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ビジネスコーディネーターとして物流業界に革命を #01【合同会社TAKEz 武田 優人】

ロジ人では物流テックと分類される業界の著名人、サービスにフォーカスしていきます。今回は合同会社TAKEzで代表を務める武田 優人さんにインタビューしました。#01では、「物流業界におけるビジネスコーディネーターの役割」についてお話いただいています。

<プロフィール>

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▼ 合同会社TAKEz 代表  武田 優人氏
早稲田大学を卒業後「京王電鉄株式会社」に入社。7年間、不動産管理やリノベーション企画を担当する。その後、先進的物流施設の開発・運営を行う「日本GLP株式会社」へ入社。プロパティマネジメント部で物件の施設や運営管理の業務を経て、2017年に物流の様々な課題を包括的に解決へと導くサービスの提供に特化した子会社「モノフル」を立ち上げ。2023年からはフリーランスとして、物流領域のスタートアップを中心に、Bizdevや営業戦略支援に携わる。


足りないピースを埋めていく働き方

― 現在の仕事内容を教えてください。

スタートアップの事業開発支援や、大企業の新規事業チームへのメンタリングなど、“新規事業”をひとつの軸にしながら、そこに物流や不動産などのインフラ系の知見やネットワークを絡め、事業開発の支援をしています。内容としては物流コンサルタントに近い仕事ではありますが「物流コンサルタント」とは名乗らず、肩書きは「ビジネスコーディネーター」です。

時には支援先の名刺を持ちながら商談を行ったり、事業の意思決定をしたり、採用計画を練ったり、調達のお手伝いをしたりすることもあります。支援先の状況を把握し、動きや立ち位置を柔軟に変えながら、様々な企業を渡り歩いているんです。外部アドバイザーという立場での働き方よりも、中に入り込む伴走の方が好きでして、企業様の“足りないピースを埋めていく働き方”というのがイメージが付きやすいかと思います。

― 業務内容が多岐に渡りますが、物流にはどのように携わっているのでしょうか。

物流も人流も、「モノ」や「ヒト」が動く仕組みだと整理しています。例えば、現在携わっている介護領域のスタートアップにおいては、介護の送迎リソース不足の解決に挑んでいますが、すでにある輸送インフラを活用し、どのように「ヒト」を運ぶのかを検証しています。どのような座組にするか、どこからお金を持ってくるか、という考え方は「モノ」の輸送にと同じような考えが適用でき、事業開発としての経験を活かせています。

― 物流業界におけるビジネスコーディネーターとして始動してから日が浅いものの、すでに多くの企業様とタッグを組まれています。具体的にはどのようなご提案をされているのでしょうか。

最初の仕事として依頼を受けたのは、以前よりお付き合いが深かったB2B輸送のプラットフォームを推進するハコベル社でした。運送会社や個人ドライバーを支援する「ハコベルサポーターズプログラム」が立ち上がった直後だったのですが、しっかり基盤を作り、加速する役割として、同業界で活躍し、かつ、同い年でもある狭間社長からご相談をいただきました。

そこで2023年の1月からチームに入らせていただき、過去のネットワークを活かし、価値ある提携先を増やすとともに、業界内へサポーターズプログラムの存在感を示すということを重点に置いて取り組みを始めました。スピード感があるスタートアップの中で働けることは非常に刺激的であり、物流スタートアップで抜群の知名度、実績を誇るハコベル社の支援をできたことは非常に大きな経験です。

物流領域においては、大手メーカー様の物流現場の改善プロジェクトにも参加しております。こちらはシステムの導入を含めたご提案になっているのですが、「どのシステムを入れるか」ではなく、まずは“業務をどうしたいか”という観点でゴールを定めました。その上で「システムが必要だ」ということが明確になったので、必要最小限の範囲でシステムを構築し、業務フローの改善に取り組んでいます。

インタビューの様子

求められることは「率直な意見」

― 物流業界のビジネスコーディネーターとして求められているものは何でしょうか。

まずは、率直に感じたことをお伝えすることかと思います。なかには、「𠮟ってください」とご要望いただくこともあります(笑)。特に大企業にもなると、社員ひとりひとりが自分の業務範囲に集中してしまうため、「会社全体を良くしよう」「お客様に最高のものを届けよう」という意識を持ち続けることが難しくなります。それは環境的に仕方ないことではありますが、視野が少し狭くなるなかに、私のような外部の人間が業界全体の動きや、トレンド、事業としてとらえた時のコメントをさせていただくことで、新しい気づきをご提供出来ているかと思います。私自身、良い意味(?)でも物怖じせず本音を告げるタイプなので、それを求めてくださる企業様とは相性が良いです。

― ご自身が大切にしていることは何でしょうか。

コンサルタントというと、依頼主の逆側のテーブルに座っているイメージがありますが、私は意見するだけでなく、自身で実行することでより大きな価値を提供できると思っているため、「(依頼主となる企業の)名刺を持たせてください」「中に入らせてください」「裁量権をください」と要望を出し、できるだけ依頼主側の立場に立つようにしています。これは、「自らの意思を持ってチームの中に入り、リスクもリターンも共有したい」という考え方です。そこまでは・・・という企業ももちろんいらっしゃいますが、意見だけするような顧問の働き方が個人的には最大の価値を提供できる立ち位置ではないと思っているので、想いが合致した企業とご一緒させていただいています。 

― 昨今は時代の風潮として「適性が合うところでパフォーマンスを発揮すべき」という傾向ですが、そのことについてはどうお考えですか。

私にとっては追い風になっているように思います。私自身、もともと独立を考えていたわけでなかったのですが、正社員ではない働き方が認められ、自らの能力を活かして動けるような時代になったので、結果的に独立したというのが本音です。私の得意なところは、事業の立ち上げや、課題の整理といった瞬間風速的に必要な領域がメインであり、長く1社にコミットして働くよりも、必要なタイミングに必要な濃度で入り込むいまの働き方は自分に合っているかなと思っています。

インタビューの様子

自分の時間の100%を事業に使う

― ビジネスコーディネーターとして様々な企業から声をかけられる、その秘訣は何だと思われますか。 

ひとつの製品やソリューションを販売するのではなく、企業や社会の課題に対して最適なものをお届けしていることを評価いただいているのだと思っています。例えば、最適なオペレーションや効果を発揮できるシステム設計をしたいと依頼があったとします。この件について、もし対応するのがシステム会社の営業マンだったら、システムの発注をいただかないと売り上げにはなりません。システムがなぜ必要になるのか、誘導するように話を進めることもあるでしょう。

しかし私の場合は、オペレーションという“人力”の部分と“システム”の部分、両方を組み立てながら提案をすることができます。それがお客様にとっては「相談して良かった」「先入観や偏見なしで、一番いいものを紹介してくれる」という評価に繋がります。これまでに2度転職をしてきましたが、変わらずお客様がついてきてくださる背景には、私が「〇〇という会社の武田」でなく、「ビジネスコーディネーターの武田」としてお客様に向き合っていることが結構大きいことかと思っております。

― 大学をご卒業後は京王電鉄などでも働かれていますが、当時と比較して意識の変化はございますか。

京王電鉄にいた当時は総合職で入社したこともあり、なんとなく社長になりたいと思っていました。その後、モノフルにおいても組織のマネジメントを経験していましたが、いまは事業の価値を発見し、組み立て、高めるところにコミットしたいというように気持ちが変化してきています。今後もずっと続くかは分かりませんが、現在は自分の100%の時間を事業に費やしたいと思っています。ですので、自社で社員を採用することは考えていません。支援先の企業様で組織を作ることもありますが、それはあくまでも事業を作り上げるためのもの。さらにはその先にいる顧客のためになることだと思っています。

― 物流業界のビジネスコーディネーターという新しい領域で活躍しておられる武田さん。次回はどのような経緯で今のステージにたどり着いたか、その背景についてお伺いします。


<取材・編集:ロジ人編集部>


次回の“尖っていた若手時代とロジスティクスとの出会い #02 3/8(金)公開予定です!お楽しみに!!

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