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何でも揃えればよいというわけではない

並列するときは、説明を揃えようとするはずだ。しかし、揃えられるのは、重要性が等しいか近い情報だ。重要性に差があるなら、説明に差があるのも当然だ。

並列するなら、原則、説明を揃える。なぜなら、読み手に並列という関係を、読む前から伝えられるからだ。あるいは、読む前に構成が頭に入っているので、理解もしやすくなるからだ。だから、名詞の箇条書きなら、全て名詞で揃える。文の箇条書きなら、全て文で揃え、文末表現も揃える。パラグラフや階層でも、同じ構成の同じ表現で揃える。たとえば、Aのパラグラフが Topic sentence と図表なら、並列するBのパラグラフも Topic sentence と図表とする。並列した情報どうしで、表現も構成も揃える。

ただし、並列しているパラグラフや階層で、重要性に大きな差があるなら、揃えてはならない。つまり、重要性の低いパラグラフや階層を水増しして、重要性の高いパラグラフや階層と同じ構成や表現にしてはならない。なぜなら、そんなことしたら、重要性の低いパラグラフや階層によって、重要性の高いパラグラフや階層がぼけるからである。構成や表現を揃えられるのは、重要性が同じか近いパラグラフや階層である。何でもかんでも揃えればいいのではない。重要性に大きな差があるなら、揃えてはならない。

だから、重要性に大きな差があるときは、パラグラフと階層が並列することもある。たとえば、A,B,Cのトピックが並列しているとしよう。AとBは同じくらい重要だが、Cは重要性が下がるとする。この状況なら、AとBは階層構造で詳しく述べても、Cだけが簡潔にパラグラフでかまわない。無理に、Cを階層に水増ししてはならない。重要性に大きな差があるなら、パラグラフと階層が並列してもかまわない。

しかし、重要性によって説明量に差を設けることは、メンタルモデルを崩しかねない。つまり、論理性は維持できるが伝達性が下がりかねない。たとえば、先のAとBは同じくらい重要だが、Cは重要性が下がる場合で考えよう。AとBが階層で説明されているのを読めば、読み手は、並列するCも階層で説明されるはずというメンタルモデルを作る。しかし、Cだけパラグラフだ。読み手のメンタルモデルを裏切る展開になるので、一瞬困惑する。メンタルモデルが崩れれば、伝達性が下がりかねない。

このトレードオフについて、著者は、重要性によって説明量に差を設ける立場を取る。なぜなら、重要な情報をよりしっかり伝えるべきと考えるからだ。重要性によって説明量に差を設ければ、重要な情報がしっかり伝わる。重要性の低い情報が、そろっていないことで若干伝わりにくくてもかまわない。何しろ、重要性が低いのだから。著者は、重要性によって説明量に差を設けようにしている。

並列するときは、説明を揃えるが、何でも揃えればいいのではない。重要性が等しいか近い情報は揃えて説明する。しかし、重要性が低いなら、説明も少なくする。

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