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ChatGPTの文章を分析する(2):論理性分析

知識人の書いた文書を元に、ChatGPTで生成させた文章を分析する。数回に分けて、この試みをやってみよう。内容は、かなり難しくなるはずだ。誰も読まないような内容になるかもしれないが、このマガジンの趣旨が「ノウハウを後世に残す」ことなので気にしない。いつか、誰かの参考になれば。

対象文章:
食品ロスに関して論じた社説を、ChatGPTで改訂させた文章である。6つのパラグラフで構成されている。第1パラグラフは要約、第2-5パラグラフが各論、第6パラグラフがまとめである。(本記事の最後に掲載)

ポイント:
ほぼ支離滅裂だ。
● 要約で食品ロスは、「社会的、経済的損失」と述べているのに、その損失を述べていない
● 要約とまとめで「消費者」と述べているのに、「消費者」についての言及がほぼない
● まとめで「企業、政府、消費者」と言っているのに、「政府」についての言及がほぼない
● パラグラフで、意見に対する論証が甘い
● 対策が対策に、問題が問題になっていない

食品ロスは、どのような「社会的、経済的損失」をもたらす(第1パラグラフで言及)のか述べていない。食品ロスの何が問題かが分からなければ、対策を論じる意味がない。そもそも、社会的損失とは何かがわからない。経済的損失は、ある程度意味が分かるが、その深刻性が分からない。わずかな損失なら対策を講じる必要性はない。まして、消費者が自ら損失を許容しているなら、消費者の損失はほぼないと言える。「社会的、経済的損失」の意味も深刻性も分からない。

「消費者」がすべき対策の説明がほぼない。要約でも、まとめでも、「消費者」と言っているにもかかわらずだ。唯一、第5パラグラフの最後に「食品ロスの約半分は家庭から出ているため、消費者一人一人が無駄を減らす行動を心がけることが求められます」と書かれているだけだ。しかも、極めて当たり前なので、対策にはなっていない。「消費者」がすべき対策を述べていないも同然だ。

同様に、「政府」がすべき対策の説明がほぼない。まとめで、「企業、政府、消費者」と言っているにもかかわらずだ。唯一、第3パラグラフの最後に「農林水産省と経済産業省も、海外に比べ厳しいこのルールの緩和を業界に要請していますが、まだ全体には浸透しておらず、対象品目の拡大を含めたさらなる取り組みが必要です」と書かれているだけだ。しかも、「取り組みが必要」なのが政府なのか企業なのか曖昧である。「政府」がすべき対策を述べていないも同然だ。

各パラグラフで、論証が不十分だ。その不十分さは、パラグラフの短さでも分かる。第4,5パラグラフは3文しかない。しかも、トピックが複数あるので、各トピックが論証できていない。たとえば、第4パラグラフで、「需給を見極めた的確な生産計画や、容器の高機能化による賞味期限の延長が課題となっています」と述べたら、課題になっていることを論証すべきだ。的確な生産計画ができていないのか?賞味期限の延長が不十分なのか?賞味期限の延長と食品ロスに相関はあるのか?思いついたような意見だけで、根拠が述べられていない。

第5パラグラフで述べたことが対策にも問題の指摘にもなっていない。「外食産業における食品ロスも問題です」と言っておきながら、「ゴミ量削減に効果を上げています」と述べている。何が問題なのか分からない。対策にもなってはいない。しかも、続いて、「食品ロスの約半分は家庭から出ている」と述べている。だったら、なぜ、「外食産業における食品ロスも問題です」なのか?問題が問題なっていない。


ChatGPTが生成した文章:

食品ロス問題の現状と対策

食品ロスは、食べられる食品が廃棄されることによる社会的、経済的損失をもたらします。日本では、年間約620万トンの食品が捨てられており、これは国全体で無駄を減らすために企業と消費者の両方の意識改革が必要です。

まず、食品ロスの大きな原因の一つに「3分の1ルール」があります。このルールでは、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、メーカーや卸売業者は小売店に商品を納品できないという規制があり、まだ食べられる商品が廃棄される結果となります。小売業者は消費者の「鮮度志向」を理由に挙げますが、実際には賞味期限は食品が美味しく食べられる期間を示しているだけであり、消費期限とは異なることを理解することが重要です。

次に、企業側の取り組みについてです。近年、一部の大手小売チェーンでは「3分の1ルール」の見直しが始まっており、保存性の高い食品については納品期限を「賞味期限までの期間の2分の1」に延ばす動きが見られます。これにより、卸からメーカーへの返品や廃棄が減少する効果が報告されています。農林水産省と経済産業省も、海外に比べ厳しいこのルールの緩和を業界に要請していますが、まだ全体には浸透しておらず、対象品目の拡大を含めたさらなる取り組みが必要です。

メーカー側にも努力が求められます。需給を見極めた的確な生産計画や、容器の高機能化による賞味期限の延長が課題となっています。また、賞味期限の表示を日付単位から「年月」に切り替える動きも見られ、これにより消費者と業界の意識改革が進むことが期待されます。

さらに、外食産業における食品ロスも問題です。各地の自治体では「宴会の最初の30分、最後の10分は着席して食べよう」という呼びかけが始まっており、これがゴミ量削減に効果を上げています。食品ロスの約半分は家庭から出ているため、消費者一人一人が無駄を減らす行動を心がけることが求められます。

食品ロス問題を解決するためには、企業、政府、消費者の全てが協力し、具体的な行動を取ることが必要です。消費者は計画的な買い物や適切な保存方法を学び、企業は生産と流通の効率化を進める必要があります。政府は法整備や啓発活動を通じて、全体の取り組みを支援するべきです。食品を無駄にせず、大切にすることが、持続可能な未来を築く鍵となるのです。

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