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ChatGPTの文章を分析する(4):書き直し

知識人の書いた文書を元に、ChatGPTで生成させた文章を分析する。数回に分けて、この試みをやってみよう。内容は、かなり難しくなるはずだ。誰も読まないような内容になるかもしれないが、このマガジンの趣旨が「ノウハウを後世に残す」ことなので気にしない。いつか、誰かの参考になれば。

対象文章:
食品ロスに関して論じた社説を、ChatGPTで改訂させた文章である。6つのパラグラフで構成されている。第1パラグラフは要約、第2-5パラグラフが各論、第6パラグラフがまとめである。(本記事の最後に掲載)

書き直した文章:
今回は、筆者による書き直しではなく、chatGPTにプロンプトで指示を繰り返しながら書き直しさせた(本記事の後半に掲載)。完璧ではないが、このくらいの文章が書ける人間は、日本にはほぼない(残念!)。

ポイント:
● 全体は、要約(総論)-各論-結論で構成されている(Good)
● 1パラグラフ・1トピックがおおむねできている(Good)
● 各パラグラフは、おおむねPREPの形になっている(Good)
● 要約と結論が一致しない(Bad)
● 1パラグラフ・1トピックが守れていないパラグラフがある(Bad)
● パラグラフの論証が甘い(Bad)

最初と最後で、大事な情報を繰り返している(総論と結論)。要約(総論)-各論-結論の構成ができている。論理的な文章は、まず、何が大事かを述べ、次に、大事なことを詳しく説明し、最後に、何が大事かを念押しするのだ。書き手は、何が大事かを知っているので、総論と結論の両方を書く必要性を感じない。この情報の非対称性に騙されてはならない。結論は念押しだから、省略されることも多い。だが、基本は、最初と最後で大事な情報を繰り返す。

1パラグラフ・1トピックがほぼ守られている。元の文章は、たとえば、「問題」という抽象的なトピックで、労働力の減少、社会保障制度への負担増大、地域社会の過疎化と、あれこれ述べていた。しかし、書き直し例では、問題を高齢化(社会保障制度への負担増大)に絞っている。同様に、原因2つを2つのパラグラフで、対策2つを2つのパラグラフで述べている。1パラグラフ・1トピックとなった。

各パラグラフは、PREPの形でトピックが論証されている。各パラグラフが1トピックになったので、PREPで論証できるようになった。たとえば、「問題1 - 高齢化」のパラグラフでは、なぜ高齢化が生じるかの reason を述べ、その高齢化がなぜ問題なのかの reason や explanation を述べている。その結果として、各パラグラフが4-8文になった。PREPでの論証ができている。

一方、問題点として、要約と結論が一致していないことが挙げられる。要約では、「問題を特定し、根本原因を理解し、効果的な対策を提案することが、この重大な課題に対処するのに役立つ」と抽象的に述べている。しかし、結論では「経済的、社会的に多くの原因があり、高齢化などの重大な問題につながっている」とより具体的に述べている。また、結論で「スウェーデンやドイツなどの成功例から学ぶことで」と述べているが、要約では述べていない。重要な情報は、要約と結論で同じはずだ。同じことを述べるのだ。

また、複数のトピックをのべているパラグラフがあることも問題だ。たとえば、「現在の状況」では、少子化が進行している現状に加えて、その問題まで述べてしまった。その結果、すぐ下の「問題」のパラグラフと内容が重複している。さらに、「高齢化」という問題以外に、各論では述べていない「労働力不足の可能性」まで述べてしまった。「現在の状況」では、いかに少子化が進行しているか、その結果として人口比率がどう変わるかだけ述べれば良い。どのような問題を生むのかは別トピックだ。複数のトピックを1つのパラグラフで述べてはならない。

各論のパラグラフは、PREPにはなっているが、論証が不十分である。特にデータ(Evidence)が足りない。少子化によって高齢化、社会保障費の負担増加が問題なら、具体的にどのくらい負担が増えるかの推定がほしい。原因に経済的要因を挙げるなら、経済的要因で子どもを持つことをためらっている人がどのくらいいるのかのデータがほしい。同様に、ライフスタイルを原因に挙げるなら、子どもを持つことより、今のライフスタイルを守ることに固執する人がどれほどいるのかのデータがほしい。論証するときに、R(Reason)だけでは人は説得できない。E(Evidence, Example)がなければ論証は不十分になる。


書き直し例(chatGPTによる):

要約:少子化は、多数の原因と結果を伴う喫緊のグローバルな問題である。現状を包括的に検証し、その結果生じる問題を特定し、根本原因を理解し、効果的な対策を提案することが、この重大な課題に対処するのに役立つ。経済政策や家族支援政策を実施することで、出生率の上昇を促し、人口減少がもたらす課題を軽減する環境を整えることができます。

現在の状況:世界は少子化を経験しており、世界中の国々が過去数十年と比較して低い出生率を観測しています。世界銀行によると、世界の出生率は1960年の女性1人当たり4.98人から2021年には約2.4人に減少しています。この現象は、日本やイタリアなど一部の国で顕著であり、出生率は女性一人当たり2.1人という代替水準を下回っている。少子化がもたらす長期的な影響としては、人口の高齢化、労働力不足の可能性、社会が成長を維持し国民に十分な支援を提供するために苦労する社会経済的な悪影響が挙げられます。

問題1 - 高齢化: 少子化がもたらす重大な問題の一つは、高齢化であり、労働力の減少や社会福祉制度への負担増につながる。高齢者の割合が増えれば増えるほど、医療費は増大し、高齢化社会に対応するための行政の負担は重くなる。さらに、経済に貢献できる労働者が減少し、経済成長の低下や社会の人口構造の不均衡につながる可能性があります。この問題は、高齢者をサポートする責任がより少ない生産年齢層に及ぶため、世代間の緊張を引き起こす可能性があります。

原因1「経済的要因」: 少子化の主な原因の一つは、物価の高騰や雇用の不安定さなど、経済的な要因である。特に若者は経済的に不安定なため、家庭を築き、子供を養うことが困難な状況にあります。住宅や教育費の高騰に加え、賃金の伸び悩みも、家庭を築き、次世代を育む上での障壁となっています。その結果、多くの若い夫婦が家庭を持つことを遅らせたり、少人数の家庭を選んだりして、少子化に拍車をかけている。

原因2「社会的要因」: 男女間の不平等や家庭生活に対する考え方の変化など、社会的な要因も少子化に拍車をかけています。多くの女性がキャリアを優先し、家庭を持つことを遅らせる一方、社会の期待や不十分なサポート体制により、仕事と家庭の両立に支障をきたしている。さらに、個人主義や自己実現への欲求を求める文化的なシフトが、家族計画の遅れや減少に寄与している可能性もあります。このような社会の変化は、伝統的な家族構成が再評価され、現代のライフスタイルに適応していく中で、出生率に大きな影響を与える。

対策1 - 経済政策: 政府は、少子化の原因となる経済的な障壁に対処するため、経済政策を実施することができます。例えば、スウェーデンでは、若者の失業に対処するため、政府は手頃な価格の住宅を提供し、最低賃金を引き上げ、職業訓練プログラムに投資してきた。これらの施策と、手厚い育児休暇や児童手当が相まって、同国の出生率の上昇に寄与している。この例は、うまく設計された経済政策が、家族を持つことに関連する経済的ストレスを軽減することによって、出生率にプラスの影響を与えることを実証しています。

対策2-家族支援政策: 少子化の社会的要因に対処するため、政府は家族に優しい政策を推進する必要があります。ドイツでは、仕事と家庭の両立を支援するため、エルテルンゲルト(親手当)や保育料補助などの施策を導入しています。これらの施策により、親、特に女性がキャリアを維持しながら子育てをすることができ、結果として出生率が緩やかに上昇した。このようなアプローチは、家族支援政策が出生率の上昇を促進し、よりバランスのとれたワークライフカルチャーを提供し、最終的にはより持続可能な人口バランスに貢献する可能性を示している。

結論:少子化は、経済的、社会的に多くの原因があり、高齢化などの重大な問題につながっている。経済的・社会的要因の双方に対応した的を射た政策を実施することで、政府は出生率の上昇を促し、人口減少がもたらす課題に対処する環境を整えることができる。スウェーデンやドイツなどの成功例から学ぶことで、各国は家族を支援する政策を適応し、発展させることができます。


ChatGPTが生成した文章:

少子化問題の現状と対策

少子化問題は、現代日本における深刻な社会問題となっています。日本の出生率は長年にわたり低下傾向にあり、2023年には合計特殊出生率が1.3を下回ると報告されています。これにより、総人口の減少が進み、将来的には労働力不足や社会保障制度の維持が困難になることが懸念されています。

少子化の問題点としては、まず第一に労働力の減少が挙げられます。若年層の人口が減少することで、労働力人口が減少し、経済成長の鈍化が避けられません。また、高齢化の進行により、医療や介護の需要が増加する一方で、これを支える現役世代が減少するため、社会保障制度への負担が増大します。さらに、地域社会の過疎化が進み、地方経済の衰退も深刻な問題となります。

少子化の原因は多岐にわたります。まず、結婚や出産に対する経済的な負担が大きいことが挙げられます。若者の収入が不安定であり、住宅費や教育費などの高騰が結婚や出産のハードルを高めています。また、仕事と育児の両立が困難であることも大きな要因です。長時間労働や育児休業の取得が難しい職場環境が、子育てに対する不安を増大させています。さらに、ライフスタイルの多様化や価値観の変化も影響しています。若者の中には、結婚や出産よりも自己実現やキャリアを優先する人も多くなっています。

少子化対策としては、まず経済的支援の強化が必要です。具体的には、児童手当の増額や出産費用の助成、教育費の無償化などが考えられます。また、仕事と育児の両立支援も重要です。育児休業の取得促進や保育所の整備、柔軟な働き方の導入などにより、子育てしやすい環境を整備することが求められます。さらに、若者の結婚・出産への意識改革も必要です。結婚や出産の重要性を啓発するキャンペーンや、結婚支援サービスの充実などが有効です。

最後に、地域社会全体での取り組みが重要です。地方自治体や企業、地域コミュニティが連携し、子育て支援のネットワークを構築することで、安心して子育てできる環境を作ることが求められます。少子化問題は一朝一夕に解決するものではありませんが、持続的な努力と協力が不可欠です。私たち全員がこの問題の重要性を認識し、具体的な行動を起こすことで、未来の社会を支える子どもたちを育てることができるでしょう。

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