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ロジックのブロック図化と正しく書けた文章の3条件(具体例2)

ロジックが正しく組めればブロック図になることを紹介した。また、正しく組めたロジックを文章化すれば、3条件が成立することも紹介した。そこで、具体例(この記事最後に掲載)を使って、ロジックがブロックになること、3条件が成立することを示そう。

ロジックが正しく組めれば、ロジックは綺麗なブロック図になる。なぜなら、ブロックが思考単位、グロックをつなぐ線が縦横の関係を示すからだ。つまり、ブロック図を組めれば、論理性の分類と接続ができている証左なのだ。詳細は、詳細は、本マガジンの「ロジックを組むとは、ブロック図を作ること」(https://note.com/logicalskill/n/n55bbee52fc4a?magazine_key=mf8caf790fa2e)を参考にしてほしい。

正しく組めたロジックを、パラグラフで文章化すれば、以下の3条件が成立する。詳細は、本マガジンの「正しく書けた文章の3条件」(https://note.com/logicalskill/n/nf76e989e5b76?magazine_key=mf8caf790fa2e)を参考にしてほしい。
1.Topic sentence だけで文章が成立する
2.Topic sentence だけでパラグラフ間の縦横関係が読み取れる
3.Topic sentence だけでそのパラグラフに何が書いてあるかは予想できる

この記事最後に示した文章は、ロジックをブロック図化すると以下のようになる。全部で6つのトピック(途中の小総論はカウント外)で構成されている。前半2つは縦につながり、小総論を挟んで、2つのトピックは横に並んでいる。さらに、その2つのトピックに、それぞれ1つのトピックが縦につながっている。

また、Topic sentence だけで文章が成立する(文章例の太字の文)ことがわかる。1パラグラフは1トピック(=思考単位)で、その思考単位が、Topic sentence に書かれているからだ。Topic sentence だけで全ての思考単位が拾える。だから、Topic sentence だけで文章としてつながるのだ。

さらに、Topic sentence だけでパラグラフ間の縦横関係が読み取れる。前半部分は、以下のように言葉でつながっている。
1.日本の財政は破綻の危機
2.破綻の危機ーーー社会保障費
3.社会保障費ーーー歳入と歳出(小総論)
4.歳入ーーー消費税
5.消費税ーーー影響は小さい
6.歳出ーーー給付を制限
7.給付を制限ーーー高齢者に負担

さらに、Topic sentence だけでそのパラグラフに何が書いてあるかは予想できる。たとえば、各論の第1パラグラフを例に取る。 Topic sentence は、「現在、日本の財政は破綻の危機に直面している」である。であるなら、このパラグラフの中には、「財政は破綻」の理由(Reason)や具体例(Example)、データ(Evidence)が述べられているに決まっている。同様に、各論の第2パラグラフを例に取る。 Topic sentence は、「財政が破綻の危機に面している原因は社会保障費だ」である。であるなら、このパラグラフの中には、「社会保障費」がいかに財政を圧迫しているかを説明(Explanation)したり、そのデータ(Evidence)が述べられたりするに決まっている。」

このように、ロジックが正しく組めればブロック図になる。正しく組めたロジックを、パラグラフで文章化すれば、以下の3条件が成立する。
1.Topic sentence だけで文章が成立する
2.Topic sentence だけでパラグラフ間の縦横関係が読み取れる
3.Topic sentence だけでそのパラグラフに何が書いてあるかは予想できる


国の借金が増え続け、財政破綻が心配されている。財政破綻を避けるには、社会保障費への対策が必要だ。財政を再建するには、消費税を増税して社会保障費に回すべきだ。また、社会保障の給付も制限すべきである。

現在、日本の財政は破綻の危機に直面している。国の借金である国債残高は、平成29年度末で、約865兆円にも昇る(図1参照)。この額は、一般会計税収の15年分にも相当する。つまり、年間所得が580万円なのに、8,650万円の借金をしている計算だ。しかも、国債残高は年間30兆円ずつ増えている。つまり、8,650万円の借金をしているのに、借金を返済するどころか、さらに年間で300万円ずつ借金を増やしているのだ。このままでは早晩破綻する。  注)全ての図はここでは省略

財政が破綻の危機に面している原因は社会保障費だ。社会保障費は、国家予算の33.3%を占め、32兆円を超えている(図2参照)。この額は、一般会計税収(図3参照)の56%に匹敵する。しかも、この社会保障費は、毎年1兆円以上増え続けている(図4参照)。税金の無駄使いとして、よくやり玉に挙げられる公共投資は6兆円程度に過ぎない。つまり、公共投資の無駄遣いを無くしても、社会保障費の負担に対しては焼け石に水だ。

膨れあがる社会保障費を捻出するには、歳入と歳出の両方で改革が必要だ。つまり、歳入を増やすために増税し、歳出を減らすために社会保障費の給付を削減するのだ。

社会保障費向けの歳入を増やすには、消費税を増税するしかない。歳入である税収は主に、所得税、法人税、消費税で構成される。このうち、所得税と法人税は、先進各国と較べても妥当なレベルだ。この所得税と法人税を大幅に挙げるわけにはいかない。一方、消費税は、先進各国の20%前後と較べてるとかなり低い。仮に、消費税率を8%から10%に上げたとすれば、25%増だから、単純計算で4兆円の税収増加が見込める(図5参照)。社会保障費がピークを迎えるであろう10-20年後までに、段階的に消費税を増税すれば、社会保障費増加分のほとんどは、消費税で捻出できるだろう。

消費税を増税すると、消費が冷え込むという恐れもあるが、影響は比較的小さく済むだろう。なぜなら、過去の消費税導入と2回の増税(3%→5%と5%→8%)で、景気が下落して所得税が減ったのは、3%から5%に増税した時だけだからだ(図6参照)。しかも、この時はバブル崩壊の後で、所得税が自然減少方向にあったのだ。現在の経済状況は、5%から8%に増税した時により近い。あるいは前回の増税時より、良い経済状況だ。消費税を増税しても影響は小さいだろう。

一方、社会保障費向けの歳出を減らすには、給付を制限するしかない。社会保障費とは主に、年金、医療、介護にかかる費用だ。いずれも高齢化社会では避けようがない。年金向けの歳出を減らすために、国民年金の納付率を上げたり、医療向けの歳出を減らすために、喫煙率を下げる取り組みをしたりはしている。しかし、全体の額から見れば焼け石に水だ。目に見える歳出削減には給付を減らすしかないだろう。一部の高齢者に対しては、最低限の文化的な生活ができる程度まで、給付を下げざるを得なくなるかも知れない。

社会保障費の給付を制限すると、高齢者に負担を強いることになるが、致し方ないだろう。確かに、現在高齢である方々が、今の豊かな日本を作ったのは疑いようがない。しかし、一方で、借金をしまくって、身の丈以上の生活をしてきたのも事実だ。日本を豊かにしたのだから、後は野となれ山となれでは、現役世代がたまったものではない。高齢者に負担を強いることで、高齢者の生活水準が下がるのは、仕方がないと言えるだろう。

豊かな日本を、次の世代に引き継ぐためにも、財政破綻はなんとしても避けなければならない。早急に消費税を増税し、社会保障の給付を制限すべきである。

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