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物流コンサルタントを始めたきっかけ #01 【合同会社インフィニティーオクターバー代表社員 栗田由菜】

ロジ人では物流テックと分類される業界の著名人、サービスにフォーカスしていきます。今回は合同会社インフィニティーオクターバーで代表を務める栗田由菜さんにインタビューしました。#01では、物流コンサルタントを始めたきっかけについてお話いただいています。


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▼合同会社インフィニティーオクターバー代表社員 栗田由菜氏
大学在学中、コンビニにおける通販配達システム開発立ち上げを経験。大学卒業後は、数多くのECサイトにおけるシステム開発やITサービスの導入に携わる。その後、2015年に合同会社インフィニティーオクターバーを創設し代表に就任。以来、物流コンサルタントとして数多くの企業のEC及び倉庫のITサービス・コンサルティングを行なっている。
現在のプロフィールは、東京学芸大学大学院修士課程 / 平成31年将棋普及指導員 / ポケモンカードゲーム公式イベントオーガナイザー / MENSA会員
専門は成人教育(ノンフォーマル教育)、教育工学(インストラクション・デザイン)、現象学(E・レヴィナス)他にもアドラー心理学のワークショップにも参加。日本教育工学会 / 日本健康心理学会 / 日本教育支援協働学会 / 日本アドラー心理学会所属


物流コンサルタントとは

ー 現在の仕事内容を教えてください。

物流コンサルタントとは広いので、自分では「フルフィルメント・アーキテクト」と名乗っています。その上で、通販サイトや倉庫などにおける、ITサービスから現場までの物流プロセスに関するコンサルティングをしています。自社で通販のサイトを開設したものの売上が思うように伸びなかったり、荷物の保管場所や配達に至るフローの効率化ができていなかったりといった、クライアントの悩みを物流の視点から解決すべくアプローチをしています。

現状、日本国内で私のような広範囲の領域を担当している物流コンサルタントは少ないです。しかし、通販サイト利用が広く世間に浸透した現代だからこそ、物流プロセスの改善は企業にとって売上アップには欠かせない要素だと考えています。

ー 具体的にはどういったことを改善しているのでしょうか。

仕組みやコストなど、関わる点は案件によってケースバイケースですが、一番は受注以降の物流の仕組みを整える取り組みを行っています。通販開始からある一定のラインまでは売上が上がっても、数多くの企業で出荷件数が伸び悩みます。その原因は、注文を適切に処理する体制が整っていないといったバックヤードの業務の重要性について見落としがちなところにあります。広告などで、知名度や認知度が世の中で高まっても、商品をお客様のもとに届ける物流の仕組みづくりが追いついていなければ、出荷件数を増やしていくことは難しくなります。

注文を捌ける物流基盤がなければ、配達時期が遅れたり配送段階でトラブルが発生したりするといったケースが多発してしまいかねません。そうした事案は顧客満足度の低下やクレームにつながってしまいます。そのため、物流部分の整流化をしなければならないのです。

ー 通販サイトでの売上増加には、顧客需要に対応できる物流基盤が必要不可欠ということですね。

はい。現にお仕事をいただいているクライアントのほとんどは、売上が一定ラインから伸び悩んでしまっています。通販サイトを利用した商取引は、注文されたタイミングで終わりではなく、お客様の手元に商品を届けて初めて成立します。より売り上げを伸ばしていくためには、どうやって商品をお客様の所まで運ぶのかを加味して、最適な物流の仕組みを作っていく必要があるのです。

商品が注文されてからお客様へ配達するまでのプロセスは多層に分かれています。まずは在庫の発注後に経理処理をして、倉庫に商品を入荷します。入荷後は入荷計上を行い、倉庫に格納された商品のデータをwebに掲載し、購入されたら受注管理システムを使って発送準備をし、ようやくお客様の元に商品が発送されるのです。

こうした物流プロセスの中で、何をどこまで省人化・省力化をし、属人性を排除していくのか、現状ボトルネックとなっているのはどの部分なのかという観点で検討や施策の実行をしていくことで、クライアントの売上向上をサポートしています。

インタビューの様子

物流業界で働くようになったきっかけ

ー 物流業界の仕事に携わるようになったきっかけについて教えてください。

通販サイトで購入した商品をコンビニで受け取るまでの物流プロセスに関するエンジニアリングの依頼を受けたのが最初だったと思います。倉庫から出荷された荷物をコンビニの物流システムにのせて配送する仕組みに関する開発をしていました。当時は物流コンサルタントという職業すらしらなく、あくまでプログラミングなどの知識を生かしてお手伝いをする感覚でした。

ー 物流に関わりたかったというよりは、たまたま仕事をもらったことがきっかけだったのでしょうか。

そうですね。当時は通販サイトの立ち上げにまつわるシステムを導入できる人材が少なかったこともあり、WMSの導入支援や、通販サイトの仕組みをほぼ全て私1人で作り上げていました。

ー 通販サイトをしたい企業の思惑とは裏腹に、開発できるエンジニアが少なかったからこそ栗田さんが必要とされて、自然と物流関係の仕事が多くなっていったと。

その通りです。開発分野の作り手不足ということもあって、取引先の企業様からの紹介でお仕事を継続的にいただいているといった状況です。

物流の仕事に関わり始めた当初は、コンサルタントというよりもエンジニアリングの仕事がほとんどでした。上記に付随するコンビニでの商品受け渡しで使用する送り状や伝票の作成システムの構築や、ECシステムの在庫にこまっているという話を聞き、WMSを導入したりなどしていたら、自然と物流メインで仕事をするようになっていきました。

ー 物流の仕事がメインになっていく中で、どういったところに仕事の面白みを感じていたのでしょうか。

やはり「問題を解決すること」に一番の面白みを感じます。物流の仕事はシステムの開発が入り口ですが、お客様の要望に応える中で少しづつ組織の課題や問題点がわかるようになっていっていきました。新規システムの導入もそうですが、企業によっては既存の物流プロセスを変えたくなかったり、人員を増やしたのにうまくいかなかったりと、組織の仕組みに問題を抱えているケースが多々あります。そういった組織の運営方法や導入しているシステムに合わせつつ、いかに目標を達成するか試行錯誤する部分に面白みを感じています。

ー システム開発や改善に関わるうちに、それ以外の物流プロセスでの問題解決にも興味が出てくるようになったのですね。

そうですね。システムの開発も導入も、目的を達成するための一つの手段でしかありません。クライアントの目的達成に向け、どういった解決策を提示することが最善なのかを、システムだけでなく組織にまで視野を広げながらコンサルティングを行なっています。

インタビューの様子

必ずしも専門家になる必要はない

ー 栗田さんの学生時代のお話を伺ってもよろしいでしょうか。

私が学生の頃は、ガラケーの公式サイトの運用や、ゲームアプリの開発である程度生活できるくらいの稼ぎがありました。アカデミックに少し足を踏み入れたいのもあり、就職はおろか就職活動すらしませんでした。友人が就職活動をしている中でも、特に就職する必要性を感じていなかったのです。同期は銀行や大手メーカーにいく人が多かったですね。

ー 新卒としてやりたい仕事や身を置きたい業界はなかったのでしょうか。

そうですね。特に「この仕事をやりたい」といったものはなく、そういったスタンスは今でも変わっていません。仕事をもらってから覚えたプログラミングでお仕事とお金をもらえていたので、新卒カードを使って就職しなければいけない、という想いもありませんでした。

ー そのまま就職をせずにプログラミングのお仕事をする中で、将来に対する不安はありませんでしたか。

不安ではないのですが、当時の私はプログラミングを勉強しながら、お金を稼いでいたので、漠然と「この仕事で食べていけるのかな」と考えてはいました。そんな矢先、プログラミングのお仕事を始めたくらいのタイミングで、もっとも大好きな漫画家の方から「技術の習得過程でお金をもらえるのは才能の一つの判断基準です」というお言葉をいただきました。

だからといって、エンジニアスキルは有しながらもプログラミングの専門家を目指すのではなく、スキルの引き出しの一つとして捉え、今でも仕事を行う上で役に立っています。

ー 世間の風潮としては、仕事は特定の専門分野を持った人材になるべき、という考え方が主流になっているように感じます。

個人的には、必ずしも仕事における専門分野を持たなくてもいいと考えています。物流業界に関して言えば、複数の分野にまたがって知識を持っている人材はほとんどいません。だからこそ、ある程度プログラミングスキルを持ち、物流業界の知識がある私にも存在意義があるのだと感じています。そのためフルフィルメント・アーキテクトと名乗っています。

自分がどんな仕事をしたいのか、将来的に何になりたいのか、といった考えを持つことは素晴らしいと思います。ですが私の仕事のスタンスとして、特定の組織を極端に大きくすることにはあまり関心はありません。「自分が手の届く範囲でもいいから困っている人をしっかりとケアしていく」ことを最優先に、ひたすら目の前の課題に取り組んでいくことが自分にとっての仕事のやりがいにつながっていると考えています。


<取材・編集:ロジ人編集部>


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