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ChatGPTの文章を分析する(5):書き直し

知識人の書いた文書を元に、ChatGPTで生成させた文章を分析する。数回に分けて、この試みをやってみよう。内容は、かなり難しくなるはずだ。誰も読まないような内容になるかもしれないが、このマガジンの趣旨が「ノウハウを後世に残す」ことなので気にしない。いつか、誰かの参考になれば。

対象文章:
新聞に掲載されていた知識人の意見文を、ChatGPTで改訂させた文章である(本記事の最後に掲載)。論理も説明もかなり問題がある。「論理的に考え、説明する力が必要」と主張しているのに、本人(元記事を書いた知識人)ができていない。しかし、残念だがよくあることではある。

ポイント:
● 全体は総論ー各論ー結論の構成
● 各論は、現状ー問題ー対策1ー対策2の構成
● 各パラグラフは、1つのトピックをPREPで論証
● 対策1と対策2は、質と量でまとめる

論理的な文章なのだから、全体は総論ー各論ー結論の構成をとっている。まず、何が大事かを述べ、次に、大事なことを詳しく説明し、最後に、何が大事かを念押しするのだ。文学的な文章ではないのだから、結論相当のことは最初に述べる。さらに、結論は念押しなのだから、総論と内容を重複させる。もしこの重複がくどいなら、結論は、省略してもかまわない。論理的な文章は、総論ー各論ー結論の構成をとるのだ。

各論は、パラグラフを使って、現状ー問題ー対策1ー対策2の構成を伝えている。提案における定番の基本構成は、「現状ー問題ー原因ー対策ー効果ーデメリットへの反論」の6部である。6つ全部を書くのではなく、そのときのテーマに合わせて削る。それぞれ複数あるなら、たとえば原因が2つあるなら、その数だけパラグラフが必要になる。なぜなら論証が必要だから。今回は、元の文章の構成に合わせて対策を2つとした。全体の文章量も元の文章に合わせたので、現状ー問題ー対策1ー対策2とした。

各パラグラフは、1パラグラフ・1トピックを守りつつ、PREPの構成で論証している。たとえば、第2パラグラフで「論理的に考え、説明する力が必要とされています」と述べたので、その必要性を論証する。ここでは、なぜ必要なのかというReasonやExampleを挙げた。同様に、第3パラグラフで「論理的に考え、説明する力が不十分です」と述べたので、その不十分さを論証する。ここでは、Evidenceを挙げた。各トピックを、PREPの構成で丁寧に論証するのだ。

対策1と対策2は、質と量のMECEでまとめている。並列したら、MECEにならないかと考えると、ただの羅列より論理性が出やすい。ここでは、質の向上として「論理的な文章と文学的な文章の教育を分ける」ことを挙げた。また、量の増加として「教育の各レベルごとに指導」を挙げた。元の文章は、対策が思いつきのように並べられている。対策も論理的に、質と量のMECEで説明するのだ。


書き直し例:

現代では、論理的に考え、説明する力が求められています。そこで、子どもたちの論理的に考え、説明する力を向上させるために、2つの方針を提案します。まず、文学的な文章と論理的な文章の教育を分けるべきです。次に、論理的な文章の書き方を、教育の各レベルごとに指導すべきです。

現代のグローバル社会においては、論理的に考え、説明する力が必要とされています。なぜなら、異なる国や異なる政治体制の元、文化、風習の違いを認識しつつ、共通の認識を持つ努力が求められるからです。このような社会では、狭い社会で通用する暗黙のルールは通用しません。たとえば、人間関係に頼った意思決定や根回しなどは、世界的には通用しないのです。論理的に説明して、初めて賛同が得られます。そこで、世界的な英語力を測定するIELTSというテストでも、ライティングでは論理的に説明する能力が問われています。現代では、論理的に考え、説明する力が必要となるのです。

しかし、日本の子どもたちは、論理的に考え、説明する力が不十分です。たとえば、文部科学省による全国学力・学習状況調査(2024)によると、「国語A(知識)」の平均正答率が80%前後であるのに対して、「国語B(活用)」での平均正答率は65%前後でした。また、昨年の千葉県立高校入試の国語で出題された道案内の論述問題では、受験生の半数が0点という結果でした。子どもたちの論理的に考え、説明する力が未熟であることが明らかになってきました。

そこで、まず、論理的な文章と文学的な文章の教育を分けることを提案します。現在は、明確な区別をせずに指導しています。しかし、論理的な文章と文学的な文章とでは書き方が異なります。たとえば、論理的な文章は、総論ー各論ー結論の構成によって、結論を先に伝えます。一方、文学的な文章は、起承転結のように結論を最後に回すことで、読み手の興味を引きます。また、論理的な文章では、論証が大事なのでパラグラフという形式を使います。しかし、論証するわけではない文学は、パラグラフという概念は使いません。論理的な文章と文学的な文章では、書き方が違うのですから、教育も分けるべきです。

また、論理的な文章の書き方を、教育の各レベルごとに指導することを提案します。各レベルとは、小学校から、中学、高校、大学、大学院の全てです。たとえばアメリカでは、小学校2年生ぐらいでパラグラフの学習を始めます。その後も、教育レベルに合わせて、各レベルに応じた教育が為されます。大学に進学後も、入学時、三、四年、大学院と、専門分野のレボートの書き方について講座が設けられています(参考:「コミュニケーション技術」篠田義明, 中公新書, 1986)。論理的な文章の書き方は、教育の各レベルに合わせた指導が必要なのです。

現在では、論理的に考え、説明する力が求められています。そこでまず、論理的な文章と文学的な文章は分けて指導すべきです。次に、論理的な文章の書き方は、教育のステージごとに、レベルを変えながら指導すべきです。この2つの方針の実施により、子どもたちの論理的に考え、説明する力が向上すると考えられます。


ChatGPTが生成した文章:

子供の学力向上には論述力重視の指導が必要

序論

現代のグローバル化社会において、異なる国や立場の人々がそれぞれの政治体制や文化、風習の違いを認識しつつ、共通の認識を持つための努力が求められています。このような社会では、狭い社会で通用する暗黙のルールに頼るのではなく、論理的に考え、説明する力が必要とされています。したがって、子供たちの学力向上のためには、論述力を重視した指導が重要です。

本論

論述力の重要性

文部科学省が発表した学力調査結果によれば、子供たちの学力において特に問題とされているのは計算力や暗記力ではなく、論理的に考え、説明する力です。この結果から、論述力を向上させる教育の必要性が明らかになっています。

提言1:感想文と論述文の分離教育

第一の提言として、情緒的な感想文と論述的な説明文の教育を分けることが必要です。これまでは「作文指導」として一括りにされてきましたが、両者は別々に訓練することで、それぞれの力を伸ばすことができます。例えば、昨年の千葉県立高校入試の国語で出題された道案内の論述問題では、受験生の半数が0点という結果が出ました。これは、教育現場に衝撃を与え、論理的な説明文指導の重要性を再認識させました。

提言2:算数の文章問題の改善

第二の提言として、小学生の論述力向上に役立つ算数の文章問題の表現を、より論理的で明確にすることが求められます。現在、私立中学入試の算数問題には改善が必要な点が多く見受けられます。例えば、「船がA地点から24キロ上流のB地点に向かうのに6時間かかり、反対に下るのに3時間かかった」という設問では、「静水での速さ」を求めるべきところを、受験者が「往復の平均速度」を計算してしまうことがあります。このように、設問の条件が曖昧では正確な答えを導くことが難しくなります。

さらに、食塩水の濃度に関する問題では、実際には100℃で最大28.2%であるにもかかわらず、入試算数の問題や正解には計算の都合で30%や40%が登場することがあります。事実を知っている子供たちにとって、28.2%を超える数値を用いることに戸惑いが生じるのは避けられません。

結論

以上のように、論述力を重視した教育の必要性は明白です。感想文と論述文を分けて教育すること、そして算数の文章問題の表現をより論理的で明確にすることが、子供たちの学力向上に大きく貢献するでしょう。これらの取り組みを通じて、子供たちが論理的思考力を身につけ、グローバルな社会で活躍できるようになることを確信しています。

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