもありそうね。
   まぁでもこの国は至るところに
   桜の木があるから。花見酒とはいかなくても
   ちょっとしたお花見ならできるでしょう」
「ですね。並木道とか、あと学校にも
   植えられてたりしますし。この辺りだと……
   たしか近くの川沿いで桜の木がある
   場所ありますよね?」
「お店から10分くらい歩いたところにあるわね。        
   そうだ。満開になったらお花見がてら
   少しお散歩しましょうか。
   行って戻ってくるのに20分か30分くらい
   かかるかもしれないけどそれくらいなら
   お客様も来ないでしょう。うん」
「いやたしかに丸1日一人も
   来ない時がざらにあるけど、
   店長がそれを言いますか………」


ー終わりー