見出し画像

ChatGPTの文章を分析する(2):書き直し

知識人の書いた文書を元に、ChatGPTで生成させた文章を分析する。数回に分けて、この試みをやってみよう。内容は、かなり難しくなるはずだ。誰も読まないような内容になるかもしれないが、このマガジンの趣旨が「ノウハウを後世に残す」ことなので気にしない。いつか、誰かの参考になれば。

対象文章:
食品ロスに関して論じた社説を、ChatGPTで改訂させた文章である。6つのパラグラフで構成されている。第1パラグラフは要約、第2-5パラグラフが各論、第6パラグラフがまとめである。(本記事の最後に掲載)

書き直しのポイント:
● 全体は、総論(要約)-各論-結論(まとめ)で構成する
● 各論は、Topic Sentence だけで読んで分かるように構成する
● 各論の Topic Sentence は、既知から未知につなぐ
● 各パラグラフはPREPで、4-8文にまとめる
● 論理性を保つために、食品ロス問題を経済性だけではなく、「もったいない」という価値観に関係づける

文章全体は、総論(要約)-各論-結論(まとめ)で構成する。書き直した文章では、第1パラグラフが総論で、第2-8パラグラフが各論、第9パラグラフが結論だ。最初と最後で、言いたいことを強調する。だから、総論と結論で内容をかぶらせる。オリジナルのように、総論と結論が不一致を起こしてはならない。

各論は、7パラグラフ(=7トピック)ぐらいまでで構成する。論理構成単位とレイアウト上の固まりが対応していることが大事だ。論理構成単位も人間の把握しきれる7ぐらいまでにする。7つぐらいまでの論理構成単位が、はっきり視覚的に見えるので、論理構成も把握しやすくなる。オリジナルのように、1つのパラグラフに複数のトピックを押し込んではならない。

各論のパラグラフでは、そのパラグラフのトピックを1文目(トピックセンテンス)で述べる。このとき、 Topic Sentence は、論理構成が正しく伝わる範囲で短く具体的に述べる。短く述べるから、そのパラグラフのトピックが頭にすっと入る。具体的に述べるから、そのパラグラフのトピック、ひいては全体のロジックが理解できる。オリジナルのように、「企業側の取り組みについてです」と抽象的に述べたので、 Topic Sentence にならない。

また、各 Topic Sentence だけ読んで、論理構成が分かるように書く。つまり、 Topic Sentence だけで文章として成立するように書く。1パラグラフ・1トピックで、トピックが1文目の Topic Sentence で正しくまとめられていれば、 Topic Sentence だけで、すべての論理構成単位が拾える。だから Topic Sentence だけ読んで文章として成立する。

さらに、各 Topic Sentence だけで既知から未知に流れなければならない。各 Topic Sentence だけで文章として成立するなら、各 Topic Sentence どうしは既知から未知につながっているはずだ。もし、既知から未知につながっていないなら、情報の非対称性に騙されているのだ。つまり、書き手だけが、「文章として成立する」と思っているのだ。 Topic Sentence がつながっているかは、内容ではなく言葉で確認する。

各論のパラグラフは、4-8文を目安にPREPで書く。パラグラフで述べたトピックに納得感を持ってもらうには、理由や、具体例、詳細説明がいる。1,2文では説得できない。たとえば、『「もったいない」という日本人の美徳』について述べたら、日本人がいかに「もったいない」という気持ちを大切にしているかを具体例などで示すのだ。また、対策を述べたら、その対策を詳しく具体的に説明するのだ。オリジナルの文章のように、「少なくとも手つかずで捨てる食品を減らすような消費行動を、一人一人が心がけたい。」の1文で終わってはいけない。

情報量とトピックの重要性とのバランスも考慮する。重要なトピックはより詳しく、重要性の低いトピックは説明が少なくても良い。たとえば、日本人の美徳と経済的なロスでは、前者を重要としているので説明量に差がある。これはあくまで目安に過ぎない。しかし、重要性を無視した、極端な情報量の差は、論理性を疑われかねない。

他にもいろいろなことに注意しながら書くのだが、今回はここまで。


書き直し例

本来食べられる商品が廃棄される「食品ロス」は、日本人の美徳に反するし、経済的・社会的損失ともなる。無駄の削減には、消費者の「もったいない」という意識と、食品製造業・小売店の商習慣の改革が必要だ。

家庭や食品製造業・小売店、飲食店での「食品ロス」が問題視されている。食べ忘れ、売れ残り、返品、食べ残しなどによって、多くの食品が破棄されている。国内の食品ロスは、年間約472万トンと推計される(2022年度の 農林水産省の調べ)。毎日1人あたり茶わん1杯分の食品が捨てられている計算だ。

食品ロスは、「もったいない」という日本人の美徳に反する。日本人は昔から、食べ物に対する感謝の意から、無駄にすることを「もったいない」と嫌ってきた。この感謝は、命を捧げてくれた動植物に対してはもちろん、料理になるまでに関わったすべての人の労働に対してだ。いくら裕福だからといって、食べ物を粗末に扱うのは、下品な行為と感じる人は多いはずだ。

また、食品ロスは、経済的・社会的な損失でもある。無駄な廃棄はコストを上昇させるので、企業の経営を圧迫する。あるいは小売価格の上昇を招く。無駄な食品加工、輸送、販売でエネルギーの浪費(=二酸化炭素の排出)にもつながってしまう。2022年度の食品ロス(472万トン)による経済損失の合計は4.0兆円、 温室効果ガス排出量の合計は1,046万トンと試算されている(経済産業省のHPより)。

食品ロスの最大の要因は、消費者の食べ残しや食べ忘れだ。家庭内での食べ残しや食べ忘れによる廃棄だけでも、食品ロス全体の48%にもなる。おいしく食べられる期間の賞味期限を、安全に食べられる期間の消費期限と混同しての廃棄も多い。さらに飲食店での食品ロス(全体の20%)の多くは、消費者の食べ残しだ。宴会での食べ残しは、よく見る光景となってしまった。

次に大きな要因となるのが、食品製造業・小売店での「3分の1ルール」による返品や廃棄だ。「3分の1ルール」とは、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、食品製造会社や卸売業者は小売店に納品できないという、加工食品での商習慣だ。まだ食べられる商品が、廃棄を余儀なくされる。売り場でも、賞味期限まで一定期間を切った商品は撤去される。

そこで、消費者による食品ロスを減らすために、「もったいない」という美徳をもっと高めるべきだ。たとえば、公共広告機構のCMやSNSを使うのも一つだ。一粒も残さずに食べきったご飯茶碗や、骨だけ残してきれいに食べた魚などを放映するだけでも効果は高いだろう。こういった食べ方を見て「意地汚い」と思ったりはしない。むしろ「自分もそうありたい」と思う人が多いはずだ。

また、食品製造業・小売店でによる食品ロスを減らすために、業界に残る「3分の1ルール」を見直すべきだ。ここ数年、一部の大手小売りチェーンなどでは、3分の1ルールの見直しが始まっている。保存性の高い菓子や飲料について、納品期限を「賞味期限までの期間の2分の1」に延ばすものだ。農林水産、経済産業両省も昨年5月、海外に比べても厳しい3分の1ルールの緩和を業界に要請した。対象品目の拡大を含めて取り組みを加速してほしい。

手つかずで捨てる食品を減らすよう、消費者と食品製造業・小売店の両方で努力したい。豊かになっても、「もったいない」という美徳は捨てたくはない。


ChatGPTが生成した文章:

食品ロス問題の現状と対策

食品ロスは、食べられる食品が廃棄されることによる社会的、経済的損失をもたらします。日本では、年間約620万トンの食品が捨てられており、これは国全体で無駄を減らすために企業と消費者の両方の意識改革が必要です。

まず、食品ロスの大きな原因の一つに「3分の1ルール」があります。このルールでは、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、メーカーや卸売業者は小売店に商品を納品できないという規制があり、まだ食べられる商品が廃棄される結果となります。小売業者は消費者の「鮮度志向」を理由に挙げますが、実際には賞味期限は食品が美味しく食べられる期間を示しているだけであり、消費期限とは異なることを理解することが重要です。

次に、企業側の取り組みについてです。近年、一部の大手小売チェーンでは「3分の1ルール」の見直しが始まっており、保存性の高い食品については納品期限を「賞味期限までの期間の2分の1」に延ばす動きが見られます。これにより、卸からメーカーへの返品や廃棄が減少する効果が報告されています。農林水産省と経済産業省も、海外に比べ厳しいこのルールの緩和を業界に要請していますが、まだ全体には浸透しておらず、対象品目の拡大を含めたさらなる取り組みが必要です。

メーカー側にも努力が求められます。需給を見極めた的確な生産計画や、容器の高機能化による賞味期限の延長が課題となっています。また、賞味期限の表示を日付単位から「年月」に切り替える動きも見られ、これにより消費者と業界の意識改革が進むことが期待されます。

さらに、外食産業における食品ロスも問題です。各地の自治体では「宴会の最初の30分、最後の10分は着席して食べよう」という呼びかけが始まっており、これがゴミ量削減に効果を上げています。食品ロスの約半分は家庭から出ているため、消費者一人一人が無駄を減らす行動を心がけることが求められます。

食品ロス問題を解決するためには、企業、政府、消費者の全てが協力し、具体的な行動を取ることが必要です。消費者は計画的な買い物や適切な保存方法を学び、企業は生産と流通の効率化を進める必要があります。政府は法整備や啓発活動を通じて、全体の取り組みを支援するべきです。食品を無駄にせず、大切にすることが、持続可能な未来を築く鍵となるのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?