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ChatGPTの文章を分析する(5):伝達性分析

知識人の書いた文書を元に、ChatGPTで生成させた文章を分析する。数回に分けて、この試みをやってみよう。内容は、かなり難しくなるはずだ。誰も読まないような内容になるかもしれないが、このマガジンの趣旨が「ノウハウを後世に残す」ことなので気にしない。いつか、誰かの参考になれば。

対象文章:
新聞に掲載されていた知識人の意見文を、ChatGPTで改訂させた文章である(本記事の最後に掲載)。論理も説明もかなり問題がある。「論理的に考え、説明する力が必要」と主張しているのに、本人(元記事を書いた知識人)ができていない。しかし、残念だがよくあることではある。

ポイント:
● 総論(要約)がない
● 1パラグラフ・1トピックができていない
● Topic Sentece が先頭にないパラグラフがある
● パラグラフがPREPの構成になっていない

最初に、全体を要約した総論がない。代わりに「序論」なるパラグラフがある。この「序論」では、「論理的に考え、説明する力」の必要性を比較的丁寧に説明している。しかし、「論述力を重視した指導が重要」は、主張だけ述べて論証していない。一方で、この文章後半で述べる2つの提言については何も書かれていない。つまり、この「序論」は、要約でもなければ、各論でもない。論理的な文章で、このような中途半端なパラグラフを作ってはならい。論理的な文章は、要約から始めるのだ。

1つのパラグラフで、トピックが複数書いてある。たとえば、「序」では、
「論理的に考え、説明する力が必要」と「論述力を重視した指導が重要」とう、2つのトピックが述べられている。しかし、この2つのトピックは、それぞれパラグラフを使って論証が必要だ。また、「提言2」では、「算数の文章問題の表現を、より論理的で明確に」と、「算数問題には改善が必要な点が多く見受けられます」と、2つのトピックが述べられている。これもそれぞれパラグラフを使って論証が必要だ。論証が必要な複数のトピックが1つのパラグラフで述べられている。

パラグラフが、Topic Sentece で始まっていない、あるいは Topic Sentece が書かれていない。たとえば、「論述力の重要性」のパラグラフで言いたいのは、「論述力を向上させる教育の必要性が明らかになっています」だろう。しかし、この文は、パラグラフの最後にある。さらに、「食塩水の濃度」をテーマにしたパラグラフは、Topic Sentece がそもそもない。一部のパラグラフで、先頭に Topic Sentece が書かれていない。

パラグラフが PREP で論証できていない。「論述力の重要性」では、なぜ論述力を向上させる教育が必要かを、Reason や Example、Evicence で論じなければならない。「文部科学省が発表した学力調査結果」を抽象的に述べたのでは不十分だ。不十分な論証だから、このパラグラフが2文終わっている。同様に、「提言2」では、「算数の文章問題の表現を、より論理的で明確に」を論証していない。なぜ、算数の文章問題の表現を改善すると論述力が向上するのか?ReasonやExampleが必要だ。多くのトピックで、論証が不十分である。


ChatGPTが生成した文章:

子供の学力向上には論述力重視の指導が必要

序論

現代のグローバル化社会において、異なる国や立場の人々がそれぞれの政治体制や文化、風習の違いを認識しつつ、共通の認識を持つための努力が求められています。このような社会では、狭い社会で通用する暗黙のルールに頼るのではなく、論理的に考え、説明する力が必要とされています。したがって、子供たちの学力向上のためには、論述力を重視した指導が重要です。

本論

論述力の重要性

文部科学省が発表した学力調査結果によれば、子供たちの学力において特に問題とされているのは計算力や暗記力ではなく、論理的に考え、説明する力です。この結果から、論述力を向上させる教育の必要性が明らかになっています。

提言1:感想文と論述文の分離教育

第一の提言として、情緒的な感想文と論述的な説明文の教育を分けることが必要です。これまでは「作文指導」として一括りにされてきましたが、両者は別々に訓練することで、それぞれの力を伸ばすことができます。例えば、昨年の千葉県立高校入試の国語で出題された道案内の論述問題では、受験生の半数が0点という結果が出ました。これは、教育現場に衝撃を与え、論理的な説明文指導の重要性を再認識させました。

提言2:算数の文章問題の改善

第二の提言として、小学生の論述力向上に役立つ算数の文章問題の表現を、より論理的で明確にすることが求められます。現在、私立中学入試の算数問題には改善が必要な点が多く見受けられます。例えば、「船がA地点から24キロ上流のB地点に向かうのに6時間かかり、反対に下るのに3時間かかった」という設問では、「静水での速さ」を求めるべきところを、受験者が「往復の平均速度」を計算してしまうことがあります。このように、設問の条件が曖昧では正確な答えを導くことが難しくなります。

さらに、食塩水の濃度に関する問題では、実際には100℃で最大28.2%であるにもかかわらず、入試算数の問題や正解には計算の都合で30%や40%が登場することがあります。事実を知っている子供たちにとって、28.2%を超える数値を用いることに戸惑いが生じるのは避けられません。

結論

以上のように、論述力を重視した教育の必要性は明白です。感想文と論述文を分けて教育すること、そして算数の文章問題の表現をより論理的で明確にすることが、子供たちの学力向上に大きく貢献するでしょう。これらの取り組みを通じて、子供たちが論理的思考力を身につけ、グローバルな社会で活躍できるようになることを確信しています。

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