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FAQ:なぜ、日本の学校教育で論理的な書き方を指導しないのか?

理由は2つ。1つ目は、日本では言葉での説明を欧米ほどは重視しないからだ。2つ目は、学校の指導者が、正しい書き方を知らないし、正しい書き方で書けないからだ。

欧米なら、パラグラフライティングに基づく論理的な書き方は、学校教育でかなりしっかり学ぶ。パラグラフという概念は、小学校で学ぶ(下記が小学校2年生向けのテキスト)。さらに、大学では、レポートや論文の書き方を、1年かけて学ぶ。それも、学部や大学院それぞれで。このあたりのカリキュラムについては、「コミュニケーション技術」(篠田義明、中公新書)に詳しく書かれている。このように欧米なら、論理的な文章の書き方を学校教育で子どもの頃から学ぶ。

一方、日本では、論理的な書き方を学校教育で学ぶことはほぼない。中学高校はもちろん、大学でも、レポート・論文の書き方のような授業はほぼない。レポート・論文を書かせるにもかかわらず。私個人の経験で言えば、学部教育を1校4年、修士教育を2校4年受けたが、一度もレポート・論文の書き方のような授業を受けたことはない。また、これまで、学校教育の中で、論理的な文章の書き方を半年以上にわたって教わったことがある人には一人も出会ったことはない。日本の学校教育では、論理的な文章の書き方を指導していないのだ。

論理的な書き方を学校教育で指導しない理由の1つが、言葉での説明を重視しないからだ。日本は、実質的な単一民族なので、文化の共有性が高い。その結果、言葉以外の表情の変化や声のトーン、体の動きなどの行間を読むことが求められる。「丁寧に説明しなくても分かってもらえる」という文化だ。ライティングなど、勉強しなくても、自然とできるようになると考えている人が多い。日本は、言葉での説明を重視しないので、教育も不十分となる。

論理的な書き方を学校教育で指導しないもう1つ理由が、学校の指導者が、指導できないからだ。言葉での説明を重視しないので、学校の指導者もライティングを学習してきていない。その結果、論理的で分かりやすい書き方を知らない。もちろん習得しているはずもない。当然、指導できるはずもない。学校の指導者に、ライティングを指導できるスキルがない。

実は、学校の指導者は、論理的な書き方を普及させるに当たっての、最大の抵抗勢力である。学校の指導者は内心、正しいライティングが普及することを恐れている。なぜなら、自分自身が正しい書き方をしてこなかったからだ。学生に、「なぜ、先生の文章は、学習したように書かれていないのですか?」と問われたら、返す言葉がない。その結果、正しいライティングが普及することに反対する抵抗勢力となる。

日本で論理的な書き方の指導がされていないのは、以下2つの理由による
● 日本では言葉での説明を欧米ほどは重視しない
● 学校の指導者が、正しい書き方をしどうできない


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