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EC物流奮闘記~物流エンジニアのお話 : Episode 1

物流の事を何も知らない人がEC企業に入社し、様々な経験をし、物流エンジニアとして、奮闘するお話です。


#1-1 : 爆速で進化するEC企業との出会い

2006年当時、アマゾンは、知る人ぞ知るECサイトでした。
実際、本とCD, DVDの取扱がメインで、自身でも数回利用したことがあるECサイトでした。
当時は、ネットで注文しても納品されるまで1週間以上かかるサイトがざらにあり、決済も銀行振込のみとか。まだまだ不便な時でした。

アマゾンは、カード決済ができて、注文して2~3日で納品されるのです。
これは、すごく便利だなと思いましたが、当時のセレクションでは、注文したいと思う物が少ないというのも、また事実でした。

求人募集している

そんな中で、当時、家電メーカーのサービスエンジニアをしていたのですが、そろそろ転職しようかと考えていた時、使って便利だったアマゾンが設備メンテナンス要員を募集していたのです。

設備メンテナンスは、よく知らなかったのですが、軽い気持ちで応募してみることにしたのです。軽い気持ちというのは、ネット通販でこんなに便利な仕組みの裏側をちょっと見てみたいという気持ちです。

応募すると、書類選考が通り、面接へと挑むことになります。
1次面接では、入社後、上司となる人でした。第一印象ですが、かなり疲労困憊で、面接も疲労感が全身から感じられました。
(入社後、上司には、こんな印象を持ちましたと正直に話をしています。こんなこともざっくばらんに話ができる素敵な上司です。)

面接後、いよいよ現場を見せてもらうことに。

第一印象。実は、物流設備の増設工事終盤に差し掛かっており、その設備を維持管理するために、メンテナンス部門を立ち上げるところだという話も聞きました。正直な感想、すごい仕組みであのサービスを構築しているのは、すごいなと。

というわけで、1次面接終了。自分の気持ちを再確認すると、ワクワクしていました。もっと手作業で行っているものと思っていたので、見たこともない機械やコンベヤに囲まれた設備と仕組みで出荷されているのだなと。

地獄の2次面接

1次面接をなぜか通過し、2次面接の運びとなりました。
2次面接に向かうと、今だから言えますが、地獄絵図です。1人対10人位の面接です。今のアマゾンでは、そんな面接していませんし、当時、面接を受けた人たちに聞いても、全く違う面接でした。

正直、圧迫すぎる面接で、最初、緊張この上ない状況でしたが、仕組も見れたし、まぁいいかという感じで開き直って、時間が過ぎるのをただただ待っていると。(何質問されて、何言ったかも覚えていない)

スキルセットでいうと、設備メンテナンスには、足りないなと自分でも思っていたので、サービスメンテナンスの心得みたいな話をしていたように思います。(お客様が困っているところにいくので、その解決に全力で尽くす)

放心状態で面接終了。解放へ。
こんな面接体験も滅多にできないことなので、ある意味良かったとし、さあ次と考えていました。(次もちょっと相談したり、していました。)

そして、採用され入社する

数日後、選考結果の連絡がありました。採用だそうです。
自分でも落ちているものだと思っていたので、びっくりしました。そうこうしている間に入社です。

出社すると、今のアマゾンでは、考えられないくらいの出来事が。
確かに自身が入社した時は、倉庫は、1つだけ。しかも、大型商品と共用の倉庫で、その倉庫に社員50人もいたかどうかの世界です。

オリエンテーションが1週間あり、3日目から現場研修だそうです。
3日目からは、ひたすらピック作業です。ワーカーさんと呼ばれる人達に交じっての研修という名の作業です。

ここまで聞くとブラックじゃない?と思われるかもしれませんが、自身にとっては、後で振り返ると良かったと思います。確かに作業の真っ只中では、根性を試されているのでは?と思ったこともありましたが、実際、作業者目線で体験することなど、そう滅多にあるものでは、ありません。

よくお客様目線で考えるとか、お客様の気持ちに立って行動するとか言いますが、実際に体験してみなければ、わからないことが多いのも事実です。
そういった意味で、後に現場目線で考えることを念頭に置いた設計等に役立ったと思います。

物流センター立上時には、結構な割合で作業体験をし、設計、企画したものが、現場の使い勝手にどう作用しているのか、意図したものになっているのか、自身で体験することは、大きなフィードバックになりました。

配属され放置プレーされる

そんなこんなで配属となったのですが、肝心のチームは、準備の段階すら入っていなく、設備導入に駆り出され、全員、夜間勤務していました。
ということは、顔合わせなし。配属されてもやることなし。そもそも、何すればいいのかわからない状態でした。放置プレーです。

入社1週間で放置プレーとは…。

酷いと思うかもしれませんが、実は、入社したタイミングが絶妙で、導入中の設備が1か月しないうちに稼動を控えていたのです。
稼動直前でやる事たくさんの状態では、右も左もわからない人間に何かを頼める状態では、なかったのです。

とはいえ、何もしない人がいても良い訳でなく、同じ部の建屋管理部署へお手伝いに。こちらも3人で全てを廻しているので、キャパを超えた仕事をしている部署でした。何もわからない人が来ても…

その部署のマネージャーに「実は、こんなことも出来ていないので」と、倉庫内エアコンの点検をお願いされました。まあ、それくらいなら、経験もあるので、大丈夫と思い、引き受け、作業を開始です。これがアマゾンに入って最初に任された業務です。今となっては、笑えるエピソードですが、業務なのです。

すでに入社研修で根性試しをしている身としては、全開で作業を終わらせました。汚いフィルターを洗い、設定温度を統一し、(集中制御じゃなかった)異音類の点検をして、50台くらいあったエアコンの点検を3日で終わらせました。終わった後、マネージャーにとても感謝されました。
自分としては、普通のつもりだったのですが。

やっと配属されるも

まだ設備稼動まで期間があったのですが、落ち着いてきたということもあり、やっと、配属です。顔合わせして、最初は、機械を知るために、マシンオペレーターとして、しばらく張り付くという業務です。

マシンオペレーターの方たちに色々と操作方法を教わる日々。そこでも現場を体験することができ、色々と話をしていると、問題があることがわかってきました。

よく止まる事。機械が。

今を思うと、考えられないくらい、そして、笑ってしまうくらい止まってました。現場は、一大事ですけど。

この時、機械のメンテナンスが疎かにされ、消耗しきった部品から壊れていくのでした。そのような解決を図るため、メンテナンス部門の立ち上げが行われたのです。

課題多き現場

現場に入ってわかったことは、本当にこれからがスタートであって、今、この混沌とした世界を整えていかなければ、ならないのだなと感じました。

「すごい便利だ」と思った世界は、実は、物凄い人海戦術で、作業している人たちの手によって成り立っているのだと、実感し、自分に何ができるのだろうとも思わされました。

この時、アマゾンには、OLP (Our Leadership Principal)は、まだなく、以下のものだけでした。

Work Hard, Have Fun, Make History

そして、設備稼動がその時点でのMake Historyという位置づけだったと思います。そのためにみんな一所懸命、業務にあたり(Work Hard)、それを楽しんで? (Have Fun)いたと思います。

反面、現場では、多くの解決すべき問題にも直面しており、問題山積みの中で設備稼動を迎えることになるのです。

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