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ChatGPTの文章を分析する(4):伝達性分析

知識人の書いた文書を元に、ChatGPTで生成させた文章を分析する。数回に分けて、この試みをやってみよう。内容は、かなり難しくなるはずだ。誰も読まないような内容になるかもしれないが、このマガジンの趣旨が「ノウハウを後世に残す」ことなので気にしない。いつか、誰かの参考になれば。

対象文章:
食品ロスに関して論じた社説を、ChatGPTで改訂させた文章である。6つのパラグラフで構成されている。第1パラグラフは要約、第2-5パラグラフが各論、第6パラグラフがまとめである。(本記事の最後に掲載)

ポイント:
● 総論(要約)がない
● 1パラグラフ・1トピックができていない
● パラグラフがPREPの構成になっていない
● Topic Sentece がないパラグラフがある
● 既知から未知が守られていない

最初に、要約にあたる総論がない。いきなり各論から書き始めている。だから、書き手がこの文章で何を論じ何を伝えたいのかが、各論の最後でやっとわかる。一方で書き手は、この文章で何を論じ何を伝えたいのかは最初から知っている。この情報の非対称性に騙されて、書き手は最初に総論を書く必要性を感じないのだ。最初に総論を述べないのは、素人の文章だ。

1つのパラグラフで、複数のトピックを述べている。たとえば、第1パラグラフでは、出生率の低下とその問題の2つが述べられている。第2パラグラフでは、問題が3つ、第3パラグラフでは原因が3つ、第4パラグラフでは対策が3つ述べられている。全て個別のパラグラフにすべきだ。「問題」という抽象的な括りで、複数のトピックを述べてはならない(理由は下記のパラグラフ)。同じ種類というだけで、複数のトピックを1つのパラグラフに詰め込んではならない。

1つのパラグラフで複数のトピックを述べたので、パラグラフがPREPになっていない。たとえば、第2パラグラフで「少子化の問題点としては、まず第一に労働力の減少が挙げられます」と述べたら、労働力の減少を Evidence で論証しなければならない。なぜなら、労働力がどのくらい減るのかが分からなければ、問題かどうかも判断できないからだ。しかし、労働力が減少することを何ら論証してはいない。論証せずに、「社会保障制度への負担が増大」という別のトピックに移っている。この文章では、何一つPREPで論証できていない。複数のトピックを述べれば、それぞれをPREPで論証できなくなる。

第2,4パラグラフで Topic Sentece がない。第2パラグラフでは、労働力の減少、社会保障制度への負担、地方経済という3つの問題が述べられている。しかし、3つの問題を総括した Topic Sentece は先頭には書かれていない。同様に、第4パラグラフでは、経済的支援の強化、仕事と育児の両立支援、結婚・出産への意識改革という3つの対策が述べられている。しかし、3つの対策を総括した Topic Sentece は先頭には書かれていない。

未知な単語が文頭になるので、分かりにくくなっている部分がある。たとえば、第2パラグラフの「また、高齢化の進行により、医療や介護の需要が増加する一方で、これを支える現役世代が減少するため、社会保障制度への負担が増大します」である。高齢化の進行は、少子化とは直接関係がない。文末の「支える現役世代が減少」でやっと、高齢化と少子化が結びつく。ここは、「労働力の現役世代が減る一方、高齢化の進行で医療や介護の需要が増加するので、社会保障制度への負担が増大します」のような流れを作るべきだ。未知な単語で文を始めてはならない。


ChatGPTが生成した文章:

少子化問題の現状と対策

少子化問題は、現代日本における深刻な社会問題となっています。日本の出生率は長年にわたり低下傾向にあり、2023年には合計特殊出生率が1.3を下回ると報告されています。これにより、総人口の減少が進み、将来的には労働力不足や社会保障制度の維持が困難になることが懸念されています。

少子化の問題点としては、まず第一に労働力の減少が挙げられます。若年層の人口が減少することで、労働力人口が減少し、経済成長の鈍化が避けられません。また、高齢化の進行により、医療や介護の需要が増加する一方で、これを支える現役世代が減少するため、社会保障制度への負担が増大します。さらに、地域社会の過疎化が進み、地方経済の衰退も深刻な問題となります。

少子化の原因は多岐にわたります。まず、結婚や出産に対する経済的な負担が大きいことが挙げられます。若者の収入が不安定であり、住宅費や教育費などの高騰が結婚や出産のハードルを高めています。また、仕事と育児の両立が困難であることも大きな要因です。長時間労働や育児休業の取得が難しい職場環境が、子育てに対する不安を増大させています。さらに、ライフスタイルの多様化や価値観の変化も影響しています。若者の中には、結婚や出産よりも自己実現やキャリアを優先する人も多くなっています。

少子化対策としては、まず経済的支援の強化が必要です。具体的には、児童手当の増額や出産費用の助成、教育費の無償化などが考えられます。また、仕事と育児の両立支援も重要です。育児休業の取得促進や保育所の整備、柔軟な働き方の導入などにより、子育てしやすい環境を整備することが求められます。さらに、若者の結婚・出産への意識改革も必要です。結婚や出産の重要性を啓発するキャンペーンや、結婚支援サービスの充実などが有効です。

最後に、地域社会全体での取り組みが重要です。地方自治体や企業、地域コミュニティが連携し、子育て支援のネットワークを構築することで、安心して子育てできる環境を作ることが求められます。少子化問題は一朝一夕に解決するものではありませんが、持続的な努力と協力が不可欠です。私たち全員がこの問題の重要性を認識し、具体的な行動を起こすことで、未来の社会を支える子どもたちを育てることができるでしょう。

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