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ChatGPTの文章を分析する(1):伝達性分析

知識人の書いた文書を元に、ChatGPTで生成させた文章を分析する。数回に分けて、この試みをやってみよう。内容は、かなり難しくなるので、誰も読まないかもしれない。しかし、このマガジンの趣旨が「ノウハウを後世に残す」ことなので気にしない。いつか、誰かの参考になれば。

対象文章:
ある企業の環境への取り組みを述べた文章を、ChatGPTで改訂させた文章である。4つのパラグラフで構成されている。(本記事の最後に掲載)

ポイント:
● 要約と結論が抽象的すぎる。
● 第2,3パラグラフがPREPになっていない、あるいは不十分だ。
● 代名詞も何を指しているのか分からない。

第1パラグラフが、要約として抽象的すぎる。この要約では、この文章を読む価値があるかどうかの判断はできない。また、各論の構成を予測できないので、メンタルモデルも作れない。要約は、キーワードを使って具体的に書く。したがって、「環境保護行動指針」や「ISO14001の認証」というキーワードを使って説明すべきだ。第1パラグラフが、要約としては抽象的すぎるので、役に立たない。

第2パラグラフがPREPになっていない。一文目で「まず、当社では全社環境委員会のもとに「環境保護行動指針」を制定しました」とPを述べている。となれば、このパラグラフで述べることは、指針制定の理由(R)、指針の具体例(E)、指針の詳細説明(E)だ。具体的な環境活動は、別トピックになってしまう。ただし、Topic Sentence を、「当社では、新たに制定した「環境保護行動指針」に基づいて、環境活動に取り組んでいる」とすれば、具体的な環境活動を述べられる。しかし、その場合でも、指針と活動をリンクさせながらの説明が必要だ。このパラグラフはPREPになっていない。

第3パラグラフは、トピックが曖昧だ。Topic Sentence で「当社の工場ではISO14001の認証を取得し、省エネルギーや廃棄物削減、再利用率の向上に努めています」と述べている。「ISO14001の認証取得」と「省エネルギーや廃棄物削減、再利用率の向上」が「し、」でつながっている。どちらが中心か曖昧だ。それとも、この2つは等位接続か?だったら、トピックが2つになる。正しくは、「当社の工場では、省エネルギーや廃棄物削減、再利用率の向上に努めた結果、ISO14001の認証を取得しています」か?第3パラグラフは、何に焦点を置いたのか分からない。

第3パラグラフは、トピックが曖昧なので、PREPもいい加減だ。Topic Sentence で「ISO14001の認証取得」と「省エネルギーや廃棄物削減、再利用率の向上」と2つ述べたので、それぞれのREが不十分になっている。その不十分さは、文の数でも分かる。このパラグラフは3文だ。もっと詳しく具体的な説明が必要だ。たとえば、「なぜ、ISO14001の認証取得が必要か」「認証取得のために何をしたのか」などだ。書いてあるようにも読めるが、曖昧で説明量も少ない。第3パラグラフも、PREPがいい加減だ。

多用されている代名詞、特に下記2つが何を指しているのかわからない。
● 第1パラグラフ1文目の「その包容力」の「その」(前で「地球資源」と書いているので、「地球資源」の「地球」だけを指せはしない)
● 第3パラグラフ3文目の「これにより、環境負荷をできるだけ少なくし」の「これ」(「ISO14001」「ISO14001認証取得」か?だとしたら、日本語がおかしい。「環境負荷をできるだけ少なく」するのは環境活動だ)

第4パラグラフがまとめになっていない。美辞麗句が書かれているだけで、各論の内容が何も反映されていない。要約と同様、「環境保護行動指針」や「ISO14001の認証」というキーワードを使って説明すべきだ。「一人ひとりが環境意識を高め、具体的な行動を取ることが重要」のような、各論に述べていないことを、おまけのように加えてはならない。結論(まとめ)は、述べたことをまとめるのだ。


ChatGPTが生成した文章:

環境問題への取り組み

企業活動を通じて社会に貢献するためには、地球資源の恩恵を受け、その包容力に支えられていることを認識する必要があります。しかし、地球の資源は有限であり、その偉大な力も人類の進歩を支え続けることが難しくなっています。私たちの企業では、「いのちの輝きを大切にする」をモットーに、かけがえのない地球を守るため、環境対策のさらなる向上に努めています。

まず、当社では全社環境委員会のもとに「環境保護行動指針」を制定しました。この指針に基づき、再生紙の活用や近隣の美化運動などの地道な取り組みを行っています。これに加えて、処分しやすい商品の開発や、研究開発・生産・流通の各分野で環境保護活動を展開しています。これらの取り組みは、企業としての社会的責任を果たすだけでなく、持続可能な社会の実現にも貢献しています。

さらに、当社の工場ではISO14001の認証を取得し、省エネルギーや廃棄物削減、再利用率の向上に努めています。ISO14001は、環境マネジメントシステムの国際規格であり、これを取得することで、当社の環境保護活動が国際的な基準に適合していることが証明されます。これにより、環境負荷をできるだけ少なくし、持続可能な生産体制を構築しています。

これらの取り組みを通じて、当社は地球環境への負荷を軽減し、持続可能な未来を築くために努力しています。企業としての責任を果たすことはもちろんのこと、次世代に豊かな地球を引き継ぐために、一人ひとりが環境意識を高め、具体的な行動を取ることが重要です。私たちは、環境保護を企業活動の一環として捉え、今後もさらなる改善を追求していきます。


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