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なぜ中小物流企業にデジタル化が進まないかを考える

少々暗いタイトルにはなっているが
結論:中小物流の未来は明るい
という話をしたい

注:デジタル化と一口に言ってもAI/IoT/ブロックチェーン等々先進のものだけを差した表現ではない

【現状認識】

以下のグラフが差すように物流業では基幹システムともなりうるWMS(在庫管理システム)・TMS(配送管理システム)だけで見ても60%前後の物流企業は導入をしていないという事実がある

キャプチャ1

キャプチャ

引用:NECソリューションイノベータ(リサーチ結果2019)

大手物流企業を以てしても例外ではない為、中小物流企業に特化して考えるとその普及率の低さは言わずもがなだろう。

首記の通り、なぜ中小物流にデジタル化が進まないかという議題は勿論一概に言える話ではない
そもそもホワイト職種とブルーカラーに対する垣根に起因し、働き方改革なる政策が進まないのも頷けるしその点に憂慮している同業者も多々見てきた

その渦中にいる立場から見えてきたものを少し記しておこうと考えた次第だ

【なぜこれほどまでにデジタル化が進まないのか】

まず明らかな1つの要因として内部(特に管理上層部)の問題があると考えている
※あくまで外部起因は少ないと睨んでいる

現代の中小物流企業に於いて往々にしてあるのが
短期的・直接的なアプローチしか学んで来なかった(それでご飯が食べられた)時代の寵児達が現状維持しか刀を持たずプライド先行型の「自社論」を振りかざしているという実情だ

彼らは他業種ならば当然その時々に対応をしてきた現場に落ちている属人化問題をなおざりにして、そのツケをどんどん積み増してきた
その膿みが他の業界に比べ溜まりに溜まっているという事実をよく目にする

まず根底に
分からないからやらない
というハードルがあり、コアとなる観念を長らくの間「トラック・フォークリフト」と言った理解出来るものにしか向けてこなかったことが大きな要因だと推察する

社外専門家・コンサルタント→信用出来ない
システム会社→何を言っているか分からない

そんな企業には勿論ベンダーサイドもリーチしたがらない
道程が余りに遠いからだ

ましてや大手であればそれ相応の見返りもあるが中小となれば売上面で見ても尚の事メリットもない

また自分達が業者扱いをされてきたからなのかシステムベンダーサイドにも協力会社という感覚は皆無で無理難題を押し付け値切りに値切って対応させるから何の提案もしてこなくなる

そうなると内部から変えるという方法になるが上層部がそういった意識である以上、遠い道程である

その事実を感じ取り、ベンダーはおろか後継ぎさえも見放し、稼業を継ぐことを諦めたという人物も沢山見てきた

こんなループが散見される中、然るべき助言をくれる人達からは敬遠され結局はまあいいかとなってしまっているのではないだろうか

また
10tトラック→すぐにでもお金を産むもの
システム投資→メリットがすぐに生み出せないもの(想像が出来ないもの)
という考え方が蔓延っている。それは誤ったプライドから来るもので職人気質をいつまでも捨てきれず、困った挙句現場依存(遅々としていても業務が進んでいるから良い)になるからではないだろうか

【それでも尚、これからを考える】

確かに今まではそれで良かった
社会がそこまでのスピードで進んではいなかったから

中小物流企業の経営者達はこう考えていると思う

AI?何それ?結局は人(現状維持)だろう!

そんなことはない。
AIを始めとしたテクノロジーは現実に流布しているテクノロジーなのだ

少なからず差別化要因として粛々と歩みを進めている同業も存在するのだ
他業種に至ってはどんどん着手を始めて(実用化に至って)おり、ドンドン価値を産み出しているのだ

生き残る(業界を活性化する)為、わからないということを起点にせず、費用対効果のみに着眼するのでなくもっと広角的に投資感覚で推し進めなければならない

世間ではトラボックス社を買収し物流マッチングに参入したビズリーチ社も騒がれている
※荷主としては手間が限りなくなくなるのであればマッチングプラットフォームに逃げるのも頷ける

旧態依然の3PLには興味はなくなり、新たな価値を提供しなければ孫請・ひ孫請となる将来が目に見えてきている

しかしながら手段の目的化ではないが全てをシステム化・効率化することが良いのかどうかという問題も当然ある
※強みとして残していくものは何なのかの選別も当然重要だ

個人的には差別化要因としてテクノロジーに代替出来ない強みを残す。
ここに将来を占う要素があるのではないかと思っている(例えば何でもないことだが荷主が来社した際の倉庫の対応・配送ドライバーの教育等だ)

【結び】

テクノロジーによる効率化は人手不足・クライシスが騒がれる物流業界に於いて喫緊の課題だ
悪い方にこびりついたイメージも払拭しなければ働き手も確保出来ない
その糸口となるテクノロジーへの理解・推進を止めてしまうというのは非常に勿体ないことであると日々実感している

中小物流企業は今まで何もしてこなかった分他業種よりも伸びしろが大きいのは間違いない
その伸びしろを正しい方向に向けられたなら明るい未来が待っていると思うし、そう信じたい

まだまだ遅くはないのだと信じたい

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