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短期記憶に配慮する

従来、短期記憶に保持できる数のマジカルナンバーは、7±2といわれてきたが、実は4±1が正しいというのが定説になったようだ。説明するとき、情報数はマジカルナンバー以内に収めると分かりやすくなる。

人は、マジカルナンバーの数の情報を、約20秒保持できると、認知心理学では考えられている。マジカルナンバーとは、人が短期記憶にとどめられる情報(チャンクと呼ばれる固まり)の数である。たとえば、ランダムな数字の羅列なら、数字の数=チャンクの数である。だから電話番号(7桁=7チャンク)なら、なんとか約20秒記憶できる。ランダムな数字ではなく、携帯電話の番号のように「080」ではじまるなら、「080」が1チャンクとなる。

このマジカルナンバーは、長らく7±2と言われてきた。私もそう教わった。その根拠となっているのが、アメリカの認知心理学者George A. Miller氏が、1956年に発表した「The Magical Number Seven, Plus or Minus Two Some Limits on Our Capacity for Processing Information」という論文である。まあ、電話番号程度の数なら、頑張れば20秒保持できるので、直感的には納得感もある。

しかし、21世紀になって、マジカルナンバーは4±1が定説になった。その根拠となっているのが、ミズーリ大学の心理学教授であるNelson Cowan氏が、2001年に発表した「The Magical Number 4 in Short-Term Memory: A Reconsideration of Mental Storage Capacity」という論文である。私も昔から、7±2はちょっと多いなという印象を持っていた。

ただし、記憶にとどめようと思えば、数はもっと減らさなければならない。マジカルナンバーは20秒保持できる数だ。だから情報の記憶ではなく、情報を理解できる数だ。なので、私は以下のように紹介している。
・記憶させたければ、情報は3つに絞れ
・理解させるだけなら、情報は7つまで許せる(できれば5つ)

マジカルナンバーを意識すると、文章やプレゼンの構成が変わるはずだ。
・要約は、「結論の文+3つの重要な情報」で構成する
・分析は3つ(最大で5つ)の視点で(マーケティングの3Cなど)
・1つの階層は最大で7項目まで(できれば5項目まで)
・箇条書きも最大で7項目まで(できれば5項目まで)
・1つの文は、7単語(7チャンク)まで

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